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天才ヤンデレお嬢様の好感度がなぜかカンストしてる件  作者: 夜空 叶ト


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第12話 久しぶりに喧嘩と行こうか

「なんか最近充実してない? お前」


「そんなことないさ。凄く忙しいよ。良ければ代わってくれよ」


「前にも言ったけど、代われるんなら代わりたいけど無理でしょ。いつも四人で昼食をとってくれているのだって陸斗がいるからだろうし。僕だけだったらあの二人は一緒に昼食を食べてくれないよ」


「そう言うもんなのかね」


 学校の短い休み時間に俺は雄介と窓の外を眺めながら話していた。

 話題はもちろん最近何かと関りがある天城乃々と辻菫の件だ。

 昼休みになれば毎回のように四人で昼食を食べているし、雄介からはどうして最近付きまとわれているのかを聞かれたけど、どうしてかは俺だって知りたい。

 何回聞いても天城は秘密の一点張りだし。


「そう言うもんだろ。全く、何をすればあんな美少女から好かれるようになるのか。お前、前世で凄く善行を積んでたのか? 徳がありまくりなのか?」


「知らねぇよ。俺の前世の事なんてさ。それよか、これなんだよな」


 俺は右手でひらひらと封筒を揺らしていた。

 これは今朝下駄箱に入っているのを見つけたものだ。

 あて先はもちろん俺で内容は放課後に体育館裏に来いというもので古典的な果たし状みたいなものなのかもしれない。

 一体俺が何をしたって言うんだよ。


「果たし状ねぇ。今どき珍しい。普通、下駄箱に入っている封筒の中身と言えばラブレターと相場が決まっているのに」


「いや、ラブレターも欲しくはないけどな。面倒事は避けるに越したことは無い」


 行かなかったら行かなかったで、面倒な事になりそうだし。

 今日は放課後、天城に勉強を教えてもらう日だ。

 つまり、放課後にそこまで時間的な余裕はない。


「いや、僕はラブレターなら大歓迎だぞ!」


「じゃあ、俺の代わりに放課後体育館裏に行くか?」


「いや、部活あるから遠慮しとく。頑張れよ」


「薄情者め」


 俺たちは軽口をたたき合いながら短い休み時間を過ごす。

 どうしてこんな目に遭わないといけないのか。

 全く心当たりがないが、致し方ない。

 天城に放課後少し予定が出来たと伝えて先に家で待ってもらう事にしよう。


「マジでめんどくせぇ」


 ため息をこぼして俺は自分の席に戻り次の授業の準備を始める。

 チャイムが鳴るころには果たし状のことは意識の中から消え去っていた。


 ◇


「お前が俺を呼んだ奴か?」


 放課後に校舎裏に来てみれば、数人ほどの男子生徒がたむろっていた。

 手にはバッドとか竹刀とかを持っていてこの玲瓏学園の人間らしからぬ人間だ。

 なんでこんな奴がこの学校に入学できたのかは疑問で仕方ないけど、今はそんなことを議論している余地はない。

 どうやってこの状況を切り抜けようかを真剣に考えないといけないな。


「そうだ。二年の近藤っていう」


「はぁ、ご丁寧にどうも。じゃ、俺帰ってもいいっすか?」


 近藤と名乗った男子生徒は頭を金髪に染めていて、長身の男だった。

 第一印象はすごくガラの悪い不良生徒といったところか。


「いいわけねぇだろ? わざわざこんなところに呼び出したんだからよぉ」


 やっぱりと言うべきか素直に帰してくれはしないらしい。

 下手に手を出して退学とか停学になりたくないし、かといってこんな奴らにリンチにされるのなんて御免だ。

 どうしたものかね。


「じゃあ、何がお望みで? 俺にできることなんてそうそうないと思うが?」


「簡単だよ。天城乃々と別れろ。お前みたいな平民と天城は釣り合ってない」


「付き合ってないけどな。俺達」


「嘘つけよ。男嫌いで有名な天城が男とつるんでるなんて付き合ってる以外考えられないだろうが!」


 近藤は顔を真っ赤にして俺のことを怒鳴りつけてくる。

 なるほど。

 こいつは天城のことが好き、ないしは家柄を利用しようとしてるのか。

 だから、彼女の近くに居る俺が邪魔で邪魔で仕方ないから実力で排除しようとしているってことか。

 面倒だ。

 学生のうちに起きる問題において特にめんどくさいのは色恋関係なのに。


「本気で付き合ってないんだけどな。あんた、そんなんじゃ納得しないだろ?」


「当たり前だろうが」


「じゃあ、どうしたら納得するんだ? 俺は一旦お前らにボコられないといけないのか? 近藤?」


 挑発するように口角を釣り上げて彼を見つめる。

 ポケットに右手を突っ込みながら近藤の近くに居る数人の男子生徒を睨みつける。

 これで先に手を出してくれると助かるんだけどな。


「そんなにボロ雑巾にして欲しいんならお望み通りしてやるよぉ!」


 頭に血が上った様子の近藤は俺に拳を振り上げてくる。

 ここまで見事なテレフォンパンチは初めて見たかもしれない。

 完全に喧嘩慣れしてないな。


「じゃあ、まあ一発貰っとくか」


 顔で受けるような真似はしないが、避けることもしない。

 適当に腕で防いだし、これで正当防衛の大義名分は得た。

 久しぶりに喧嘩と行こうか。


「へっ、素直にいう事を聞いとけばいいのによぉ」


 ニタニタとすでに勝った気になっている近藤に腹目掛けて膝蹴りをかます。

 汚い声を上げながらうずくまる近藤の頭を踏みつけてから、先ほどまで近藤の後ろにたむろっていた男子生徒たちを再び睨みつける。


「で、お前らは次くるのか?」


 かかとでぐりぐり近藤の頭を踏みつけながら次は凶器を持っている男子生徒を挑発する。

 これで殴り掛かってきてくれる単純な頭をしてれば助かるんだが。


「クソッ」


「うぉぉ」


 自棄になったように残りの男子生徒たちは持っている凶器を俺に向かって一心不乱に振り下ろしてきた。


「単純な連中でよかったよ」


 俺は心の中でニヤリと笑みを浮かべて襲い掛かってくる連中を返り討ちにするのだった。


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