謝るよりも逃げた方が正しい日もある
ポリゴンとなって消えていった大豚の残したアイテムを拾いながら現在のプレイ時間を確認する。
約束の時間からもう十分以上の遅刻か…間に合わないな
「ハリスがいれば幾分か大豚との戦いを楽に出来たのにな」
仕方ない…仕方無かったのだ。ハリス君の犠牲は必要だったのだ。空を見上げハリスとの思い出を振り返る……そんなに無かったな
「何ヲ考エテイルノデスカ?」
休息状態になったハリスがコチラをジッと見つめる。ハリスは一回目の大豚野郎との戦い前に眠っている。船の上での暴走(きっと酔いのせいだろう)によって体力が切れかけていたからそれを回復するためだろう。
「いーや何でも無いです」
「…ソウデスカ…此処からドウスルノデスカ?」
此処から何をするのか。その問に暫し考える。約束の時間に遅れてるから急がないと行けない。しかし、急ぐ必要があるのか?俺のゲームの下手さ加減を知らずに約束の時間を勝手に決めたんだぞ?ならコッチはコッチのペースで行ってやる!
何処か清々しい気分で第二の街へと続く道を進む。
比較的大きい街らしいからか森の出口から街へと続く道が最初の街と比べて綺麗だ。それ以外に何も無いな。まぁ道から外れたら以外とモンスターが多そうだが
第二の街エクレシレア
門の前には街を守る衛兵…と仁王立ちで後ろに般若が見える男性プレイヤーが居た。圧がすごいな横の衛兵ガクブル震えとるぞ。あっコッチ見た。瞬時に顔を反らし岩陰に身を隠す
「なぁ…ハリス…土下座か無視どっちがいいと思う」
「前者ノ方ガ良イカト…」
横をさり気なく通る。より自然感を醸し出す為に少し会釈をする。こうする事で相手は俺と同じ様に顔を一瞬下に向かせる。その間に走る!そうハリスの提案を放りだし後者のシュミレーションを頭の中で反芻する
ドン 何かにぶつかった。一瞬岩か?と思った。しかし、閉じた目を開いた時そこには悍ましい般若を背負った男がいた
「バレたか…」
「バレバレだわ!ていうか時間!二十分も遅刻だぞ」
「あれ?もう時間なの?二十分何て誤差も誤差じゃん」
「誤差じゃねえよ。久々に会った友達を待たせるとはな楓、此処ではカエデか。まあいいついて来い」
「そっちもほぼ一緒の名前だろ?」
プレイヤーネームをチラッと見る。
「圭介だから「kaske」…誤字ってんじゃねえか!」
信じられねえ見たいな目を何故か俺に向けて見てくる圭介にそっちがなと言いたくなった。そういえば圭介が来ているって事はアイツも来てるのか。
アイツ。俺、勘太郎、圭介そしてアイツは小学生からの友人だ高校に入り勘太郎以外とは別の高校へと進学した。だからリアルで出会うのもほぼしてなかったからゲームの中で会えるのはかなり久々だ
「もう二人は店の中だ」
圭介に連れられ裏路地へと進む。裏路地といっても現実の路地裏と比べるとかなり綺麗だ。というかどうにも不思議な気分だ。人がいなさ過ぎる。最初の街、森の中そしてこの街もNPCしか居ないのだ
「なあ」
「さぁ着いたぞ他二人もお待ちだサッサッと行った行った」
圭介に無理矢理押し込まれた。裏路地を進み少し開けた場所に置かれたカフェ?見たいな建物だまあ雰囲気的には隠れ家カフェなのか?
「おう、遅かったな楓」
「勘太郎と…政子か!」
「あぁ久しぶりベストロート以来か?」
「いやサスペシオゲーズ以来だな」
本当に久々の顔と見慣れた顔が並ぶと不思議と昔に戻った様な気分になる。政子、通称マッコ。酷いあだ名に思えるかも知れないが本人が何故かこの名で読んでくれと言ってくる。後政子は男だ。
「よし全員席に着いたなじゃあ久々に皆そろったって事で乾杯ー!」
まだ未成年だろと政子がツッコミ楽しい楽しいパーティーが幕を開けた
――…「ふーなぁカエデちょっと気になってる事があるんだけどさ」
並べられた料理をほぼ一人で平らげた勘太郎が持っていたグラスの飲み物を飲みきり言い出す
「その隣にふよふよしてる奴は何だ?」
ふよふよしてる?そんな物は何も無かったはず。そう思い隣を見る。その正体が分かった
「ハ……いやこれは…その…そう!アクセサリーだよ」
別段隠す気では無かったものの思わず隠してしまった。しかし、流石は俺の友人と言うべきか俺の動揺をすぐさま感じ取りソレがアクセサリーでは無いと感づいた。だが…ハリスはアクセサリースロットに「装備」って形だからあながちアクセサリーであるのは変わらないだろう
「アクセサリー、デハアリマセン」
ふよふよした物体は言った、と同時に尋問が始まっ
てしまった。




