始まりを告げる夜明け 其ノ壱
深緑地の城森
最初の街から冒険に出る者の最初のエリア。かつて巨大な城と城下があったらしいエリア。一夜で滅びそんな場所が緑に覆われたエリア。敵モンスターのレベルは最初だけあり、一から十のレベルのモンスターが多く存在する
そんな森の中をすばしっこく動く物体を目で追う。木から木へまるでコチラを煽るが如く動く物体を必死で追う。時々目の前を通る瞬間に俺は手に持つ短刀をその物体に対して振るう。しかしその物体は宙をクルンと一回転し地面に見事に着地しもう一度宙を舞う。そして俺の短刀は虚しくその物体の残像を斬った。この物体はこの深緑の森のレアエネミーでゴブリンである。名前は確か「緑翠の小鬼」
「………ちょこまかと鬱陶しいは!」
思わずそのゴブリンに対して怒りを露わにしてしまう。その怒りが伝わったのか一瞬の怯みが見えた。その怯みで出た硬直状態基、隙を俺は逃さなかった。宙に無防備に飛び出した羽を持たぬ者は俺の短刀が腹を裂いた。血液や臓物は飛び出さず赤いテクスチャが飛散する。
『ギィアアアアアア』
モンスターの叫び声が森中を響きわらせる。理由は明白だこの【 孤紅の短剣 】の炎症ダメージで傷口を焼かれているからだ。これぞまさに泣きっ面に蜂と呼ぶ。先程迄の余裕は消えた様にコチラへと鋭い眼を向け新たにどす黒い斧を両手に持つ。
『ギィイイイイイイイ』
大きく振りかざした斧は空を引き裂いた。……引き裂くだけだった。俺へと向けられた斧は地面に刃を突き立てた。素早く動き回っていた時よりも遥に分かりやすく単調な動きは焦っているのが分かりやすい。ゴブリンの腹にもう一度剣で裂いた時ゴブリンは赤いテクスチャを宙へと霧散させ、ゴブリンが居た場所に斧だけがドロップした。
「ふう…やっと倒せたぞ。いくらなんでもすばしっこくしすぎじゃねえか!つうか、斧使って無かった方が断然強かったし。なぁハリス」
「……同意シマス」
ハリスは何処か上の空を向き答える。先程の戦闘時に一切助けようともしてくれ無かったし何処か変だ短い付き合いだが似たような事があった様な気もする
「ハリス大丈夫か?」
「……否極メテ健康デス」
機械に健康も糞もない気がするが。ハリスが大丈夫だと言うのであれば大丈夫なのだろう。要らぬ心配は良くない事だ
「―…デスガ、先程カラアチラカラ流レル魔力ガ否ヤハリ何デモナイデス」
ハリスが指した方向を雑貨屋で買った陳腐な地図で確認する。しかしハリスの指した方はこの先進めないようだ。だが
「気になるな」
「確認致シマスカ?」
「いや、それよりも」
俺は自身の後ろを振り返った。先程の戦いのせいだろうかゴブリンの悲鳴を聞きつけ他のモンスターがコチラへと向かってくる。四方八方からモンスターの鳴き声が聴こえて来る
「ずらかるぞ!ハリス」
俺の声を聴くまでも無く準備万端デスと言いたげな顔でコチラを向いてくる。若干のウザさを感じつつもハリスを脇に抱え全速力で走り出す。気付けばエリアボスの居る森の出口だった。森の出口を守る様にそのモンスターは佇んでいた
「コレがエリアボスかよ……」
余りの巨大さに息を飲む。まるで我が王者と言わんばかりの佇まい。威圧的にコチラを凝視する目、今にもその獰猛な牙で食い破って来そうな口。そのモンスターの一つ一つの見た目が、コレがこの世界だと言わんばかだ。これよりも更に強いモンスターが五万と存在するであろう世界の始まりそれを象徴させるモンスターだ。
「ワクワクするな〜。コイツがこのプロウィリの最初の障壁か…」
かつてプロウィリは沢山の人々がやって来た。街はそんな人々で溢れ返り、この森も同じ様に沢山の人々がこの森にやって来た。しかしその大半がこのエリアボスに泣かされた。プロウィリの最大の糞仕様それは
「パーティーメンバーの人数による強化」プロウィリは最大で十五人一緒にボスに挑める。
タンク、魔法使い、盗賊、剣士。その他様々な職業の者が手を組み強大なる者へと挑む。そんな仲間を持つ輩共破壊する仕様。更には一人で倒すのもほぼ無理ときたそんな多くの人々の障壁となった最初のボス。見た目はまんまイノシシに大量の切傷とトサカを着けた見ためだ。
ボス「狂い大豚」に遭遇しました俺がボスの間合いに入った時ゲームはそう告げた
「緑翠の小鬼」
5種類のゴブリンのうちの一体。速度強化をしまくった結果防御が紙になってしまったゴブリン。レベルは低く10から12レベル程。しかし最初のモンスターの中ではかなり面倒なモンスター。レアエネミーに分類されるがそう少しレアなエネミーがいる為そこまでだ。ドロップ品はかなり豪華で最初は色んな冒険者がこぞってこの森へと足を踏み入れた




