7話 暴かれる規格外コード
試験官・イーグラとの仮想決闘。
俺は《虚数再構築》で盾と槍を組み上げ、応戦していた。
「動きが予測不能……このスキル、まさに“理外の構築”だな」
「お前の魔術式も十分バグってるがな」
イーグラの魔術は“並列式”。通常の詠唱魔術を3つ同時に展開するチート構成。だが、隙はある。
「プロセスファング、咬み砕け!」
狼がイーグラの左腕を狙う。が──
《構造遮断:召喚体“プロセスファング” 一時消去》
召喚が、文字通り“存在ごと”消された。
「召喚……消された……!? おい、召喚殺しってルールブレイカーかよ!」
「当然だ。この試験は、“君のコード確認”が本命だからな」
視界に警告ウィンドウが連続で現れる。
《警告:干渉限界値超過》
《コード外構造が確認されました──あなたは“現行世界に存在しない形式”です》
──その瞬間、脳裏にフラッシュのような映像。
黒い空間。無数の棺。液体に浮かぶ“人間のような何か”。
「……あれは、俺か?」
イーグラが言った。
「やはりな。君は“想定外のコード”。この世界の管理域外から流入した“構造バグ”だ」
「つまり、俺は──この世界にとって、存在しちゃいけないってことか?」
「そういうことだ。だから、君を監視する組織が必要になる。“≠NULL”が動く理由がね」
──≠NULL。管理不能構造体の排除を目的とした、裏の存在。
決闘は引き分けで終了。イーグラは仮面の下の素顔を明かさぬまま、こう言った。
「近いうちに、君の前に“ある女”が現れる。彼女は寡黙だが、真実に近い存在だ。……大切に扱うんだな」
そして、通信遮断が解除された瞬間、見知らぬ人物が俺の肩を叩いた。
「おーい!もしかしてあんたが仮想決闘に出たって噂の転生者!?うわー、マジでいた!超ラッキー!」
金髪の青年。陽気な声、よく動く口、明るい瞳。
「名前はカイル!剣と笑顔が取り柄の陽気担当!よろしくな、先輩!」
……テンションの高低差で耳が痛い。
「……はいはい。ノーラの3倍うるさいな、お前」
「え、誰かと比べられてる!? うける!」
──こうして、俺の周囲にまた一人、奇妙な仲間が加わった。
次に現れるという“寡黙な彼女”とともに、この世界の“根幹”に、俺は近づいていくことになる。