23話 定義戦の開始と、コード破壊の刻
定義戦──その言葉が響くと同時に、空間が反転した。
≠NULLの本体が放った“CODE-FRAME Ω-Null”は、目の前の空間に無数のコードの柱を立ち上げ、まるで世界そのものを支えているように見えた。それらは全て、世界の定義、時間、因果、感情、すべてを制御する無形の柱だった。
「この構造を破壊しなければ、世界はそのまま“強制的に定義”されるだけだ」
俺たちは互いに顔を見合わせ、覚悟を決める。これが、最後の選択だ。
「まずは、こいつらを壊さないと話にならない」 カイルが拳を振り上げ、力強く言う。
「破壊には、全力で行こう」 ノーラが魔法の手を組み、何かを唱え始めた。
「私も行く。破壊の根源を、見逃さない」 ルゼが無言で歩を進める。
「俺たちの意志、壊せるわけがない!」 ヒカリが光の剣を構え、意気込む。
「全力で支援します」 セラが穏やかに言う。
≠NULLが淡々と応じる。
「それは、君たちの“選択”に過ぎない。だが、我々は崩壊しない。コードが、正しい未来を作り上げるのだ」
その言葉が消えると同時に、定義の柱が一斉に動き始める。それは、まるで巨大な壁が迫ってくるかのように、次々と圧縮された時間を一方向に押し進めていく。
「防御は、無意味だ。構造が崩れるまで、止められない」
≠NULL本体が言う言葉には、揺るぎない自信が感じられた。
だが、俺たちの決意は、揺らがない。
「それでも、俺たちは止まらない」
俺は剣を構え、構造そのものに向けて斬り込む。
《スキル発動:虚数再構築・構造破壊》 《目標:CODE-FRAME Ω-Null》
剣が一閃し、空間に亀裂を走らせる。
「きたか……!」 カイルが前進し、重力のスキルでその場に立ち続け、コードの柱を破壊していく。
「今だ!」 ノーラが魔導式で、コードの流れを止める。
ルゼがさらに加速し、《幽語》でコードの動きを封じる。
ヒカリが光の剣を振るい、光の一撃で、構造の壁を切り裂く。
セラもまた、ヒカリと連携し、全員を守りながら敵のコードに干渉していく。
だが、≠NULLの本体がさらに強力な反撃を繰り出す。
《スキル発動:全構成コード断片の反転》
世界の時間が逆転し、空間の再構成が始まる。それは、まさに“無限に閉じたループ”だった。俺たちの進む道が次々と閉じ、試練が重なる。
「これが、最終選択……か」
俺たちは後退することなく、全力でそのループを破ろうとする。
「まだだ! この“壁”を壊すぞ!」
──そして、この戦いの行方を決める、一撃が放たれた。




