表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/71

11話 再構築戦闘と灰色の狩人

 警告と同時に、周囲の空気がピリつく。  風が止まり、木々が揺れをやめた。あまりに静かな“異常”──来る。


 「出るぞ!」


 俺の声に、ノーラが詠唱を始め、カイルは構えをとる。ルゼは一歩後ろに下がり、スキルの準備を整える。


 空間が破れた。  現れたのは、一人の男。灰色の外套、銀髪、瞳は虚無を宿していた。


 《識別完了:≠NULL実行因子 第七位『グレイ・ハント』》


 「……ユニークスキル《幻鏡界層》、実地確認に来た」


 彼の声は、冷えた鉄のようだった。


 カイルが飛び出す。「口より拳で歓迎してやるよ!」


 瞬間、カイルの拳がグレイに届く──はずだった。  が、影が反転する。


 「! 身体が……逆方向に!?」


 《敵スキル発動:鏡反写レプリコード


 攻撃は逆流し、カイル自身を吹き飛ばした。


 「くそっ、スキルの効果ごとコピーしてやがる……」


 「レイ!」


 ノーラの呼びかけと同時に、俺は前に出る。  《幻鏡界層》、発動。


 視界が歪む。  重力が左から下に反転。グレイの動きが一瞬止まった。  その隙に、ルゼが《幽語》を展開。


 「……削る」


 言葉ひとつで、グレイの影が消える。


 が、それでも彼は立っていた。


 「さすがだ。なるほど、“外側”を持つ者は、やはり──」


 その言葉の途中で、俺は《深層コード干渉》をグレイの影に放つ。  彼の動きが止まり、構造が暴かれていく。


 「……お前のコード、書き換えさせてもらう」


 世界が、一瞬だけ静止した。


 次の瞬間、グレイの姿が空間から蒸発するように消えた。


 《≠NULL因子撤退確認》


 カイルが倒れたまま、笑いながら言う。  「やっぱ、お前、主人公っぽいよな……レイ」


 「いや、主人公なら、もう少しスマートに決めてる」


 そう返すと、ノーラがくすっと笑った。  「でも、今のは……ちょっと、かっこよかったわ」


 「……照れるから、やめろ」


 夜が来る。  そして、≠NULLの次の刺客も──すでに動いている。


 俺たちの旅は、まだ始まったばかりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ