表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
78/176

78 オズワルド親子の話し合い

 公爵家当主オードリアン・ロッキングが執事のストロングさんを伴いミリエッタ叔母様の屋敷に来たのは話し合いをお願いして2日後だった。公爵様は王都からの帰りに執事からの連絡を受け取ると護衛の馬を飛ばして急ぎ帰宅したのが昨日。疲れが顔に出ている。とりあえず初めに公爵様とオズワルドの二人が顔合わせをした。


「オズ・・すまなかった」

「おとうさま、おつとめおつかれさま。ぼくはげんきです。はなしもできます」

「オズ・・良く分かる。凄く上手だ」

オズを抱きしめた公爵様は父親の顔になっていた。


私たちは二人を残して別室に向かった。話すこともなくお茶を飲み時間が過ぎる。日が傾きかけた時、外から元気なダイアナの声。相変わらず大きな声。淑女?どこ行った?


「叔母様。あら?ライもいるのね」

「どうしたの?先ぶれあったかしら?」

「いいえ。出来上がった本を受け取りに来た帰りです。叔母様の所に置いて行こうと寄ったら叔母様がいるから声を掛けました。ライ、三冊目は『 ライとミミのお料理教室 』なのあのパンケーキを作るの」


「ダイアナ。今お客様がいるから・・・」

ダイアナがしまったという顔をした時、ダイアナより大きな声がした。思わず顔を見合わせる。


「ラーイ、はなしおわった。おとうさまがよんでる。あっ、ライとミミのほん」

「新しい本よ。貴方もミミが好き?」

ダイアナがオズに向かって声を掛ける。


「ミミはかわいい。でもグレイのほうがすき」

「えっ、グレイここにいる?」

「さっきいたよ。ごほんよんでいい?」

嚙み合ってるようでかみ合っていないダイアナとオズの会話。我が道を行く二人。


「ダイアナ、落ち着いて。グレイはここに今は、いない。シャボン玉でオズと遊んでくれないかしら」

「オズ君、お姉さん魔法が使えるの。シャボン玉しましょう」

「しゃぼんだま?」

「すぐそこの庭で遊ぶの。行こう」


 二人は手をつなぎ駆け出した。ミリエッタ叔母様が後からついて行く。庭の方からオズの笑い声が聞こえる。

ライはグレイとジルと一緒に公爵様の待つ部屋に向かう。


「ライさん。オズがお世話になりました。あんなに明るく元気で話せるなんて・・」

 ソファーに腰かけた公爵様はオズに似ていた。紺碧の髪を短く切り深い海の色の瞳。背は高く執事のストロングさんに負けない大きな体。腰かけていてもライと目の高さはほとんど変わらない。ちょっと悔しい!

オズは今は可愛い。大きくなったらこんな大人になるのか・・・


「オズワルド様の頑張りです。オズは、お腹にいる時から呪いをかけられていました。それが分かったのは・・・」

ライは口ごもってしまった。鑑定のことや女神、グレイが一瞬頭に浮かんだ。グレイと相談して、教会に行ったときにお告げがあったことにしようと決めていた。苦肉の策の言い訳。無理無理こじつけ。


「オズは女神の愛し子。教会にオズを連れて行ったとき、女神が怒ってプチっと呪いを蹴り飛ばした」

「グレイ・・・」

「仕方ないだろ。こいつ公爵家の当主だ。オズの父親だ。本当のことを知っておく必要がある。それに悪心はない。

 オズのしゃべれないのが呪いみたいだから。俺が女神に相談した。俺には解術はできない」


「貴方様は?」

「見ての通りの猫。妖精猫。ライの相棒。それで魔術師は捕まえたか?」

「先代から仕える治療師でした。声が急に出せなくなり魔法の呪文を唱えられなくなり、魔法が使えないと騒ぎ暴れたので早々に牢に入れた」


「そ奴をそそのかしたのは、モウゲンドールだ。よく調べろ。オズが殺されるとこだった。ローズ?あれもどうしようもない母親だ。お前は女を見る目がないな。二番目の妻?子供は魔術師の子だ。托卵だな」


「えっ、托卵?」

「良く調べてみろ。魔力が何も似ていない。教会で分かる。金がかかるが」

「どうして・・・」


「そんなの自分で調べろ。子供の髪は魔術師と同じ茶色だ。今は魔法で色変わりしている。瞳は茶色だろ。瞳を変えるのは難しい。

 猫はそこら中に出かけて、情報を集めることができる。人はそばに猫がいても気にせず話をする。気にかけたりしない」

「・・・・。」

ほとんど固まった公爵様を置いてグレイは話をした。


「グレイ、ここまで。公爵様、大丈夫ですか?これからオズは?」


「オズはあなたたちにとても懐いているようです。家にいるより楽しそうです。もうしばらく預かってもらえないだろうか?家の中がこのようではオズは落ち着いて過ごせない。ご迷惑をかけますが・・・」


「いいですよ。オズが安心できる環境になったら迎えに来てください。グレイ、ダイアナが今オズと遊んでる」


「俺帰る。あとはジルに任せる」

「消えた・・・」

公爵は再度固まった。


「家に転移しました。良くあることです。では、わたしも失礼します。大変でしょうけど親だから頑張ってください。3歳児が頑張ったんですから」

あまりの情報にしばらく時間がいるだろう。ライは先に部屋を出た。


「オズ、お家に帰ろう」

「ライ!グレイは?」

「ダイアナ、いないよ」

残念がるダイアナを叔母様に任せる。


 帰りの馬車の中で、シャボン玉が魔法の風で噴き上がった。茜色の空にキラキラしてすごく奇麗だった。オズは自分も魔法が使えるか。使えるなら何を使いたいか。ダイアナと同じように興奮していた。ライたちが家に着くころにはオズは疲れ寝てしまった。その横でグレイとジルも寝ている。三人ともお疲れ様。


 疲れと興奮で夕飯後すぐにジルを連れてオズは部屋に戻った。ライは怒涛の一日を振り返った。オズを預かるといっても、あの公爵様に頻回に我が家に来てもらうのは‥‥困る。


 公爵様、グレイを見て驚いていた。あの大きな体が固まった。そんなに驚くんだ。ダイアナなんて喜んでいた。ミリエッタ叔母様は何でもないようにグレイと話してる。ボブさんだって驚きはしたけど・・・平気だった。


 ああぁ・・これで何人だ。グレイの正体知ってる人。ライの心配事が増えていく。今夜あたり公爵様の所にグレイが訪問するかも。ミリエッタ叔母様のとこにも行っていたようだし。入浴剤でも持たせようか?ライが思案しているとグレイに声を掛けられた。


「ライ、相談がある。おい、自分で言え」

グレイがマソ不足の妖精猫を連れてきた。随分元気になった。村に帰るのかな?ミミの様な黒に白に茶色の混じった体を縮こませている。


「お世話になっています。地下のカフェでマスターしている妖精猫です。衰弱している頃は大変お世話になりました。初めて食べたクッキーがとても美味しかったです。皆さんに良くしてもらいました。グレイさんに村以外の生活の指導をしてもらいました。長老の話よりためになりました」


「そ・そんなのいい。肝心なことを言え」

「もし・・もし・・ライ様とオズが良ければオズについて行きたいです」

「オズと契約するの?」

「うん・・はい、そうです。僕はまだ未熟者です。オズもこれから外の世界に出て行きます。頑張るオズを応援したい。オズと支え合っていきたい」


「人に妖精猫とばれたらオズに迷惑かけるのは分かる?」

「グレイから聞いた。いま上手に消える訓練してる。いつか転移も覚える」

「グレイ、どうかな?」

グレイは前から相談を受けていたようだ。


 村を出た妖精猫は村に戻っても居場所がない。村しか知らない仲間との間に溝ができる。仲間は気にしなくても外との違いに心を病むものもいる。2度村を出ればもう戻れない。


 グレイは勢いと冒険心?があったので、森の中で一人でいても心を病むことはなかった。獣を追いかけたり、その上に乗って移動した。木の実や果物、薬草など食べて楽しかったと言っていた。


 誰もが同じでない。当たり前のことを忘れてしまう。隣と比べる。違うことを非難してしまう。違うことに落ち込んでしまう。

 口にはしないけどグレイだって人に騙されたことがある。ライに過保護はそのせいだとリリーが言っていた。


 三毛猫の妖精猫は悩んだだろう。まして相手が長老の様なグレイだ。自分の落ち度で死にかけただけでも良く立ち直ったと思う。いつか村にグレイが送って行くだろうとライは思っていた。三毛猫の決意に満ちた目をライは見つめる。


「明日、オズに自分から申し込んでみたら。相棒になるには信頼が大切。まずは、オズから信頼されるよう頑張って」

「ありがとうございます。まずオズと友達になって、信頼を勝ち取ります」


 グレイと三毛の妖精猫は地下に戻っていった。今頃グレイに小言を言われてるだろう。でも、グレイは過保護だからこれからも、三毛の妖精猫の世話をするだろう。

脱字報告ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ