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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
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52 家事精霊リリーの活躍

 モズ商会というかファイルさんの詐欺事件でバタバタした。

ついでに冷却シートのレシピ登録とレシピ使用料について商業ギルドのアルバートさんに熱く語られた。

運用は商業ギルドに任せることにしてやっと家に帰ることが出来た。


「大変だったな。

ウエートで初めてのレシピ登録にアルバートさん浮かれてた」

「ピエールさんにも迷惑かけてしまった」

「いいんじゃないの、もう数個レシピ登録したらお返しになるじゃない」

「気楽に言ってくれるわね」

グレイの爪は折れていない。良かった。


「それより そろそろ身なりに気を遣ったら。12歳になったし家持ちの薬師だよ。男女から卒業時だよ」

「別に男女ではない。

でも誤解を生むことは本意でないから髪を下ろして動きやすいパンツスタイルの服でも着ましょうか」


「リリー大賛成!実は何枚か服を作ってありますの」

いそいそとリリーの白いエプロンのポケットから数枚の服が取り出された。綿の服から絹の服・・・これは何?魔物の糸で作られた高級品だ。


どういうことと尋ねれば地下の妖精や精霊のカフェが繁盛している。いつの間にカフェになってる。リリーは家事が終わるとライのお菓子を真似して作っている。みんなで地下でお茶していたらモスやスラが森から知り合いを連れてきたり風の精霊が他の精霊を連れてきたりしてお茶するようになった。


 ただで美味しいお菓子をいただくのはということだったが貨幣という概念がない。ライの使う薬草だったり錬金術の材料だったりを届けてくれるようになった。


 仲の良い魔物さえ訪れるようになる。クモの魔物は糸を対価にしたらしい。時にライ自作のお菓子を食べた時にあまりのおいしさに自分の糸で布を織ってきたのがモンスターシルク高級品。


働きどころを見つけたリリーは洋服づくりに邁進中とのこと。グレイにも革の靴にマントとおそろいの服を作ってくれたらしいが服を着た猫が街にいないのでいざという時の貴重な服だと言って収納してある。


そこで12歳で成人したらライが女の子らしい服装になるかもと話したことでこの惨状だ。いえいえ惨状ではない。


「リリーありがとう。町娘がシルクのドレスはちょっと危ないかも。お金持ちの子供と間違われて誘拐される。とりあえず綿のを作ってください。

フリルとかは少なくして。スカートでなくて。リリー、一見スカートに見えるけど本当はズボンなもの作れないかな?


ずっと冒険者の古着のズボンばかりだったからスカートはスカスカして心もとない。いずれはちゃんとしたワンピースを着るから。お願い。リリーが作ってくれた服は2階のクローゼットかけておいてね」


 商業ギルドに出かけることも多いから見た目も繕わないと。大人になるということはいろいろ難しいことが増える。そういった知識がないことにライは少し不安を感じた。


 いつものように風呂に入り髪を洗った。

だいぶ長くなった髪を切ろうかと思ったが、女性は髪を長くするのが当たり前。短く切ったり無造作に髪をまとめたりするなんて男性。


だからファイルはライを男の子だと思い込んでいた。薬師のお婆に作り方を教えてもらっていた髪専用の洗剤が少ないことに気が付いた。

材料は地下の精霊や妖精が届けてくれているのですぐに作れるが薬師のお婆のレシピを錬金術に転用できれば・・・・

あっリア師匠の旦那さんのレシピに貴族?向けの美容のレシピがあったような・・・


「ライ生きてるか?風呂で死ぬと裸だぞ。いい加減に出てこい。みんな心配しているぞ」

慌てて風呂から上がりリリーの差し出した果実水を美味しくいただく。

リリーはせっかく作った服を着る人がいなくなっては困るとお風呂場に飛び込もうとしていたらしい。


グレイはどうせ考え事してるだろうとほうって街猫会議に出かけようとしたが一応ライシーヌに声を掛けてくれた。マイペースな子たちだ。

それにライも含まれることにはライ自身気が付いていない。


 言葉をあまり必要としない仲間との暮らしは自由であり気ままな時間だ。自分の身は自分で守るしかなかったライは人との係わり方がよくわからない。


 師匠は師匠であって家族でも友人でもない。グレイは相棒であっても人ではない妖精。遅まきながら人との関係を学んでいくしかない。


 風呂で思案した髪専用の液体石鹸は薬師のお婆のレシピをもとにさわやかな香りを追加したもの。

錬金術を応用したものは艶と髪に張りを与え花の香りを追加した。さすがに錬金術を使って作ったほうが髪がさらさらとしているのにまとまりやすく艶も良い。


 リリーはライの髪を編み込みのハーフアップにしている。ライの頭の周りをあちこち飛び回りながら楽しんでいる。リリーの楽しみが増えることは良いのだが今まで着ていた冒険者の古着が消えた。

綿のシャツやブラウス、チュニックと一見スカートに見えるパンツが何種類も並んでいた。


 革の靴さえ色変わりで5足もある。冒険者の服は捨ててはないので採取に行くときは出してくれるらしい。

髪型が決まれば服装のチェックをする。薬師のお婆にもらったポシェットにはレースが付いたカバーが。収納のついた背負いかばんは茶色の革のかばんに代わっていた。

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