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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
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49 大人の試練? 世の中良き人ばかりではない

 商業ギルドに定期的に納品する日が続いた頃、グレイが教えてくれた。


「モズのファイルは没落貴族の5男でごり押しで商会に鑑定ができると仕事に就いたらしい。あれ結構見てくれがいいし女に優しいからもてるらしいよ」

「えっ女に優しいってどういうこと?」

「だからライみたいな男女でなく出るとこが出ていて引っ込んでるとこが引っ込んでお金持ち!の女」

「えっ男女て誰の事?・・・・私の事ではないよね」

ライはグレイを睨みつける。


「だ・・だから子供は相手にしないの。わかって言ってるだろ。それで身持ちが悪いから金がいくらあっても足りない。女から金借りてる。

人当たりがいいもんだから騙される人も多い。それに今商会の取引している跡取り男爵娘と縁を繋ごうと頑張ってる。


このまま行ったら平民にならざるを得ないから必死なんだ。そこでライから安く仕入れた薬を正規で売って差額を懐にしたら結構儲けた。

それに味を占めてほかでもちょこちょこやってる。数字的には釣り合うからまだ商会では問題になっていない。


 ただ不当な取引が増えて契約更新をしていない取引先が出ている。リア師匠は向こうで更新したけどライはしてないだろう。

あいつ商売は一時の仕事と思ってるから契約とか良くわかっていない。

ライはリア師匠の契約を引き継いでいると思ってるようで納品に来ないことをすごく怒ってる」


「よっぽどグレイの方が怒っている。

もうモズ商会とは取引しないから関係ない」


「それがね。ライの薬ほど利益率の高い商品がないから押しかけてくるかも」


 商業ギルドに納品に出かけた先でファイルは待っていた。

「小僧!えらい度胸があるもんだな。出来損ないでも取引してやったのに。契約した商会に納品しないとはどういうことだ。高額の違約金を払えるのか」

青筋立てたファイルは人目も気にせず怒鳴り声を立てた。


「えっ、モズ商会と契約していないんですけど」

「嘘つけここ半年納品に来ていただろう。子供だって契約は契約だ。お前の出来損ないでも買ってやっているのに。感謝されることはあっても文句を言われることはない」

そう言ってライの腕をつかむ。


グレイが肩からひらり舞い降りてむきゅと研ぎ澄まされた爪を剝き出しにしてファイルの腕を引っ掻く。

「何しやがる!このくそ猫!」

ファイルはライの手を放して自分の腕を擦りながら地面に舞い降りたグレイを蹴り上げようとする。


ファイルはグレイを蹴ることなく空振りし尻もちをついた。地べたなど座ったことがないファイルは言葉を失い青ざめた。

そこへ見回りの憲兵が集まってきた。


「街中で子供相手に何している」

「こ・・こいつが契約どおりに納品しないから注意しに来たのに猫をけしかけて俺を襲ったんだ」

「こんな子供に契約というのはおかしいだろう。

それに猫は気まぐれな動物だ。人の命令なぞ聞かない。見てみろ俺は猫好きだからこの猫が俺にすりすりしてるだろう」

なんかちょっと違うような気もする。


グレイがミャーと鳴けば憲兵はなんと可愛い猫だと抱き上げてしまう。困ったことにライの周りには人だかりができてしまった。


「あのう・・・わたしもう成人してます。モズ商会とは契約してないです。商業ギルドと契約して定期的に納品してます。こちらの方が勘違いしているんです」


「嘘言ってもらったら困るね。半年前から毎月定期的に納品していただろう。商会の主任がちゃんと取引していることは確認できている。

今までは師匠の作ったものだから正規で取引できたけど成人したばかりの子供が同じレベルの仕事ができるわけない。

それに商業ギルドとの契約は薬師の資格がなければ取引できない。こいつが嘘を言っているだけだ」

ファイルは大声を上げた。


「困りますね。商業ギルドの前で揉め事ですか。あれ・・ライさんじゃないですか、お久しぶりです。あれから良い物件見つかりましたか?またこちらにお声掛けください」


「商業ギルドの方、丁度よい。なんか商会との契約がどうのこうのと揉めているようだから。中で仲介を頼めないか?人だかりができて困っている」


「わかりました。このピエールにお任せください。ライさんと…そこの方商業ギルドの会議室を用意します。

こういうトラブルの仲立ちも我々の仕事ですから」

そういって商業ギルドの中に案内された。いつの間にかグレイはライの肩に戻っていた。

花粉が嵐のように舞っています

つらい日々です

皆様もお体大切にしてください

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[一言] 没落貴族で5男ってことは元男爵か子爵かねえ
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