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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
33/176

33 ライ、イートンからウエートの街に移る。

  ライ自身やグレイの事を顧みた。

いつも部屋で隠れるように暮らしているグレイが可哀そうだった。ライ自身も自由にお薬を作ることが出来ない。薬師のお婆に頼まれたこともまだできていない。


 薬師のお婆の紋章は、ロッキング伯爵の物と分かった。イートンより西の街ウエートの街の伯爵様だ。

 先ずは街を移って足場を固めてからだ。商業ギルドに結構なお金がある。とりあえずの生活費には困らない。


 ウエートのさらに西には、迷いの森と言われる森がある。多くの冒険者が働いているらしい。薬草採取でもとりあえずは暮らしていけるだろう。


 決まれば早いうちにこの街を出よう。止まり木亭を出るのは寂しいが、変に名前が表に出てしまい暮らしづらくなった。

女将さんは事情を分かっているので、知り合いの宿屋を紹介してくれた。グレイが街猫に挨拶したらすぐに出ることになった。


 時間を置くと決意がそがれるので、女将さんに告げた5日後に乗合馬車に乗ってウエートに向かった。


ウエートの街に着いてすぐに、女将さんの紹介の安らぎ亭に顔を出した。

女将さんの紹介だと伝えると快く受け入れてもらえた。

 本通りの中ほどにある冒険者ギルドに、移動の届けを出し依頼を確認する。冒険者が多い。薬草採取の常設依頼が何種類も出ていた。回復薬や傷薬などの薬草が多い。


 これならどうにかなりそうだと安心した。街の作りはイートンとほぼ変わりはないので、街に馴染むのは早そうだ。

誰も知らない新しい街で、心機一転頑張っていこう。出来るならグレイが気兼ねなく過ごせるように古くても自分の家が欲しい。


 宿の仕事が無いので、朝から常設の薬草採りに迷いの森の浅瀬を見て回った。傷に効くヨモ草と痛み止めのケンナ草は見つかったが、初心者が採取しつくしているせいか生育が悪い。もう少し中に入らないと良い物は採取できない。


「なあ、ライここが迷いの森と言われているの知っているか」

「うん、初めての森だからと受付の人が教えてくれた。森の中に人が入りこむといつの間にか森の外に出される。

さらに奥に入ると出口が分からなくなって迷子になる。

いずれは出てこれても数日かひと月か一季節ほどかかるらしい。その間の記憶をなくすと言われている」


「妖精のいたずらなのかもな」

「だから慣れないうちは森の浅瀬で採取した方がいいと言ったんだ。

でも、こんなに荒らされていてはもう少し中に入って探さないとだめだよね。初心者冒険者はパーティーを組んで森に入った方が安全だと言われたけどグレイが居るからね」

「おお!まかせておけ。ここに人の踏みしめた小道があるからここから入っていこう」


 小道を歩きながらライは目の高さの小枝に麻紐を結んでいく。小道が消えてしまったら迷子になってしまうからだ。

 まばらだった木々が増えて下草が少なくなってきた。その代わり木々の間に、すっぽりと小さなくぼ地ができ日の光が重なった葉の隙間から差し込み柔らかな陽だまりを作っていた。

そこには多くのヨモ草が鮮やかな黄緑の葉を茂らせていた。


「すっごい。誰も採取してないみたい」

「納品分を入れても十分採取できるね。近くに魔物はいない様だ。俺周りを見てくる」

そう言ってグレイは姿を消した。


 ライが使うことのできるヨモ草はいくらあっても困らない。一度に納品したら値崩れおこしてしまう。品質も落ちてしまう。お婆に貰った薬師カバン様様だ。


 夢中で採取していると、ライの目の前にマナ草と文字が浮かぶ。よく見るとヨモ草の陰に数本のマナ草が隠れていた。


 鑑定スキルが働いている。何千回、何万回薬草を探して手に入れたスキル。ほかの人は、それでもスキルは得られない。

魔力操作の訓練を続けたかいがあった。女神に感謝だ。得たスキルをを活かさないと宝の持ち腐れだ。頑張れば、レベル上がるかな?


 12歳になったら教会で成人の儀を受けなければいけない。それまでに延ばせるスキルを増やしておきたい。収納スキルも今はほとんど使っていなかった。魔力量を増やすには魔力を使うことが必要だ。


 スキルを上げるにはスキルを使わなければならない。成人の儀前までは伸び率が高い。その後は修練が大変になるらしいと言っていった。

これからは歩きながらでも鑑定を作動させよう。収納は毎日部屋の机や寝台の出し入れをして・・・なんて考えながら8割がた採取した。

マナ草以外にもケンナ草やアオ草も数十本採取できた。


「グレイ、お昼にしよう」

呼びかける

「ライ、あっちにも所々ここみたいな陽だまりがあって薬草が生えている。

小道はうねうねと動いてるから、人が歩いてたどり着けない。だから陽だまりの薬草が手つかずなんだと思う」


 そう言われてライは自分が歩いてきた小道を改めて見るといつの間にか消えていた。小枝に結んだ麻ひもだけが残っていた。

一人だったらここで迷子になっていただろう。とりあえずヨモ草は取れたので一度森の外に出ようと麻ひもを解きながら戻っていく。


「ライ、俺なら迷わない。麻ひもなんて結ばなくてもいいよ」

「ダメだよ。グレイは頼りになるけど、それだけでは自分の身を守れない。自分が出来る事はしていかないと。

魔物が出てきてグレイが戦っている時、自分が戦えないならグレイの邪魔にならないように逃げ道を確保しておかないといけないと思う」


「そうか 俺は姿消しができるし転移もできるが、ライを連れては出来ない。いつも一緒というわけではないからな。しばらくやっていなかった攻撃訓練を再開しよう」

「うーん 攻撃訓練は遠慮したい・・・・・・・」


「ところでなんで結んだ紐をほどく?そのままにしとけばいいのに」

「う・・ん。悪用されたくないから、かな? ここは迷いの森。紐を結んだ木が動かないとは言えないよね? 人の痕跡を残したくない」

「ふーん。ライも一応考えてるんだ」

「失礼しちゃう。お昼は抜きね」


 慌てたグレイはライの肩に乗りほほにすり寄った。

「グレイには感謝してるの。お昼抜きはうそ」


ライとグレイは何事もなく迷いの森を抜け街に戻った

誤字脱字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本人はいたずらのつもりでロープほどいて帰れなくなるとかこわいもんなあ
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