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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
29/176

29 商業ギルド嬢の言い分

誤字脱字報告ありがとうございます。

 ライの身内だという男性を追い返した数日後。昼のお店に場違いなフリルいっぱいのワンピースを着た女性が訪れた。


 その顔は怒りで真っ赤になっていた。ずかずかと入ってきて周りのお客さんなど見ていない。両手にランチセットを持ったライはびっくりしてもう少しで落とすとこだった。


「わ・・わたし30過ぎていないわ。それにほら吹きって言ったらしいわよね。噓つきの宿屋なんて商業ギルドで潰してやる。


あんた孤児の癖に身内が名乗り出たら嬉しいんじゃないの?嘘でも良かったじゃない。もしかしたら本当の身内になれたかもしれないのに。ギルドにお金があるのに借金が残っているってどういうこと?

さっさと返しなさいよ。それでも借金が残るのかしら?

金の切れ目が縁の切れ目。孤児なんてだれも相手をしないわ。可哀そうだと思って人助けをしてあげたのに馬鹿にするのもいい加減にして」

大声でライに向かって怒鳴りつける。


 ライは孤児だからといって悲観などしていない。身内が欲しいとも思っていない。薬師のお婆をはじめボブさんやヨロンの街の人に良くしてもらっていた。止まり木亭の人達も本当に良くしてくれる。

それにライには頼りになるグレイがいる。偽の身内など必要としない。ライの横から女将さんが口を挟んだ。


「あんたなんだね。ライの嘘情報を流した小娘。ここに来た人がライが大金持ちだと言われたとあんたから聞いたと言って来たんだよ。

商業ギルドは個人の情報を嘘だろうが本当だろうが喋っていいのかい?」


「う・煩い。あんたのせいで婚約話が消えたじゃない。生意気な孤児なんか痛い思いすればいい」


「わたしあなたに何かしましたか?会った覚えさえないのに」


「覚えていない‼この私を覚えていない‼あり得ない。商業ギルドの花形受付嬢なのに」


「子供の私には関係ないもの。それに大金貨なんて持っていないのに」


「わたし知ってるのよ。ピエールさんと話しているのを聞いているんだから嘘つきではない」


「ああ、ピエールさんが言ったのは、米を美味しく食べるのは大金貨ほどの価値があると言ったことですか?とんだ聞き間違え。

孤児の私がそんなお金あったらこんなに一生懸命働いていませんよ」


「い・いいわ。そんなに否定するなら私がギルドに預かっているお金を調べるわよ。大金貨あったら私が慰謝料として貰うわ。逃げるんじゃないからね」

そう叫んで店を出ようとしたらそこにピエールさんが立っていた。


「皆さんお騒がせしました。このようなことが起きるとは嘆かわしい。これも私の管理不足です。深く陳謝します。とりあえずこれを連れて帰ります。ライちゃん迷惑かけたね」

そう言って真っ青な顔になった受付嬢を引き連れて帰っていった。


 親方が商業ギルドに連絡を入れた。ピエールさんが対応に来てくれた。以前からこの問題を相談していたらしい。


 商業ギルドの受付嬢ドロンさんは、商業ギルドの情報漏洩で、懲戒免職となりギルドとライに迷惑料の支払いが言明された。

 ドロンさんには個人の貯蓄など知る権限はない。まして勝手にお金を引き出すことは出来ない。酒場の噂程度の事ではなく商業ギルドの信頼に関わることで大事になった。


 ドロンさんは酒が大好きなうえに酒に飲まれる質らしい。以前から何とはなしにギルドで気づいたことをよく話していた。本人は単に酒の肴程度だったらしいが。ピエールさんが両親を前にして、こんこんと説教をして初めて自分の仕出かしたことを知った。


 どれだけライに迷惑をかけたか説明されたらしい。攫われて金が無かったら売られたかもしれない。迷惑料の支払いにドロンさんを売るという話までしたそうだ。

 両親がしっかりしているのでドロンさんは売られることはないけどお酒を断つためにも修道院に行くらしい。

 修道院がどんなとこかわからないけど。口は禍の元という。それなりに綺麗な人なのに勿体ないなとライは思った。


ライはお金持ちとの噂はすぐに立ち消えた。代わりに親の借金を健気に返済する子供と言われている。それはそうだよ誰が金持ち孤児なんて信じる。借金がある方が信憑性が高い。


ライが思案しているうちにこの騒ぎもあっという間に鎮火した。

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