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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
23/176

23 女神の祝福はなに?  

後半グレイ視点になります。

 祝福を授かったと司祭が話す。 

「さあ立ち上がって下さい。貴女の敬虔なる信仰心があなたに祝福を授けてくれるでしょう」

司祭に促され祭壇の部屋を出る。すぐに次の子供が入っていった。押し出され教会の外に出た。


「ライは女神様に会ったこと覚えている?」

恐る恐るグレイが聞いてきた。誰かと会ったような気もするがはっきりとは覚えていない。


「グレイ、女神・・・・様? 誰かに会ったような気がするんだけどよくわからない」

「そうなんだ。女神がね。ライの前世の記憶の一部が残っていたから消しておくって。でも、今までのライが変わるわけではないから気にしなくっていいって。


 前世の人格は本来天界で消してしまうのに手違いがあってライに迷惑かけたからって謝っていたよ。ただ天界の事は秘密だからライが覚えていないだけ。気にしなくていいよ」

顔色を窺うようにグレイが言葉をつなげた。


「それより祝福は貰えたのか?その方が大事だ」

「司祭が貰えたって言ってた」

「女神が祝福してくれると言ったから大丈夫だよ。もう少ししたらお告げがあるよ」

グレイの言葉でライはほっとした。


 周りを見れば子供たちの声が聞こえる。

「俺強腕だ」「わたし裁縫」「料理だ!店継げる」「計算だ・・・」


大声を出す者もいれば残念そうに俯く者もいた。ライの頭に女神の声が響いた。思わずグレイと目を合わせてしまった。


『 ライシーヌに魔力操作のスキルを授けます。磨けば磨くほど魔法の幅が広がります。お詫びに空間収納を授けます。魔力の器を大きくしておきますね。食事をして運動して健康になって下さい 』


「良かったな。大きくなれるってよ。魔力操作のスキルは万能だよ。磨けば磨くほど繊細な魔法操作が出来る。磨けば新たにスキルを身に着けることが出来る。やったね」

グレイの言葉でやっと安堵した。

祝福の儀式の夜。ライはグレイとこれからのことを話し合った。


「ライ体調はどう?俺のことやボブ、薬師のお婆、覚えている?」


「覚えてる。大丈夫。いつもの誰かが側にいるような不思議な感じがなくなった。私がライシーヌだとはっきり言える感じ?変な言い方だけど霞がなくなってすっきりした」


「きっと前世の魂の記憶が残っていたんだね。その人の生きてきた大切な記憶がライには負担をかけていたんだ。一人の人間に二人の魂だよ。きっと前世の人、大人だろう。ライの子供の体には負担だったと思う」


「それよりグレイ、魔力操作のスキル磨かないとね。空間収納は魔法の鞄と同じかな?」


「うん。ライ,良いスキルをもらったな。魔力操作を磨けば今ある魔力でも効果的に魔法を使える。新たなスキルも得ることが出来るよ。空間収納は今の魔法鞄より小さいかもしれないけど魔力量が増えればもっと収納力が増えるし使い方も工夫できるようになる」


「えっ! スキル増えるの?」


「当たり前だ。毎日料理していても普通の主婦は料理スキルは生まれにくい。料理に真剣に向き合い腕を磨いている料理人は、料理のスキルが生まれる。ただ簡単ではない。普通は何年もの修行が必要だから。


 さらに大人になるとスキルの確認なんてしないからスキルが増える事なんて知らないんだよ。ギルドの酒場のマスターはライと一緒に料理している。さらに魔力を上手に使っているから効率がいい。あと数年すれば料理スキルが生まれると思うよ。祝福で得られるスキルは見習いになれるレベルだ。活かす努力が必要なんだ」


 グレイの話はとてもわかりやすかった。

ライは魔力を効率良く使えるスキルを手に入れた。そのスキルを磨けば色々な魔法が使える。魔力操作の達人になればスキル取得が出来るらしい。

 そうしたら4大魔法だって使えるかもしれない。4大魔法はいらない。鑑定魔法と調剤スキルが欲しい。


「俺が教えてやる。前の旅人がこの隣の大陸の魔道士だったから任せておけ」


グレイは偉そうな態度でライに宣言した。ライはいつものようにグレイを肩に乗せ、街に向かった。今日は豪華に屋台でお祝いをしようと目論んでいた。


*****


 今のライは年相応の笑顔を浮かべている。声を出して笑っている。そして未来を考えるようになった。生きること以外に夢を持てるようになった。薬師のお婆が言うように、祝福を得てこれからの生き方を決めることができる。

これからもグレイはライの相棒としてライの人生に付き合おうと思っている。


 女神の祝福を得てもライの生活は大きくは変わらない。

冒険者ギルドで依頼を受けて森に向かい薬草を採取する。家に帰って家事をして過ごす。

 空いた時間にグレイ先生の魔力操作の特訓が追加された。

魔力を小さな穴に通す。少しでも丸枠に触れると木枠が破壊される。魔力を広く薄く広げる。魔力を網目状に広げる。魔力消費が少ない。


 魔力にねじりを加えるとさらに細い魔力線で威力が高まる。グレイはライに思考する時間をもたせた。

記憶に残る情報がライの体に馴染んだことで今まで以上にライは聡明な子供になった。


 前世の人格は消えても身に着けた知識は蓄積されている。本来天界で消されるはずだった。ライはそれらの一部を身に残している。女神は今更消すことが出来ない。消してしまえばライは赤子のレベルになってしまうからだ。


 しかしいずれはその異質さに気づかれる。

ある程度鍛えたらこの街を出た方がいい。生活魔法の指導や料理のレシピさらに薬草の採取能力。最近は薬草がどこにあるかわかるようになってきたと言っていた。鑑定スキルがもうすぐ発現しそうだ。


 ライの前世の人は魔法を得意としていたんだろう。ライは料理が得意だ。魔法料理人になってくれると毎日おいしい料理が食べられてグレイは幸せだと思った。

誤字脱字報告ありがとうございます。

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