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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
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158  北の公爵領 ライ攫われる 12

途中バッサリーノの視点あり 

(北の公爵領 お料理教室 12 は11と重複していたので削除しました)

 グレイは不機嫌なままライを公爵家の別邸から洞窟前に転移で連れ去った。グレイは洞窟前に到着しても機嫌が悪い。料理の話に夢中になっていたことが悪いのかライには分からない。


「グレイ、まだ話の途中だったのに」


「ライは甘いんだよ。あれではライが料理したのバレバレだろ」


「そんなことないわよ。こんな小さな体では無理でしょ」


「そういう問題じゃない。分からないならいい。料理だって見本と言いつつ沢山作り過ぎだろう」


「荒れた伐採地を人の力だけであれだけの範囲を修復していくのは大変なのよ。それに慣れない浄化でふらふらな状態だと思うし・・」


「大丈夫だ。人手足りないとこはじいさんが仕切ってくれる。ライが気にかけることはない」


「そうだけど、公爵家の二人はとても暖かい魔力を持っていたから・・きっと良い人よ。料理長だってとても腕が良かったわ。グレイだって認めているでしょ」


「俺は食べてない」「スネは食べたかった」


「昨夜の食事と朝食食べなかったの?」


「「「食べた」」」


 グレイやスネ、モス達はしっかり美味しく平らげたのに忘れているなんて困ったものだ。久しぶりにゆっくり寝台で休めたから仕方ないかもしれない。ここを片付けたら屋敷に帰るつもりのグレイとライだったが、ジャックフロストから人海戦術の荒れ地修復が上手くいかないから、モスとスラを借りたいと連絡が来た。


「ライ、今日は洞窟でお泊りだ。準備していてくれ」


 グレイはモスとスラを連れて荒れ地に転移していった。自然を壊すのは簡単だが修復は難しいようだ。ライはイエローと二人で洞窟の中の枯れた草や花株を片付け、夕飯の準備と過ごしやすい部屋に作り替えた。一番奥に飾り棚を作り亡くなった妖精猫に花をお供えした。皆でくつろげる広い土の台を作り手持ちのクッションや絨毯を置いて、夜は寝台になるようにした。


 イエローは土壁に可愛らしいカーテンを設置して、その横に魔石ランプを置くことでまるで明るい客間の様になってきた。そこからはライとイエローはライの収納からテーブルや椅子、クローゼット、いくつかの飾り棚を取り出し配置した。ライとイエローが作った土人形のグレイやジャックフロスト、モスにイエロー、ライを飾ってみた。まるでライの屋敷の居間のようになってしまった。小さな体で魔力を使い果たしたライとイエローはグレイが戻るまで、クッションの上で一休みすることにした。部屋作りに夢中になったライたちは外の音に気が付かなかった。


*******


 バッサリーノは北の公爵夫人に一目ぼれした。王都の社交場で妖艶な姿のエビルは、北部では見ることが出来ない女性だった。エビルが北の公爵夫人とは出会った時は知らなかった。既婚者ではあるだろうが、そんなことは関係なかった。一度彼女と目を合わせば抗うことなどできない。


 エビルは王都にいてこそ華になる女性だった。社交シーズンが終えても北部に帰らず王都の暮らしを楽しんでいた。父の代わりに王都の社交を担当した俺は、同じ北部ということでエビルと顔を合わせることも多かった。いつからだろうエビルと親しく酒を飲み、夜遅くまで過ごす楽しさに夢中になった。彼女と夜を共にするのに時間はかからなかった。


 エビルはノルデン公爵と別れて王都に戻りたいと囁いた。バッサリーノにとっても都合がいい。エビルと結婚することは出来ないが、彼女を失いたくはなかった。今の関係は続けるには金が要る。そこで提示されたのが禁足地での伐採だった。堅実な二家の伯爵家が担う北部の木材産業に少し手を加えるだけでエビルとの関係を続けることが出来る。


 エビルの用意した書類にバッサリーノとエビルの名が並ぶ。二人の関係に秘密の共有というスパイスが追加された。それが逢瀬を重ねるごとにエビルからの金の催促が増えていった。秘密の共有がエビルの息子へと広がっていった。愛のスパイスが効きすぎたことに気が付いた時、エビルから貰った父の滋養の薬が、父の体力を奪い始めた時にはもう後戻りできなくなっていた。父の世話を使用人に任せることなく世話をする母の姿に胸が痛くなった。それでもバッサリーノは流された。


 父が見つけた禁足地の伐採許可書をつきつけられ、バッサリーノは父親に部屋に監禁されていた。母はそれでも俺を助けてくれた。俺は南の領地のアブクゼニ商会に逃げ込む予定だ。父の体の調子は悪いはずだ。すぐに怒りは長続きしないだろうし、母が父を諭し俺が伯爵家に戻ることになる。跡取りは俺しかいない。今度はもっと上手くやれると自負していた。


「何だここは?木に飾り付けしてあるし花が植えてある。前に通った時にはなかったようだが・・あれはなんだ?洞窟か?」


 バッサリーノは洞窟の中に入っていった。いざとなったらこの洞窟に隠れて過ごすのもいいかもしれない。暗いはずの洞窟の奥は魔石ランプのおかげで明るく椅子やテーブル、飾り棚に大きな寝台が置かれていた。よく見れば寝台に小さな人形?が置いてあった。バッサリーノはライの体をむんずと掴み布袋に押し込んだ。そのまま背負いカバンの中に放り込んだ。


「人形?小人か?・・高く売れるかもしれない。母から金を貰ったが金はいくらあっても困らない」


**********


 ぐっすり寝ていたライは布袋の中で目を覚ました。ガタガタと揺れながらどこかに移動している。時折休憩を挟むも急いでいるのか移動時間が長い。


「〇〇様、もう少ししたら野宿になります」


「分かった」


「すぐに野営テントを「まて、目立つから毛布にくるまって寝る」」


「奥様が心配します」


「母上が逃がしてくれなければ俺は一生牢の中だ。二・三日の野宿ぐらい地下牢に比べればたいしたことない。俺が南に着いたらお前たちは屋敷に戻れ。探しても見つからなかったといえば母上が上手く取り計ってくれる。


 南には今回の木材の取引先の商会がある。こんなことことになるとは思っていなかったが、頼ればそれなりに助けてくれるはずだ。心配するな。父の誤解が解消されれば次期当主に戻れる。それまで弟を助けてやってくれ」


「分かりました。奥様の指示に従います」


「まあ、父の体調が悪いから母と執事と弟が代行をするだろう。2・3年静かにしておくよ」


 その後はバタバタと野営の準備に入り無理な異動で体は疲れていたようで外は静かになった。ごそごそと音がしてライが閉じ込められた袋のひもが解かれた。ライは慌てて寝たふりをした。


「良い拾いものをした。王都の貴族にでも売れば高値がつくだろう。北の森は本当に金の生る森だ。これ一匹ではないだろうから、森が落ち着いたら探したいものだ。逃げられては困るから金袋の中に入れておくか」


 ライを攫ったのは無断伐採の張本人のようだ。確か名前は「バッサリーノ」母親が子供可愛さに逃亡の手助けをしたようだ。バッサリーノの本人が木を伐採するわけないし、あの隠れ地的な場所を決めるのも彼ではない。それに伐採した木材を隠れて運び出す人もいれば、売り払う人も必要になる。ということはまだ解決していない。逃走の疲れが出たバッサリーノの達が寝入った所でイエローはライに声を掛けてくれた。


「生きてる?」


 イエローの声が袋のすぐ上から聞こえる。


「元気よ。まだ魔力が回復しないからこのままここに居るわ」


「どうしたらいい?」


「イエローはこのまま私に付いて来て。元気だとリリーに伝えて。小人は売る予定だから手荒なことはしないから心配しないで。南の領地に向かってるみたい」


 さすがにライが攫われることに驚いたイエローは、ライが入った背負いカバンにしがみついた。先ほどまでの楽しい時間が急転直下の悪夢になった。イエローは経験したことない出来事にどう動いたら良いか分からなかった。


 ライが攫われたとグレイの所に行くには転移でないから時間がかかる。イエローの魔法では騎士数人の相手に戦えないし、ライに何かあったらどうしようかと思うと何もできない。ともかく最後までライについて行こうとライの入った背負いカバンにしがみ付いた。

誤字脱字報告ありがとうございます

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