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神の落とし子  作者: ちゅらちゅら
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15 衣食住が決まりました

 ボブの家は2階建てのこぢんまりとした庭付きの家だった。留守がちな様子が見えない程度に庭や玄関回りの手入れがされていた。入り口のドアを開けるとすぐに居間がある。奥に台所などの水回りがある。居間の横に小部屋がついていた。2階にはボブの部屋のほかに2部屋ある。ボブが結婚して住めるようにと一軒家をもらい受けたらしい。


「ライ、飯は台所のテーブルで食べよう」


「お茶は僕が入れます。明日からは僕が食事作ります」


「しばらく俺は弟の店の手伝いに出る。食事は昼と夜はいらない。勝手に台所使ってくれ」


「食事がいる時は声かけてください」


 さすがに男の一人暮らし、台所はさっぱりとしている。食器はコップに皿が数枚あるだけだ。鍋などの調理器具を確認しておかないといけない。魔石コンロでお湯を沸かし、手持ちの茶葉で薬草茶を木のコップに入れる。


「僕はギルドで自分の出来る依頼を受けながら街に慣れようと思います。あと家賃をいくらにしたらいいですか」


ボブさん串肉をポロリと口から落とした。


「ライ気にしなくていい」


「でも出させてください。甘えていては独り立ちできないから」


「今でも留守を隣の人に頼んでるんだから、その代金が浮いた分を家賃代わりにさせてくれ。人が住まないと家が傷むから、ライがいてくれたら助かる。掃除もしてくれるだろ?俺の方が管理費を払わなきゃならないくらいさ」


ボブさんは落とした肉をポイと口に戻してお茶を飲んだ。


「俺は結界張ってこの家を守る。任せておけ」


 グレイは両手に串肉を持ち口いっぱいに肉を詰めながら胸を張って見せた。ライはボブの家にお世話になることにした。村の家と違って家の中に水浴びするとこや洗濯する場所もある。トイレは水洗になっていた。


 いつもドキドキしながら外トイレを使っていた。特に夜は怖かった。水洗のトイレが一番うれしかった。だって大人用の外トイレは、穴が大きいので何度も落ちそうになったからだ。


 居間の横の小部屋をライとグレイの部屋にしてもらった。夜になり、水浴び用の大きな桶にお湯を張って、ライは小さな体を沈めた。村で人買いに売られる前にと夢中で家出の準備をしてボブを頼って街に入った。今思えば、お婆が居てくれたことが幸運だった。


 ライの中のもう一人の誰かが早く逃げろと追い立てる。村で養い親や兄たちも子供らしくない、可愛げない、視線が気持ち悪いとよく言われた。


 ライは普通の子供を知らない。兄たちの様に体が大きくないだけで、みんなの話していることは理解できていた。ただ小さい体では出来ないことが多かっただけだ。それなのにみんなに毛嫌いされているのは分かっていた。


 朝は6の刻に起きて朝食を作りテーブルに出しておく。ライとグレイは早々に食べる。簡単に掃除を済ませ、ギルドで依頼を受けに行く。Fランクの依頼は街の中や薬草取りが主になる。Dランクより上の掲示板はその隣にある。


 大人の冒険者に踏みつぶされないように、気を付けないといけない。ギルドからの配達依頼や庭や畑の草取り、宿屋の掃除にゴミ運びなどを毎日こなしていった。まだ小さいライであっても依頼を済ませればちゃんとお金が支払われる。日々暮らすための食費や雑貨を賄うことが出来る。宿に泊まっていたら無理だったかもしれない。


 お婆が言っていた。仕事は丁寧にまじめにやっておけば間違いはない。収納ポーチと隠れて生活魔法を使う。そしてグレイに手伝ってもらいながら依頼をこなしていった。


 猫を連れた少年はライが思っているよりも街の人に好かれていった。ライは慣れない仕事だからこそ真面目に依頼を受けている。いつも薬を配達するおばあちゃんには孫の様に思われお茶をご馳走になる。庭の草取りをすれば出来栄えがいいと割増料金を貰うことが出来た。宿屋の掃除は手早くきれいだとFランクなのに指名依頼が来る。


 街でスリや物取りに遭いそうになるとグレイが知らせてくれる。物陰に隠れたり小石を風で飛ばした。スリや物取りの気をそらしてすり抜ける。ボブの様に良い人ばかりでない。ライは自分の身を守ることを学んだ。


 グレイはやっつけてやると言ったが、返り討ちに遭うのはライだ。グレイの存在が広まるのは困るので、「逃げるが勝ち」の戦法を取るようグレイを説得した。グレイは納得せず街猫を使って嫌がらせ行為をしているようだ。たまに顔に引っ搔き傷をこしらえている人を見た。

誤字脱字報告ありがとうございます。

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