第八話 追憶(sideフォルン)
出会った時から不思議だと思ってるの。
スロウスの事もそうだけど、偶然だとは思えないの。
何故なら普通の人間にはない妖精の大樹と同じ様な黒い穴。
それに、物凄い魔力量。
見たことの無いスキル。
誰と似ているのかは忘れたけど、遥昔に1度会った気がする。
でも、スロウスと雰囲気が違うのよね。
ソイツが普通だったことはなかった。
恐らく別人なのよ、でもソイツから感じたのは。
強くて、異常。
そして脅威。
今まで感じたことのない眠気まで吹き飛ぶ恐怖。
それだけは覚えている。
なんでスロウスがアイツの雰囲気に似ているのかは分からないわ。
でも、アイツからは怖さを脅威を感じないの。
感じるのは。
強くて、普通。
そして驚異。
今までの人間なら、睡魔を見て邪妖精だとか、逃げろとか怒鳴って怖がって退治しようとしてきたわ。
それは常識だったのよ。
彼ら人間からしたらね。
でもスロウスは会って気持ちよく寝てたの。
私を目の前にして普通そんな事しないのよ、スロウスは私から逃げなかったどころか、『僕と一緒に来ないか?』なんて誘われちゃったわ
初めてだったのよ?人間に誘われるなんて、嬉しくて着いてきちゃった。
最初はスロウスのお父さんとお母さんも受け入れようとしてたみたいだけど。
それを見てスロウスは
「お父様、お母様、睡魔が邪妖精だという噂は迷信です。本当は眠るのが大好きで優しくて面白い妖精なのですよ?」
って言ってくれたわ、そしたらこの家でも少しだけ楽しくやれた、色んな人が優しくしてくれたわ。
1人のメイドを除いてだけど。
そのメイドの名前はラティスっていうの。
どうにも、スロウスの事が好きで私が近くにいるのが羨ましいみたい。
でも、一緒に話したりしている内に打ち解けて和解したのよ?
今じゃ私はラティスの恋路を応援しているわ。
にしても、何処で誰の雰囲気に似てるのかしら…
スロウスのあの雰囲気
まあ、いいわ?その内に思い出す事でしょう。
今思い詰めて思い出すことでもないですし、それに眠りの妨げになってしまうわ。
お昼の魔力も少し回復しないといけないからね。
妖精の手品は使い勝手はいいけど、魔力を大きく消費するのが難点なのよね。
まあ、減ったらスロウスの中に入って少し魔力を分けてもらう事で回復してるからいいのだけれど。
ちなみに本人には許可は取っていないわ!!
取る必要はないのよね。
そもそも妖精の大樹と性質が似ている黒い穴があるのも不思議だけど、あの大樹と似ている性質まで持っているのも不思議なのよね。
あの黒い穴に妖精が入れば魔力を回復させて貰えるのよね。
本体の魔力からじゃなくてよく分からないところから魔力を貰ってるの。
その魔力の出処は私にも分からないわ。
今スロウスで分かっている事は、
・この世界の人間ではないこと
・なぜか妖精の大樹と同じ性質を持つこと
・昔同じ雰囲気、少し違うけど同じ雰囲気の奴に会った事
・そいつは怖いけどスロウスは怖くない事
・訳が分からない事
これだけね、ってあ"ー!!難しいこと考えて眠れなくなってるわ!!
もういいわ、寝るわ!!意地でも、おやすみっ!!