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素行の悪い神様は死ぬ

ブックマーク有難うございます!

そして、すみません。大幅に書き直したので読み直していただけると幸いです (﹡ˆ﹀ˆ﹡)

ここは神界、神々が住まう場所だ。

空に浮かぶ島は幻想的で、とても美しかった。空島は幾つも浮いているがそれらを繋げる虹の橋は透き通っているから怖がりな神様はこの橋を渡れない。そんな空島のひとつで、悪戯の神レーヴァティは今日も悪さを働いていた。


「こら、レーヴァティ! なにしてるんだ!」


額にまで癇癪筋を浮かべている神の一人はとても怒っているのにレーヴァティの顔に反省の色はない。レーヴァティは神界では最も年下なためみんなの弟のような存在で、悪戯の神ということもありある程度の悪戯は仕事ということで可愛いとさえ思っていたが最近は悪戯の度が過ぎて来ている。今も下界へと石を投げている最中で、頭に石を当てられた人間は大怪我をしているのに心配するどころか腹を抱えて笑っていた。


「何って、今日もせっせと仕事をしてるだけだ」

「人々に怪我をさせて何が仕事だ! ふざけるのもいい加減にしろ!」

「はぁ・・・? 寧ろ感謝して欲しいね」


レーヴァティに何度注意をしても、人を傷付ける行為を悪い事だと理解しない、寧ろ反発してくるうえに反省のなさには呆れを通り越して尊敬をしそうになるほど。

神々の中でも末っ子のレーヴァティの悪戯は初めは可愛らしいものだった、けれど、次第にエスカレートしていき可愛らしいと呼べる行為ではなくなってしまった。

だから神々は考えた、どうしたらレーヴァティを改心させられるのか。


「レーヴァティ、反省する気はないのか?」

「反省なんかしない」

「そうか・・・それは残念だ」


神はレーヴァティを空島から突き落とした。

神力のある神にとって空を飛ぶことは朝飯前だから、こんな事で反省すると思っているのかと笑いながら飛ぼうとしたのにできない。突き飛ばされた時に神力を盗られてしまったのだ、気付いた時には急降下で落下している最中だった。


「レーヴァティ、お前を神界から追放する。人間として下界で暮らすんだ...そして       。」


レーヴァティが聴いた言葉はそれが最後だったのに、神の言葉は風の音で聞こえなかった。意識が遠退いていくなかでこれは悪い夢なんだと自分に言い聞かせた。

次に目を覚ますとそこは、1LDKの部屋だった。


「そんな・・・どうして・・・? こんなの嘘だ・・!・」


まるでそこにずっと住んでいたかのように部屋の中は生活用品から食材までなにもかも揃っていた、いつの間にか尻ポケットに入っていた黒い財布にも暫く生活に困らないほどのお金も入っている。だから、レーヴァティは焦るのを辞めた。


(ここで大人しくしていたら・・・きっと直ぐに戻してくれるだろうな、姉ちゃんたち心配性だし今ごろ俺をここに送ったこと後悔してるだろうな)


暫く大人しくしていればきっと大丈夫。

そう思ったから、今は下界を満喫しようとリモコンを手に取ってテレビをつける。


<人気爆発の大人気ゲーム"奈落の半鬼"は好評発売中!>


プロモーションCMが流れた、一時間テレビを見ていたが何処のテレビ局も”奈落の半鬼”のCMを流しているから宣伝の効果で気になってきてしまった。


「とりあえず面白そうだし買っとくか」


レーヴァティはさっそくゲームを買いに行って帰ってきた。

部屋にはゲーム機まで置いてあるからそこに差し込むとテレビにはゲームの画面が映る。ここまで手厚く準備されているから人間界(ここ)で少しばかり謹慎したらすぐに神界へ戻れるというのを改めて確信してゲームを始めた。


《 ──とある世界には五つの種族が存在した。


「人族」「妖怪」「ドラゴン」「神獣」「鬼」

人間はドラゴンと絆を深め、

妖怪とは交流をし、

神獣は神として崇めたてた。

人間が唯一共存出来なかったのが「鬼」。

彼らは残忍で邪悪な悪の化身を連想させるような姿をしていた。人を喰らい、不思議な力である「異能」で生きるもの全てを支配しようとした。

その異能に対抗する様に、人間も異能持ちが現れ鬼を倒す組織「琥珀(こはく)」が設立された。そのお陰で、鬼が有利な状況からは一変して 何千年も攻防を続けた。


──だがある日、何百年も姿を眩ましていた鬼の王が突如としてその姿を現し、「鬼の王」と「人間」の子供「ノア」が発見された事で物語は幕を上げる。》


プロローグを終えて学園へ通う事になったが " 嫌われ主人公 " がウリなだけに最初からイジメが酷くて選択肢を間違えると主人公は即死してしまう。


「はあ!? なんだこのクソゲー!!」


攻略対象が同一人物でも高めた好感度を、愛情に変えて恋愛をするか友情を選ぶのかで一つ一つエンディングが違う。


この物語の主人公ノアは、ただ愛が欲しかっただけ。

愛ならそれが友情でも愛情でもなんでもよかった。なのに、嫌われているのに彼らと仲良くなりたいがために 優して毎回死んでしまう。


───誰か助けて、此処から助け出して。もう死にたくない。


「・・・あ?」


レーヴァティはゲームをしながら寝落ちをしていたが、不意に聴こえてきた声のせいで目を覚ますが部屋には自分一人だけ。聞き間違いか隣の部屋から聴こえてきたのかも知れないと思ったからゲームを付けたままベッドに横になって、今度はちゃんと眠る事にした。


───もう僕はこんな所嫌だ。


付けっぱなしの画面は操作をしていないのに、ゲームの主人公が勝手に涙を流した。




✱✱✱✱✱





「はぁーーーーーー・・・やっとクリアか」


全ての選択を自分で出来るからエンディングは何通りもある。しかし、先の見えないゴールにレーヴァティは疲れてきてしまった。ここに追放されて二ヶ月が経過するが、未だに帰れる予感がしないことにも怒りを感じて自分を見捨てた神々を憎むようになった。


「もう疲れた・・・」


人間が嫌いだった。

無力なのに頑張ろうとするその姿が醜くて見ていて不愉快な気持ちになる。そんな嫌いな人間にされるだけでも最悪なのに神界へ帰れるかも知れないと期待する自分はとても惨めだった。

だから、レーヴァティは終わりにする事を決めた。

ゲームを買いに出て以来、外には出て居なかったが終わりにすると決めた事で、やっと外に踏み出した。


「どこに行こうかなぁ・・・お! あそこいいじゃん」


レーヴァティが見付けたのは二十階建てのビル。

そのビルをエレベーターで最上階まで上がって、立ち入り禁止と書かれている屋上に入って行くと、肌に触れる風は目が冴えるほど冷たく吹きつけた。少し目を細めてからゆっくりと進んで行く、周りのビルが低いお陰でここは街を見渡せた。


「こんなに綺麗ならもっと早く外にでれば良かったな」


力の抜けたような柔らかい笑顔を浮かべてから、細く長い息を糸のように吐いて深呼吸をした。


「大丈夫、怖くない」


自分に言い聞かせるように呟いてから、レーヴァティはビルを飛び降りた。














「どうしてこうなったの!?」

「だから言ったんだ、早く連れ戻せって!」

「こんな事で死ぬとは思わなかったんだ!」

「自分から死ぬなんて・・・」






──うるさい、もう寝かせてくれ。凄く疲れたんだ







「反省をせず、人を傷つけた償いもしないまま全てを終わらせるなど神としてみっともない。」

「──様。もうレーヴァティの事を責めないであげて下さい」

「いいえ、レーヴァティの魂を転生させなさい」






──転生? なんだそれ・・・とにかく今は寝かせてくれ・・・。





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