中国・古典・エロティック文学(小説)大全 中国古典文学に見るエロスの世界。
色欲の道はそもそも、一切が『空』であり、あえて色欲に、落ち込んでどっぷりと、はまるならば
そこからは獣欲の、悪因果が生まれて、
あるいは罪を犯し、人をだまして破滅に追い込んだり、果ては、人の命をも殺めたり、
そうして
結局は、最後は、あなた自身の、投獄と、劫病と、惨死が待っているのみである。
ゆめゆめ、色欲に、どっぷりと、はまり込んではならない、
妻以外に心動かしてはならない、夫以外に心移してはならない
その悪しき因果の根を生やしてはならない。くれぐれも人の道に背いてはならない。
色欲の、手綱を緩めてはならない、、、そう深く心に刻むことである。
色欲をほしいままにしたら、色欲にどっぷりはまったら?、
恐ろしい結末が待っていると分かっていたら、、
誰でも、心ひきしめるはずなのだが?、、
現実は、今日もどこかで色欲が原因の殺人事件が起こっているのですよね。
まあ、人間の愚かさというか
これが、人間の救いがたさ?なのでしょうね。
「色欲の手綱緩める愚か人、末は荒れ野に朽ちる白骨」 道歌
1、前説 過去の文物はすべて失われてしまった。
その昔中国はエロティック小説の先進国?でした。
特に明代・清代には大流行して?
およそわかってるだけでも160冊(160種類)の言わゆる
好色文学(小説)がありました。
分かってるだけですので、散逸したり、埋没したりしたものを含めればその数は膨大なものだったでしょう。
好色文学に限りません。中国の偉大な古典文化はほぼ今は残っていません。
抑々中国という国は戦乱や政変や、王朝交代が絶えない国で
そういう騒乱で多くの文学作品をはじめ多くの文物が散逸してしまって今に残っていないからです。
最後の決定打がアノ文化大革命です、あれで文物がほぼ破壊されつくしたのですね。
かくして書物でいえば
そういう本があったようだ?という「書名」だけが伝わっていてその肝心のその書物の現物がない、、ということが多いのです。
だが、実はそうした散逸した文学書がなんと、
この日本に伝来して保存されていたという事例が多々あるのです。
当時の留学僧などが持ち帰ってその寺院の書庫に秘蔵(死蔵)されていて再発見されるというケースが
結構あるのです。
日本は大規模な王朝交代はないし、よく保存されるのでしょうね。
中国では滅びて、日本にその現物がある、という事例に事欠かないのです。
その典型例がアノ唐代の都「洛陽」です。今中国の「長安」(今の西安)に行ってみてもほぼ何も往時をほうふつとさせるようなものは残っていません。
今時の中国のどっかの田舎町?そういう風情しか今の長安にはありません。
ところで、中国人(漢人)は自分たちのルーツを唐朝にあり、と信じていますので
唐文化への切なる憧れは、強烈です。そしてそれが今はもうないという悔しさは切なるものなのです。
まして今中国は経済が豊かになると、より一層その喪失感が矢も楯もたまらないのですね。
それが日本の京都に来てみると、、どうでしょう、まるでタイムスリップしたかのような。まるで長安の町が今、目の前にあるのです。
京都は洛陽をお手本に作られていますから,当然でしょうね。そこには、
生きている、まるで唐代の華やかな芸妓文化のような舞子さんや、絵図でしか見たことがない唐の街並みが今そこにある。
寺院、自然、庭園、花々、家々が、、和服の人物が、、、、ちなみに和服の語源は「呉服」というように中国の「呉」の国が起源だと中国人は信じています。だから和服を今そこで召して歩いてるのを見るとそれだけで大感激?してしまうのです。
生きてる洛陽が今そこにあるのです。あれほど夢に見た洛陽がここにある、もう大感激なのです。
このように今の中国には「遺跡」は発掘されてあっても、
伝統文化として残ってるものはほぼ皆無です。
日本の伝統文化である各地の祭りもそもそもは中国が起源です。
ところがいま中国に「祇園祭」や「高山祭」や「秩父祭り」のような何百年も引き継がれた古式ゆかしい祭りなど「皆無」です。
せいぜいが爆竹を鳴らすくらいが関の山です。あの伝統的な華麗な彫刻や刺繍の垂れ幕の祭の山車などは皆無です
まして今中国は共産主義独裁ですから、伝統文化は否定されることが当然です。
今までの古い孔孟思想から人民を開放した?というのがスローガンですからね。
伝統文化など認めるはずがないのです。
今中国ではこんな格言?が、ささやかれています、
「唐文化を見たければ日本に行け。
明文化を見焚ければ韓国に行け
中華民国文化を見たければ台湾に行け
そして、中国文化が滅んだことを見たければあの国に行け」
さて前置きが長くなりました。
ここからは本日のお題、
中国古典エロチック文学大全です
。
お暇でしたおつきあいくださいませ
2、中国古典エロチックの生まれた背景
中国人というのはそもそも非常に現実主y的な民族でして、現世を楽しむという趣向が強い民族です。
あの世で救われるなら現世を捨てるとか
異世界ファンタジーとかにあこがれて現実を逃避とか
の、正反対の人々のアイデンティティです。
待てよ?
中国には「仙道」「仙人」「仙術」があるじゃないか?
あれって現実逃避?だろ?
いいえ中国の道教は非常に現実的で、現世的です。
現実で不老長寿とか
現実で金儲けとか
現実で回春・絶倫とか、性の秘伝書「房中術」も中国が起源です。
そういう「現実仙人」?なのですね。
現実をとことん楽しんじゃおうという、いかにもこれが中国人らしいところです。
まあこういう大きいくくりから
つまり今回のお題の「中国古典ポルノ小説」も量産されてきたというわけです?
さて、、、私、、自分でいうのもなんですが、昔は二松学舎大学、中国文学科に行こうと思ったくらい
中国古典文学好きでした。で、かなり中国古典文学には詳しいです。まあ今現在のチャイナは共産主義独裁で最悪ですがやがてまた自由チャイナ?がくることを祈っています。
さてではここからはその中の有名なものをいくつか紹介したいと思います。
一応年代順?になっています
3、作品紹介 (邦訳文献)
☆ 遊仙窟
唐代の君子が遊郭に遊んだことをファンタジックに描いた短編です、。遣唐使が持ち帰りました。
このような唐代の艶情小説は今現在分かっているものだけでも、20作品はあります。
こうした小説、、今でいえバ恋愛小説は日本にもたらされて
恐らく紫式部なども読んでいて源氏物語の参考にしたと思われますね。
平凡社 中国古典文学大系(六朝・唐・宋小説集)
☆ 如意君伝
即天武后とその愛人、セツゴウソウの愛欲生活をパノラマ風に描いた作品です。
駒田信二『女は強く男も強い物語』
☆ 痴婆子伝
中国版「好色一代女」ともいえる作品です。西鶴はこれを手本にしています。
内容は好色な老女が自分の半生を振り返って追想するというパターンです。
駒田信二『女は強く男も強い物語』
☆剪燈新話 全20話の短編小説集です
文語体の怪異小説集です。有名なのが「牡丹灯籠」ですね。
でも結構、、色っぽいお話も多いです
例えば「聯芳楼情話」
さるお金持ちの姉妹が高い楼閣(聯芳楼)に住んでいる(というか閉じ込められている。)、そこへ好青年がその富豪の家に寄寓する、ふとある日、下を通ると、姉妹は見初めてレイシの実を投げる。見上げればとても高い楼である、夜も更けてするすると縄梯子が下りてくる、それに乗って高楼に上ってゆくと美人姉妹が出迎える。そこで
「はしなくも私たちは閉じ込められて人恋うこともできずむなしく過ごしふとあなた様をお見掛けしてこのようなことをしてしまいましたよろしければ姉妹もろともに末永く愛してくだされば幸いです」
勿論異存があるはずもなく三人は手に手を取って寝床へ、、三つ巴になってくんずほぐれつ愛欲の限りを尽くすのでした、
正に、、、そのありさまは、、、
垣根に咲く花びら二つ
つぼみを開くこの逢瀬
花びら傷めずに柔らかに君摘みたまえ
光ほのかな寝屋の間で
ベッドの帳も揺れる宵
水にたわむる二匹の魚
右に左に泳ぎ行く
、、、、、、というお話などもあります。
☆剪燈余話 全20話の短編小説集です。
続編ですが作者は別人です、こちらも怪異譚ですが色っぽいのも多いです
例えば、、「泥神の怪」
とある豪族のお館。すごい庭園があり瀟洒なあずまやもある広大な敷地
其処へとある青年が食客として東屋に寄寓するのだがある夜、花園の中に娘が数人で遊んでいるのが見える。
不思議に思って行ってみると「私たちはこのお隣の花家のものですという。いつもこうしてきてはめでているのですという
とある夜、ほとほとと東屋の戸を叩くおとが、、出てみると一人の娘が立っていて「恥ずかしながらあなた様への情がこみ上げて、恥も忘れてきてしまいました、夜伽をさせてくださいまし」
ということで二人は手に手を取り合って寝所へ、愛欲の限りをつくすのでした、。
夜が明けて娘は帰ってゆくそしてその夜またほとほとと戸を叩く音が出ると、「私は妹でございます姉同様におかわいがり下さいませ」
といって、二人は寝所へ、こうしたことが4夜も続き、、、
其の後は、4姉妹たちが同時にやってきては同じ寝床で雑魚寝状態で愛欲の限りを尽くしたのでした。4人をみな平等にいつくしみ満足させたのでした。
、、、、、、、、というお話もあります。
勿論オチはあるのですが
それはタイトルが暗示してる通りです。
☆ 三言二拍
明代に成立した膨大な話本です。全200篇の短編小説からなっています。
この原本は中国では 散逸してのちに日本で原本が見つかっています。
この200篇から選抜したのが「近古奇観」40話です、ここではエロ系は省かれています。
三言二拍の中には猥雑なはなしも多いのです。そういうエロ系も多数あります、
特に、拍案驚奇 二刻・拍案驚奇などにはその手の猥雑なエロ系話がたくさんあります。
例えば
堕落僧侶のエロ系とか ( 醒世恒言第39話)
後宮の酒池肉林のエロ話(二刻・拍案驚奇34話)
とかそういうのは当然未訳です。
この5つの短編集を総称して三言二拍というのです
全200篇の短編小説からなっています。正確に言うと198話。
これらの内容はというと
人情噺。奇譚、幽霊。復讐。恋愛。エロ系。愛欲図、うらみ、商売、異国への旅、など何でもありの
正に宝石箱?状態です。
この原本は中国では 禁書?されたり、散逸したりで、のちに日本で原本が見つかっています。
この200篇から選抜したのが「近古奇観」40話です、ここではエロ系を含む、残りの160話は省かれています。
研究者の解説によると
拍案驚奇とか
二刻・拍案驚奇などに含まれてるお話は猥雑でろくなものがないのだそうです。
そうでしょうか?
世間はわいざつだらけはないですか?
それが世間の真相でしょ?
それを道学者ぶってカットですか?
そういうよけいなおせっかいはやめてください。
まあ、、、、、、、、、この近古奇観は40話の
厳選された良い話だけをセレクトしました?
ということでしょうが本当は選ばれなかった猥雑なそれこそ欲望丸出しの男女の愛欲図?のお話の方が
実は、人生の、ためになる?のです。
なぜなら人は善行話よりもそういうワルの愛欲図ハナシのほうから人生訓を?得られることが真相だからです・
「きれいごとだけの良いお話」だけではだめなのです。
世間は猥雑と悪いことだらけでしょう?
そこでは愛欲に目がくらんだ男女が落ちる地獄絵図だったり
そのためには人殺しも平気でしたり
騙したり
陥れたり、、
そういう生の?お話が展開されています。
それが世の中の真実ですよ。
そこから人間の深層が学べるというのに、、、、
ですが?
そういうためになるお話は邦訳がありません。
そういうのこそ翻訳すべきだと思うのは私だけ???
中でも最高?なのが「 金主亮荒淫」という一篇。これは醒世恒言 にありますが
これは金王朝の首領の後宮での荒淫ぶりを描いたものです。
「12世紀の中国金王朝四代の海陵王=迪古乃は、先帝の重臣百余人を虐殺、叔父の妻阿里虎を寵愛した。がその娘重節が成長するや心を移し、阿里虎は縊死した。女を手に入れるためには、謀叛の罪で一族を滅ぼしもした海陵王、だが曹国公烏禄の夫人烏林答だけは王の意に従わない。王は腹心の宦官と謀り罠をしかけた…。荒淫に耽る王と20余名の妃嬪たち、その運命と渦巻く愛欲の世界を描く長篇傑作。 」引用
私本・荒淫王伝 徳間文庫
中国猟奇小説集 旺文社文庫 1986
中国怪異小説集 旺文社文庫 1986
中国好色犯罪小説集 旺文社文庫 1986
全訳中国文学大系 辛島堯 訳 三言二拍の完訳を目指したが。中絶して未完成に終わる
警世通言10話
拍案驚奇から30話
醒世恒言 全話40話
宋・元・明通俗小説集 平凡社 中国古典文学大系 三言二拍から15話ほど訳しています。
近古奇観 同上 三言二拍から40話のセレクトしたもの
付記 私が知る限り、絶版も含めて127話が邦訳されていますね。
未訳は71話になります、。それでも71話って膨大でしょ?
☆ 金瓶梅
これだけのどろどろした現実描写・性描写はさすが中国ですね。
エロというよりもそれはもはやグロです。リアリズム露悪小説というべきでしょう。
露悪趣味が全開で性描写はシニカルです。どろどろした愛欲三昧と貪欲三昧の劫罰物語です
経血、尿、糞便、嘔吐物などの描写がなまなましくて、エロどころの騒ぎではありません。
エロが吹っ飛んでそれは完全に「グロ」です、ある意味グロさでは、、あの、サドを超えているとさえいえるだろう。
グロくて醜悪で、下品で、もう、、エロなんて吹っ飛んでしまってますよ。
読んで楽しいか、、と言われれば、、嫌悪感しかないです。後味が最悪です。
男女が愛し合って?エロスっていいよね?というような内容ではないです。
あくまでも醜くむさぼりあうケダモノのようなどす黒い愛欲地獄です。
其処には全く救いはないのです。
大長編です、あらすじは西門慶という主人公が商売で稼ぎ、側室6人との性生活をなまなましく描いたまあ、「露悪小説」です・
性描写はかなりリアルです、というか露悪的で下品ですよ。
読んだあと吐き気がします。それほど露悪的で冷笑的な内容です。
人間を徹底的に冷笑しています。愚かで下品で肉欲だけのケダモノとしてしか描きません。
出てくる人物はみな物欲と肉欲の塊です。
ココまで人間の下品さを描いた小説もないでしょうね。
愛の崇高さを説く人などゼロですし、慈善や布施をする人もゼロです
出てくるのは小汚い物欲と獣欲とだけの薄汚い下品な連中だけです。
だからこの作者、、相当の人間嫌いでしょうね。
ここまで人間蔑視の小説は普通だったら書けませんよ。
何処かに人間の尊厳とか慈愛とか、、描くはずです。
だがこの小説にあるのは、、小汚い虫けらのような、丸で、変質者かサイコのような、「肉欲基地外」だけです。
金連なんてサイコな猟奇犯罪者ですからね。
夫を毒殺して、男を引っ込んでセックス三昧ですから。これはもう完全に猟奇犯罪者ですよ。
エミールゾラの「居酒屋」や「ナナ」が霞んでしまうほどのこのリアルなグロイ性描写は、私には辟易モノです。
この小説のテーマ?はといえば、、色と欲とに狂った一族が最後は、みんな、無残に血反吐を吐いて、下血が止まらなくて、野垂れ死にして果てる、、というものです。
つまり因果応報、、というテーマになります。ここには愛の讃歌?なんてありませんし、あるのは愛欲に狂ったケダモノの饗宴だけですから。人間の醜さがこれでもか、これでもか、、という風に執拗に描かれます。正に人間蔑視の醜悪描写の連続です。
人間の卑しさ、下劣さ、醜さ、貪欲さが、執拗に描かれるのです。
正直、、読み続けるのが苦痛になるほどです。そういう意味ではこれを読んで、エロが楽しい??とはまったく思えなくなるという
そういう効果はあると思いますね。
主人公の正門慶の最期は、、ペニスからどす黒い血がだらだらと噴き出て、止まらなくなり、、睾丸がはれ上がってどす赤く化膿して、、最後は狂い死に、、ですからね。これでエロの気分になりますか?
色欲をほしいままにしたら、、この恐ろしい結末が待っていると分かっていたら、、誰でも
心ひきしめるはず?だが、、現実は今日もどこかで色欲が原因の殺人事件が起こっているのですよね。
まあ人間の愚かさというか
人間の救いがたさ?なのでしょうね。
りへいじは、生理の血が止まらなくなり、、失血死、、ですしね。
兄を毒殺された武松によって、藩金連はなぶり殺しで惨殺されはらわたを引きずり出されています。
まあそういう暗黒小説なのですよ。
しいて言えば、、それはゾラの「ナナ」「居酒屋」とか、、、、、、、
サドの一連の暗黒小説、
そして
沼昭三の「家畜人やぷー」みたいな系列の人間蔑視の、暗黒小説だということです。
読んで楽しい??エロ小説?では全くないという事実です。。。
そういう意味では怖い、恐ろしい、、小説でしょうね。
平凡社 中国古典文学大系 金瓶梅全3冊
☆ 僧尼ゲッ海 土屋英明氏が「尼僧物語」として訳しています 徳間文庫
男が生まれたが、罪な棒がついていた。女が生まれたが、罪な穴がついていた…。棒と穴があれば、いたすことはただ一つ。坊さんや尼さんとて同じこと。中国の僧尼たちは驚くほど好色だ。そんな罪の積み重ねを綴った幻の艶色秘本、 (引用)
☆ 春夢瑣言
☆ 肉布団 (肉蒲団) 別名 「覚後禅」
あまりにも有名な古典ポルノ小説です。邦訳本もいろいろあります。
中でも面白いのが、駒田信二氏の「好色の戒め」という本でしょうね。
これは氏のうんちくを交えた自由な翻案訳でして、博識ぶりが楽しいです
1680年ころの作品です。作者 は 李漁とされています。
あらすじは、、 主人公の青年、未央生が様ざまな色道遍歴の末、淫欲の虚しさを知り仏門に帰依するという物語であり、
その性描写で知られる。散々遊びまわった挙句、淫欲の恐ろしさを身に染みた未央生(主人公)は出家してあまつさえ
これがあるから悪いのだ?といってついには「男根」を切り落としてしまうという顛末。
其の後も修行に励み20年未央生は見事に遷化したという、、。
作者はその序でこの本は淫欲を勧めるものだはございません。
ですが道学者ぶってしかつめらしいことを書いても誰も読みますまい。そこでこういうくだけた?風流の所という体裁で
皆さんが食らい付きやすいように、淫欲の種々相を典型して見せてその虚しさを知らしめようと次第なのです。
と、、述べている。
金瓶梅のようなグロさはないのでまあ案じて読めると思います。
☆ 十二楼 全訳中国文学大系 辛島堯 訳
作者は、李漁
☆ 無声戯 全訳中国文学大系 辛島堯 訳
辛島堯氏の邦訳あり。作者は 李漁
☆ 杏花天 「好色の勧め」駒田信二訳
隠れた名作?です。
広陵に住む美男子・封悦生は、道士から性の秘技を授けられて洛陽に上り、女色遍歴の末、なんと第一夫人から第十二夫人まで、十二人の美女をめとることになった。同床異夢、みんな等しく満足させて我も楽しむ……中国の奇書『杏花天』のストーリーにしたがって大胆華麗な性描写を紹介しつつ、さらには、日本の古川柳や中国の笑話を交えながら、封悦生のおおらかな性の物語を、中国文学の第一人者が楽しく語る艶笑譚の傑作。既刊『好色の戒め』の“姉妹篇”。 (引用)
金瓶梅のようなグロさはないので、まあ普通に読めると思います。
あらすじ(原文から最初の部分だけを私が訳してみました↓)
洛陽の城下に、籃瑞生という豪家がありました、大変な財産家で、その、奥さんの実家が封氏の出身で、、名は貴娘といいます、
良妻賢母で書画、裁縫の腕は一級品です。
3人の娘がおりまして、上から、珍娘、玉娘、瑶娘、と申します。3人ともに詩が得意です、
上から歳は18,16,14才です。花も盛りの何れも美少女です。
この家の隣にホウ家がありましてその娘の若蘭とも仲良しです。
ところで珍娘は実は子供のころから同じく洛陽に許嫁がいまして「フ貞郷」というものです。
ところが貞郷の両親が亡くなってしまい、そして、籃瑞生も相次いで亡くなったので沙汰止めになっていたのです。
主亡き後は封貴娘(籃母)がこの家を取り仕切っているのです。
籃家には遠い親戚で、広陵に封家がありまして。そこに、悦生という年は18で、なかなかの美青年、学問もできますが何しろ家柄がいまいちなので官途にもつけず遊び暮らしております。籃母(貴娘)もこの親戚の青年を心配してはいるのですが遠いため逢うこともできません。
長女の珍娘は肢体なよやかで、、肌もつややかでまるで梅の花が咲き誇ったような、眉を顰めれば春の山のよう、目には秋波をたたえております。蔡文姫に勝る詩文があります。
次女の玉娘は容貌並びなき、詩文にも優れております。歳は16、ひそかに男女のことにめざめております。楽府が得意です。
三女の瑶娘はともうしますと、歳は14で二人の姉とはまた違った趣があります。、まだ男女のことにはめざめてはおりませんが早く男女のことを知りたいと夢想しております。
ある日のことです、時は陽春三月。花は咲きほこり、ツバメは天を舞い、蝶hさ花々を飛び交い、桃の花も満開です。
珍娘が花々の庭園で歩くうちに、心がざわついて妹たちにこういいました。ねえこの花を題材に詩を競作してみない?」
「私がお題を出すからそれに唱和してみて。少しくらい色っぽい詩でもOKよ。お母様にバレなければかまわないでしょうから」
珍娘がまず『蝶のまぐわい」という題を、そして玉娘には「白燕」というお題を。揺娘には「楊花」というお題を、
まず珍娘が詠います。
粉翅雙雙宛遞扶,花為衾枕葉流蘇; 羽を重ねてむつみあい、花を褥に,葉を枕
誰能寫出輕憨態,點綴春宮秘戲圖。 たれぞ、その様映しえむ、まるで寝屋の秘技の絵図のよう。
玉娘はそれを聞くと、「お姉さまって許嫁のこと思ってるのね」と笑うのだった。
次は玉娘の番です。
呢喃玉質趁簾惟,一朵梨雲帶雨飛; 幕の中ではむつみあい、なしの花は雨に散り、
好向江南舊庭院,主人寧認作烏衣。 南に帰るも古き庭を、 燕の事忘れないでね
「すごい。すごい 好きなあの人が忘れられないのね」と、珍娘が言いました。
続いて揺娘が詠います
無端三月飛香雪,恰是楊花滾地來 春三月の風の間に楊の花も散りしいて
何似春光容易別,閒階無事產霉苔 春のその日は過ぎやすく いつしか苔も踏む人もなし
珍娘が言います
あなたも誰かに苔を踏んでもらいたいのね?
すると揺娘が「そうよお姉さま、私たちはずっと仲良しでいつでも一緒にいましょうね」
珍娘答えて「そうよね,私がもしも良いおかたと巡り合ったらそのお裾分けもきっとするわ、いつまでも三人で添い遂げましょうね」
そこで籃母が呼ぶ声がするので話をやめて家の方に向かいました。
さて皆さん、珍娘の許嫁のフ貞郷なるもののことですが、、、、
人となりは清廉で、歳は18、「翰林の風」(男色)に染まっています。
その方面は大好きですが、女性はといえば、まるで蛇でも見るように忌み嫌っているのです。
つまり前庭は大嫌い、後庭が大好きなのです。だから、月の精のようなどんな美人を見てもまるで無関心です、。
彼は美男子ですからとうぜん女性は言い寄ってきますが、お金をもらってもなびきません。
彼は内心はいつもこう思っているのです
「今自分は家族(両親)もなくって自由気ままに「竜陽」ができる。こんな幸いを捨ててどうして結婚などするものか。いつまでもこのままで楽しくらしたいものだ」と、
ところで、皆さん、籃母は珍娘が成人したので一刻も早く結婚させたいと念じています。
「私は早くに夫を亡くして頼りもいない、早く珍娘を結婚させてその際は、フ貞郷は身寄りのないのだから我が家に婿として入ってもらい家業もついでもらおう。そうすれが我が家も安泰」
そういうと早速フテイキョウの叔父にあたる仲人の談永海をを立てて話を進めるのでした。
永海は早速参上して。近日中にお話を勧めます、といって帰って行った。、、、、、、、、、、。
、、、、、、、、、、
という感じでここからはかなりリアルな愛欲場面がお話が進んでゆくのですがここらでやめましょうか。
いずれ18禁で全文を訳してみましょうか↓原文はネットの自由図書館にあって自由に見られますので、そしてこの作品1700年ころのものですからとうぜん著作権もありません、誰が訳そうと自由です。
白話文ですから漢文の知識だけでは訳せませんが、まあそれなり?でよければ私はかなり知識がありますので訳すことは可能ですよ。
☆ 一片情 土屋英明氏の訳あり。「秘本 一片の情」 徳間文庫
金の犠牲になり老人と一緒にされた少女。目の見えない男に嫁がされた美女。悪い坊主の罠にかかる未亡人。とはいえ彼女たちはしたたかだ。逆境をはねのけ、男たちを手玉にとって性の快楽に身を震わせる。初の日本語訳で蘇る中国幻の傑作艶本。 (引用)
☆ 聊斎志異
有名な「短編怪奇小説集」ですが多くのエロ系話が含まれています。
当時の貴重な?性習慣が知られて興味ぶかいです。
角川文庫 柴田天馬訳 聊斎志異
品花宝鑑
中国,清末の風俗小説。陳森の作。 60回。道光 29 (1849) 年成立,咸豊2 (52) 年刊。作者が道光年間に北京に滞在し,その間に花柳界に通いつめた見聞をもとに,花街に出入りする才子や俳優たちの交遊,遊興のさまを描いた小説。初め好事家の間で伝写され,刊行されると大いに流行した。登場人物の俳優には,すべてモデルがあるとされる。『海上花列伝』『花月痕』などとともに,清末のいわゆる花柳小説の代表的作品。
☆ 性史
中華民国時代の
北京大学教授が一般公募して刊行、即発禁の歴史的奇書。時代と民族を超えて赤裸々な人間の性の真実が感動と興奮を呼ぶ。
その当時の中国の一般人の世界初の性体験レポート。 のちのキンゼイレポートの先駆的作品。
中国艶書大全〈もくじ〉 土屋英明著
はじめに
Ⅰ 古代から唐・五大・宋・元の時代
『詩経』/南朝楽府/『遊仙窟』/『天地陰陽交歓大楽賦』/『鶯鶯伝』/艶情詩/『花間集』/『南唐二主詞』/『迷楼記』/『大業拾遺記』/『楽章集』/『西廂記』
Ⅱ 明の時代
『僧尼孽海』/『如意君伝』/『濃情快史』/『牡丹亭』/『情史』/『掛枝児』・『山歌』・『夾竹桃』/『繍榻野史』/『国色天香』/『金瓶梅』/『金瓶梅詩話』/『艶異編』正・続集/『春夢瑣言』/『浪史』/『禅真逸史』/『燈草和尚伝』/『痴婆子伝』
Ⅲ 清の時代
『隔簾花影』/『幻中真』/『一片情』/『巫山艶史』/『肉蒲団』/『五鳳吟』/『子不語』/『夜行船』/『株林野史』/『妖狐媚史』/『品花宝鑑』/『大姑娘十八摸』/『杏花天』/
『九尾亀』
Ⅳ 中華民国の時代
『性史』/『白雪遺音続選』/おびただしい上海艶本/『什麼話』『性交大観』/『孽海花』/『思無邪小記』『瓶外卮言』
Ⅴ 中華人民共和国の時代
『莎[口+約]娜啦・再見』/『三寸金蓮』/『古代情詩類析』/『明清情歌8百首』/『女十人談』/『閨情集』/『艶曲』/『中国艶書博覧』
続 中国艶書大全 土屋英明 著
目次:
Ⅰ 春秋戦国・秦・漢の時代
『老子』
『易経』
『黄帝内経』
『合陰陽』竹簡
『十問』竹簡
『雑療方』帛
『華佗神医秘伝』
『周易参同契』
Ⅱ 晋・南北朝・隋・唐の時代
『素女経』と『玄女経』
『抱朴子』
『黄庭経』
『褚氏遺書』
『養性延命録』
『玉房秘訣』
『玉房指要』
『洞玄子』
『医心方』
Ⅲ 五代十国・宋・金・元の時代
『混俗頤生録』
『雲笈七籖』
『悟真篇』
『延寿第一紳言』
『婦人大全良方』
『三元延寿参賛書』
『格致余論』
『澹寮集験方』
『御薬院方』
Ⅳ 明の時代
『既済真経』
『修真演義』
『万氏家伝広嗣紀要』
『今古医統大全』
『素女妙論』
『食色紳言』
『本草綱目』
『遵生八籖』
『万暦野獲編』
『勿薬元詮』
『養病庸言』
Ⅴ 清の時代
『婦科玉尺』
『仁寿鏡』
『賽金丹』
『養生秘旨』
『産科心法』
『女科要旨』
『広嗣五種備要』
『秘本種子金丹』
『双梅景闇叢書』
Ⅵ 中華民国・中華人民共和国の時代
『男女強壮法』
『男女房中秘密医術』
『男女特効療法』
『秘戯図考』『中国古代房内考』
『古代採補術捜奇』
『媚薬雑談』
『性的知識』
『新婚衛生必読』
『性在古代中国』
『中国古代房事養生学』
『中国性研究』
『陰陽・房事・双修』
『房中術』
『中国古今性医学大観』
『中国当代性文化(精華本)』