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ゲレイ
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頭1つ分だけ大きい彼に話しかけると首が折れそうになるので、脚立から話しかけると、首が反対側に曲がってしまったので、慌てて脚立から降りると、そこはただの黒だった。
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僕の臓腑が空っぽになったので、なにかを詰め込みたくて、君の心臓をもらった。君はなくした心臓が欲しかったので乾いた目玉をひとつ埋め込んだ。
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怖かったあの夢がまたしても襲ってきた。逃げたらそこはただの無だった。だから、僕は逃げることをやめた。
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無理、無理、無理。死にたい。気持ちが重なるミルフィーユ。
フォークを刺して抉ったら、綺麗な断面が。
黄色と赤と、紫と。ぐちゃぐちゃに解けて混ざって。
それから……。




