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ゲレイ
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目の前に見えたのは1つの灯火。赤く赫く……。染まっていく様が美しくて、見蕩れて、吸い込まれて……。
目の前が見えなくなったのは夜。暗く昏く……。何も無いのが心地よくて、溺れて、呑み込まれて……。
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気がついたのは多分、午前中だろうか。明るい日差しと、1点の眼差し。
交互に見つめるが、日差しの方が眩しくて、どうしても、眼差しへと瞳が動く。誰なんだろうか。そこからの記憶はない。
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日が落ちていく……。と思ったら、空も一緒に落っこちて。僕達を押し潰していく。夕陽の赤と、血の赤が混ざって、綺麗な赤が目の前に広がっていく。弾けた内蔵と、呻く声が広がって、ドロドロ溶けだした。綺麗な夏に、劈く臭いがした。
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興味ばかりが勝ってて、僕の好奇心を掻き立てるの。
そしたらね、みんなが見えない君を見て、可笑しいなっていいだすの。
なんで君はそんなに笑うの。
眩しいばかりのそんな顔で、見つめないでよ。蔑んだ瞳にはどんな風に映ってるの?
教えてよ僕に。
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透き通った声と生ぬるい風が心地よくて、僕の心が溶けてゆく。
段々遠のく意識が、気持ちよくて、僕の頭が溶けてゆく。




