第二十一話 僕と三人の幼馴染たちの日常
およそ二年半ぶりの更新になります。
今後は定期的に更新予定ですので、よろしくお願いします。
僕たち幼馴染四人組は、高校が別々になった今でも定期的に集まっている。両親が不在で何かと都合が良いということもあり、もっぱら僕の家が溜まり場になっていて、茉莉以外の男二人はそのまま泊まることもあった。
集まって特段何かをするということもないが、近況を話したりすることもあれば、各々が好き勝手にゲームをやってたりギターを弾いてたりマンガを読んでたりすることも多い。
それぞれが自宅で夕食を済ませた後の夜八時。今も四人集まっているが、話しているのは僕と高志だけで、茉莉と隼人はそれぞれ好き勝手に僕の部屋にあるマンガを読んでいる。
「するってぇと何だ!? おまえは今ラノベ主人公、いやエロゲー主人公みたいな立ち位置なのか!?」
近況報告として最近起きたアレコレの話をしたところ、高志が物凄い勢いで食いついてきた。
「そこはラノベ主人公でいいじゃん……何でわざわざ言い直すのさ……」
高志があまりにも興奮しているので、流石の僕も少し引いてしまう。
「だってそんだけ女子に囲まれてればエロいこともありそうじゃん? なんたって俺たち十七歳よ? 半分大人のセブンティーンズマップよ?」
「年齢は関係ないし、強引に尾崎豊を入れてこないでよ……僕たちの年代じゃ普通伝わらないよ……」
僕たちはよく高志の弾き語りを聴かされてるから尾崎ネタが分かるが、普通は通じないと思う。
高志はギターを弾けるし歌も上手いが、何故か昔から女の子にはモテなかった。
「クソ、何でおまえばっかりそんないい思いしてんだよ……こちとらスラム街みたいな高校で毎日灰色の青春を送ってるってのによ……」
それは勉強しないで受験に落ちたからだと思う。
「いや、でも高志はさ、ほら、年下が好きじゃないっけ?」
高志が去年、年下の女の子に一目惚れしたという話があった。僕も隼人も高志を応援しようと思ったが、結果的には止めることになった。
相手が小学生だったからだ。そう、僕らもそのとき初めて知ったが、高志はロリコンだったのだ。
「え? 俺そんなこと言ったことあるっけ?」
「あったじゃん!? 気になる小学生の女の子がいて後をつけて家まで特定したけど、声をかける勇気が出ないって悩んでたじゃん!」
そのことを初めて知った茉莉がドン引きの表情をしていた。
「あー、あのときはたまたまロリ系にハマってただけだよ。俺は顔さえ良ければ下は七歳、上は五十歳までいけるぜ?」
ストライクゾーン広っ!
「……高志、それ僕たち以外には言わない方がいいよ」
「へへ、信頼してるおまえたちにだからこそ打ち明けてるんだよ……」
こんな話でエモい空気を醸し出されても反応に困る。
「あんたが犯罪者であるということは、わたしたちにも打ち明けないでほしいんだけど」
茉莉がごもっともな苦言を呈する。
「うるせぇ、女にゃ分かんねぇ話だよ。な、悠介!」
「いや、僕にも分かんないよ!? こんな話で急に肩組んでこないでよ!?」
「今度おすすめのメスガキもの貸してやるよ。メスガキとトイレでやる話なんだけどさ」
「いらないよ!? あらすじも説明しなくていいから! せめて普通のにしてよ!」
「……私の幼馴染には変態しかいないのね。集まればエロい話ばかり」
茉莉がため息を吐く。
力いっぱい否定したいところだが、最近の自分の行動を省みると何も言えないのが悲しかった。
「ねぇ、隼人! いいの!? 言われてるよ!? 茉莉に反論してよ! 高志はともかく僕と隼人は変態じゃないって!」
「ともかくってひどくない?」
自分では何も言い返せないので、僕はマンガを読んでいる隼人に助けを求めた。高志が切なそうな顔をしていたが、それは気にしないことにした。
「あー? 別にいいじゃねぇか変態でも」
隼人はマンガに熱中しているのか、投げやりな返事だった。
「だよなぁ、我ら変態三銃士だもんな! ははは!」
「テメェは犯罪者予備軍だ。一緒にするな」
同類として肩を組もうとしてきた高志を隼人が一蹴する。高志は大層ショックを受けたようで、無言でその場に体育座りをしてイジけた。
「予備軍にしてあげてるだけ情け深いわね。小学生の後つけてる時点でガチ犯罪者だと思うけど」
「俺だって! 俺だって好きでこうなったわけじゃないやい! 青少年に悪影響を及ぼすインターネットが全部悪いんだぁぁぁー!」
茉莉の無慈悲な追い討ちを受け、高志は悪いインターネットへの憎悪を叫びながら部屋から出て行った。
「な、何かあったんですか?」
隣の部屋で高志の絶叫を聞いたであろう奈留が、恐る恐るといった様子で僕の部屋を覗き込んでくる。
「気にしないで。いつものこと」
茉莉の言うように、こんなのは割と良くあることだった。何事もなかったかのように、一分も経たないうちに戻ってきた高志が奈留と鉢合わせる。
「いやー、小便めちゃくちゃ黄色くてテンション上がっちまったよ。あれ、君が噂の奈留ちゃん? 悠介の従姉妹の。カワウィーねー、どこ住み? ってここか、HAHAHA! 肌白いねー、てかラインやってる?」
最低の話から最短で最悪の口説き方をしていた。
「え、ええと……」
奈留が困惑の面持ちで僕を見てくる。
「やめなよ高志、怖がられてるよ。ほら、危ないから奈留は部屋に戻った戻った」
「う、うん」
僕は二人の間に割り込み、奈留の背中を押して元いた部屋へと避難させた。
「おまえ邪魔すんなよな! もうちょっとでライン聞けそうだったのによー」
「いやいや、話の入り口が小便な時点で無理だからさ……ていうか戻ってくるの早いよ……絶対手洗ってないでしょ……」
高志がテヘッと舌を出す。全然可愛くなかった。
「おっと、いけね。美少女の匂いがして即戻りしたから、ついつい忘れてた。けど、せっかくだから強引にでも奈留ちゃんと握手すればよかったな」
「せっかくの意味が分からないよ……」
「だってよぉ、そしたら奈留ちゃんが間接的に俺の股間にタッチしたことになるだろ? 興奮しねぇ?」
発想がやばすぎた。
「高志、縁を切ってもいいかな?」
「冗談きついぜ、マイフレンド! じゃ、俺は奈留ちゃんの顔が目に焼き付いてるうちに帰るわ! じゃあな!」
高志はこの上なく爽やかな笑顔で不穏な言葉を残し、洗ってない手を振りながら去っていった。
「ねぇ茉莉、やっぱり僕って普通の人だと思うんだけど、どうかな?」
「高志と比べれば宇宙人でも普通の人になるから。悠介は悠介で、きっちり頭おかしいから安心して」
「そっか、それは安心だね……っておーい!」
思わず慣れないノリツッコミをしてしまったが、茉莉はそんな僕には無関心なようで、マンガを読むのを再開してしまった。
やることもないので、僕もスマホアプリで読みかけだったマンガを読むことにした。
その後残った三人でだらだらと過ごし、十時を過ぎたころに茉莉が帰宅し、日付が変わるころに隼人が家を出てその日は解散となった。




