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お江戸物語  作者: 六子
10/10

五話目:初めての料理〜【中編②】〜


眼鏡の男こと、晴は攻撃をかわしつつ

転ばせたり、剣を奪ったりして

的確に浪士達の動きを止めていく。


物や人が消えて移動する不思議な現象に

初めは戸惑っていた浪士達だったが


どうやら晴が空間移動属性の魔法の

使い手だと気付き始めたようだ。



「くっ、空間移動属性の使い手とは厄介な…

 お前ら!ここは一旦引くぞ!」



劣勢と判断した頭らしき者の指示で

逃げようとする浪士達だったが


逃げる方向に、ふらりと現れた

眼帯の男の姿に、一斉に動きを止める。



「徳川、雷!?」


「悪いがさっきのお前らの会話は

 一部始終聞かせてもらった。


 まぁ黒幕は別にいるんだろうがお前らは

 俺の許嫁と友人を危険な目に合わせた。


 ……覚悟しろよ」


浪士達がたじろいだ一瞬の内に

眼帯の男、もとい雷は

浪士達の懐にもぐりこむと


瞬時に発生させた電撃を次々と

浪士達の身体に叩き込んでいった。




八雷やついかづち


生体電気を感じ取る

レーダーの様な役目をするのが

主な電気属性の魔法だが


人を痺れさせ、気絶させる程度の威力の

電撃であれば生み出すことが可能である。



ーー



晴と雷が戦い初めて数十分…


「兄上ーー!」


戦闘直前に雷から受けた連絡で

城の者を数人引き連れた、雷の弟の哲が

現場に駆けつけてきた頃には


既に浪士達は全員、晴と雷に倒され

気を失い、地面でのびていた。





ーーーーー





「なんとか無事片付いたな」


「あぁ」


哲達に連行されていく浪士達を見送りつつ

事件が解決し一息つく晴を他所に

雷は難しい表情を浮かべている。


普段は明るい雷が

こういう表情を見せるのは珍しい。



雷が征夷大将軍の座につくまでに

反対していた者もいたという噂を

晴は耳にした事がある。


もしその噂が本当ならば

今回の事件はその反対していた

何者かが策略した可能性もある訳だ。


色々と話を聞きたいところではあるが

雷自身、前から自分の身の上話に

関する情報を話したがらない。


聞いてもはぐらかされるのがオチだろう。



(ま、黒幕の奴はいずれ雷が捕まえるだろ。

 瑚子もひこと様も無事だったことだし

 良しとするか)



朝から料理の仕込み

雷と合流し、瑚子とひことの捜索

浪士達との戦闘と


本来なら休日である1日が

何ともドタバタが重なり

まだ時刻は13時前だというのに

既に疲れ気味だ。


疲れを紛らわすべく

込み上げてくる欠伸を噛み殺しながら

晴は大きく背伸びをした。





ーーーーー





「まぁ!可愛い草履ですねひこと様!」


「ふふっ、雷様が選んでくださいました♫」


新しい草履を雷に購入して貰ったひことは

瑚子との話を楽しみながら

神楽屋へと足を進めていた。


雷と晴は、2人を見守る形で

後をゆっくりと歩いている。




城へと戻り、神楽屋には日を改めて伺う事を

ひことに提案した雷だったが


私の為に準備してくださっているのですからと

ひことが引かず、結局は雷が折れる形で

予定していた通り、神楽屋に訪れる事となった。



「悪ぃな晴、疲れてるだろうに

 あいつほんと神楽屋で食べるの楽しみに

 してたんだ…許してやってくれ」


「そう謝るなって」


「いやでもよぉ」


「料理、楽しみにして貰えるの

 俺ほんと凄く嬉しいんだからさ

 気にするなよ」


「ったくお前って奴は!いい奴だな」


「ちょΣお前止めろって」



先程の事件が嘘の様に和やかな雰囲気だ。


戯れついてくる男2人の姿を見て

瑚子とひことは顔を見合わせて

笑い合うのだった。





五話目:初めての料理〜後編に続く〜


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