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私たち、普通じゃない!!  作者: 北野ゆり
14/15

出会いの話2/3

「ねぇ!あなた、私と同族(・・)だよね!?」

私はたった今すれ違った男性・・いや、男装の彼女に声をかける。

「え?」

彼女の方も振り返る。そして私を見つめて目を見張った。

「きみもそう(・・)なんだ!?」

「よかったら少し話さない?同族に会うなんて滅多にないし。」

「いいよ。ぼくも夜まで時間あるから。」

「うーん。2人になれる場所の方がいいよね・・。」

私は個室があるレストランかカラオケかなーなんて考えてたら、

「じゃあ、ぼくのお店来るかい?」

なんて言い出した。

「店?」

「ぼく、バーテンダーで近くにお店を持ってるんだ。夜までは閉めてるし、元々あんまりお客さんも来ないし。」

それはそれで大丈夫なの?とは思ったけど口には出さないで好意に甘えることにした。

―――――

「ちょっと暗いね。」

「今は灯りもつけてないからね。」

彼女はそう言いながら階段を下っていった。私もその後に続く。彼女が開けたドアから中を見る。結構趣ある感じ。でもこじんまりしてる。

「狭いって思ったでしょ。」

彼女は疑問形ではなく断定形で言った。確かにそうだったけど。

「別に儲けようと思ってやってるわけじゃないからね。」

私は進められるまま席に座った。

「お酒飲めるなら何か出すけど?」

「飲めるし好きだけど今日はやめとく。明日朝から大事な商談があるから念の為。」

「そっか。じゃあコーヒーは?」

「コーヒーも好き。」

彼女はじゃあそれを出すよと言いながら慣れた手つきでコーヒーを入れてくれた。うわおいしい。

「ところでぼくはバーテンダーをやってるけどきみはこっち(・・・)で何かやってるのかい?」

「私?私は普通に会社勤めだよ。まあ成績上位者ではあるけどね。」

「じゃあキャリアウーマンってやつだ。でも会社員って面白いの?」

「やってみると結構面白いよ。私たち(・・・)の世界にはないしね。」

「まあ、ぼくもあっちの世界にないからバーテンダーなんてやってるんだけど。」

私はもう1口コーヒーを飲む。本格的なやつはやっぱりおいしいな。

「こっちにはどのくらいいるの?」

「ぼくはー・・もう50年くらいかな。そっちは?」

「私もたぶんそれくらいかな?話変わるけどこのコーヒーおいしいね。」

私は素直に思ったことを口にする。そんな言葉に彼女は少し照れていた。

「ありがと。50年も入れてれば上手くもなるけどね。きみはなんでこっちの世界来たの?」

「なんだったけなー・・・?確か退屈だったから刺激を求めてだったかな。ほら、あっちの世界って変化がなくてつまらないじゃん。」

「確かにね。アレ(・・)でだいたいのことは出来るから、こっちみたいに科学の発展とかもないもんね。」

「そっちはなんでこっちの世界に来たの?」

「ぼくは見学のつもりだったんだよね。」

「見学?」

「そう。こっちの世界ってどんな感じなのかなーってさ。こっちに住み着くつもりは全然なくて。今じゃ面白くてすっかりこっちの住人だけどね。」

「わかる!私ももう魔女(・・)の世界に戻る気なんてないもん。」

「1度人間(・・)の世界に来ちゃうと戻れなくなるよね。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔女さん達でしたか(゜Д゜;) でもって、向こうで開業したりしてカルチャーショック起こそうとかは思わないんだ(ォィ
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