新たな生活の始まり
思いつきで書いた作品です!宜しければ見てください。
ここ、ギルクニアには魔族が住んでるいる土地である。そこには当然魔王の城もある。ということはだ、魔王がいるのは当然だし、その部下たちもたくさんいる。更にいえば、その魔王の息子たる俺、ゼクス=ギルクニアも住んでいるのだ。
今日は重要な話があるとかで俺は親父に呼ばれている。重要な話とはなんだろうか、次期魔王である俺にとって重要なことだというのだから緊張もしてきた。そんなことを考えながら、親父の部屋の前まで来た。ドアを2回トントンとならし、「俺だ、ゼクスだ。」と言った。
すると、「入れ。」と親父の声がしたのでドアをガチャっと開けた。
「良く来てくれたな。言っといた通り、重要な話があるんだ。良く聞いてくれ。」
「わかった。」
「お前、前から学校行きたがってたよな?」
「ああ、次期魔王だから行く必要がないって断られてたけどな。」
「良かったな。お前を学校に行かせることにしたぞ。」
「!!!。やったー!前から行くのが夢だったんだよ。
ありがとう親父。」
「はっはっはっ。礼には及ばんさ。こっちも1つ頼みごとがあるしな。」
「なんだ?」
「私に報告書を書くこと。以上だ。」
「報告書?なんか嫌な予感がしてきたぞ。おい、なんの学校なのか言え!」
「……の学校だ。」
「聞こえないんだが…。」
「…げんの学校だ。」
「ん?」
「人間の学校だ…。」
「人間の学校!?敵地のど真ん中行けってことじゃねえか!ふざけんな!!」
「しかも勇者学校だ。」
「あの次代の勇者を育成するための学校とかいうやつか?
冗談じゃねえ!俺は行かないからな!」
「いやもう朝の魔王軍会議で決めちゃったし…。お前の名前が上がって適任だってことになっちゃったし…。」
「おい、誰が俺の名前だしやがったんだ。参謀のシャルネオか?」
「ふっ。私だ。」
「お前かよぉぉぉぉぉぉ!!実の息子を敵地に送ろうとするって頭湧いてんのか。」
「いや、かわいい息子は旅をさせろって言うだろ?まあ世界見て見識広めて欲しいってのもあるからな。私は人間と争いたいと思ってないからな。その点お前は好戦的すぎる節があると思っててな。1度人間と関わってこい。案外楽しいかもしれんぞ?」
「…親父が色々考えてたのは分かったけどよ。もしバレたらどうすんだよ?俺が捕まったら助けてくれんのか?」
「えっ。あー、捕まったらどんまいってことで頑張れ!」
「このクソ親父ー!!」
「冗談に決まってるだろ?命を賭してでも助けにいくさ。」
「まず、俺を敵地に送らなければ解決するんだがな…。」
「行ってくれるか?」
「まてまて。まだ母さんに話をしていないだろう。母さんならこんなこと止めるに決まっている。」
「ああ、母さんなら「頑張って♡」って言ってたぞ。」
「最後の頼みの綱がぁぁぁ!!」
「行ってくれるよな?」
「分かったよ…行くよ。行けばいいんだろ。」
「早速なんだが、明日旅立ってもらう。」
「随分早いな。」
「明後日が入学試験らしいからな。手続きは既にしてあるからあとは試験を受けるだけだ。あと名前なんだが、
ギルクニアだとバレるからな、ゼクス=ギルベークにしといた。」
「もう好きにしてくれ…。」
こうしてゼクス=ギルクニアはゼクス=ギルベークと改名して人間の学校である勇者学校とやらに行くことになった。
そして翌朝、俺は最低限の荷物を持って旅立った。この旅の目的は勇者学校でどんなことをしているのかや、魔王城に攻め入るなどの話があったら報告して欲しいとのことだった。実にめんどくさいがやるしかない。
学校に着くと、試験をやらされた。実技試験と筆記試験の両方だ。筆記試験は舐めてるのかと言うほど簡単だった。
人間がいかに遅れてるかがわかる。
実技では己の「固有魔法」を見せろとのことだった。まず、この学校に入れる、いや受験できる条件が固有魔法を覚えていることだった。
もちろん俺は覚えているので難なく終わったが。
更に通常の4属性からくる魔法の実技もあった。4属性と言うのは
火、水、風、土だ。
ここでは俺はあまり目立ちたくないからな。そこまで強力な魔法は使わなかったから大丈夫だろう。
そして、全ての試験は終わった。結果は明日でるらしいので今日は(親父が)予約していた宿で休んだ。長旅だったのでかなり疲れた。
翌日、結果が出たと言うので学校まで足を運んだ。結果をみた周りの反応は様々だった。肩を叩きあって喜び合うもの、絶望する者などたくさんの人がいた。この学校には試験の結果によってレベルのクラス分けがされていた。Sを最高としてA、B、C、D、Eまであるようだ。
もちろん、俺の名前の横にはSの文字があった。だが、不可思議なことに名前の前にもう1つSがあったのだ。分からないので周りのやつに聞いてみることにした。
「なあ、この名前の前に書いてあるSってなんだ?」
近くにいた男に尋ねてみると。
「おー!すごいなお前、それは首席ってことだよ。」
「首席?なんだそれは。」
「首席がわかんないのか、とにかく1番試験の結果が凄かったってことさ。」
「なるほど、助かった。」
手加減したつもりだったが足りなかったようだな、もう少し手を抜かねば。
「あ、俺はキール=ボルドワールって言うんだ。俺も同じSクラスだ。
よろしくな!。」
「俺はゼクス=ギルク…じゃなかった。ゼクス=ギルベークだ。
よろしく頼む。」
挨拶も済んだところで、合格した生徒たちはすぐに大広間に集められた。そこで、学園長の話があったり、諸注意などが説明された。
そこで、首席?というものらしい俺が簡単な挨拶をすることになった。幸い、人間界のことを少し調べてきたので難なく終わった。
この「首席」という肩書きが俺を苦しめるとも知らずに。
その後、それぞれのクラスに行き、担任やら自己紹介やらなんやらを終え、放課後になった。この学校では完全寮制でそれぞれの部屋が与えられた。そろそろ帰ろうとしたところ、クラスの女子たちに囲まれた。
(なんだ!?俺が魔族であることがバレたのか?)
と冷や汗をかいていると、1人の女子が口を開いた。
「私はエレナ=スペリングって言うの、ゼクスくんはなんの食べ物が好き?」
などと、言ってきた。続けて他の女子達も俺のことを細かく聞いてきた。
(これは俺が魔族であることを見抜き、確信を得るために情報を集めているに違いない!まずいぞ。)
などと、彼女らの明らかな好意に気づかないのは、単純に幼い頃から戦闘や学問などの英才教育ばかりを施されてきたゼクスの私生活に問題があったからだ。
「いや、俺はちょっと用事があるからこの辺で。また今度なー。」
と言って教室を去った。
(危ない危ない、あのまま質問攻めにあっていたら確信をついた質問をされていたに違いない。人間は男の方が警戒すべきだと思っていたが女の方が危ないのかもな、あとで親父に報告するか。)
なんて考える始末である。
傍から見たら、ゼクスは気取ってるように見えるので、面白くないのである。そんなことを考えていた同じクラスの1人の男子は教室を出ていったゼクスを追った。そして、ゼクスに向かって言った。
「おい!お前首席だからって調子にのるなよ?たまたま結果が良かっただけなんだろ?俺と勝負してみろよ。」
「えーと、同じクラスのレウスくんだっけ?確か集まったときに生徒間での勝手な戦闘はダメって言ってたよな。まだ初日なんだし、問題起こすのは良くないんじゃないか?」
ゼクスは首席とやらで目立っているのに問題起こしてこれ以上目立ちたくなかったので学校の規則を引き合いに出した。
「うるせぇ!バレなきゃいいんだよ!学校の裏庭なら人はあまり来ないはずだ。そこならいいだろ。」
「馬鹿馬鹿しい、付き合ってられないな。俺は帰るぞ。」
「おい!逃げるのか?どうせ首席ってのも裏で金でも払ったんだろ?
弱虫やろうが!」
「はいはい、勝手にそう思ってろよ。俺は疲れたんだ。」
そう言って軽くあしらった。面倒ごとはごめんだ。
そこで止めておけば良かったのだ。男はこともあろうに禁句を口にしてしまったのだ。
「どうせ、お前の父親もどうしようもないやつなんだろうな!
お前みたいな腰抜けに違いねえ!」
その瞬間空気が変わった。ゼクスがキレたのだ。
「おい、俺のことは何言っても構わねえが貴様ごときが俺の親父を侮辱するなっっ!!」
あんな親父だが、これでも尊敬しているのだ。それを侮辱されるのは許せない。
「お、やっとやる気になったか。裏庭までこい。」
「やってやるよ。」
大声で話していたので、周りの生徒たちにも聞こえていたらしく、裏庭で首席とSクラスの生徒が勝負すると聞いてギャラリーがたくさん集まってきた。ここまで来ると問題になるのは避けられないだろうが関係ない。この怒りを飲み干せるわけもないのだから。
そして、戦闘は始まった。
「俺から行くぞ!」
そう言ってレウスが繰り出したのは巨大な雷の玉。
普通の魔法では雷など出せるものではないのでこれがレウスの固有魔法なのだろう。流石にSクラスに入れるだけあって凄まじい威力だ。
巨大な雷玉がゼクスに襲いかかる。
それに対して、ゼクスはただ呟いただけ。
「消えろ」
そう言っただけで雷玉は消滅した。
「お前、何をした?」
レウスの顔が驚愕に染まる。何が起こったのか理解できないのだ。
「ただ消えろと言っただけだが?」
「なんなんだお前の固有魔法は!?」
「貴様に教える道理はない。次は俺の番だ。
「 跪け」
そう唱えるとレウスは己の意思に反して跪いた。
「分かっただろう?実力差が。分かったなら俺の前から消えろ。」
そう言ってゼクスは魔法を解除した。
「くそがっ!」
解除と同時に再度魔法を放ってきた。今度は複数の雷がゼクスを襲う。
「はぁ…」
ゼクスはため息混じりにこう唱えた。
「跳ね返れ」
今まさにゼクスを襲おうとしていた複数の雷は全てレウスに跳ね返り直撃した。そしてレウスは倒れた。ぽかんとみていたギャラリーたちの誰かが医務室に運ぶよう指示していたが、ゼクスにとってはどうでも良かった。ゼクスはその場を後にした。
「おーい、待てよー。」っといいながらこの後を追ってきたのは、
最初に話しかけたキールだった。
「お前の魔法凄いな!今度仕組み教えてくれよ。俺のも教えるからさ。」
「なんだ、見てたのか、てか俺が怖くないのか?俺の周りはいつも魔法を見ると離れていくんだが。」
「そんなんで怖がんねえよ、お前がいいやつだってことはなんとなく分かるからな。」
「そうか…ありがとう。」
こうして、学校生活初日で問題を起こし、初とも言える友人ができた。だが、ゼクスはゼクスを敵視する存在に気づかないでいた。
前書きにもあったようにふと頭に浮かんだ設定をそのまま小説という形に残しました。ただの自己満足ですが書いていてとても楽しかったです。
ゼクスくんの固有魔法は強いです!でもちゃんと弱点なんかも考えていているので大丈夫だと思います!
最後に見てくださった方々ありがとうございます!
次の更新はいつになるか分かりませんが、気長にお待ちください!