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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お花畑の愛の誓い

作者: どんC

「マエラ。好きだよ」


「わたくちもでしゅう。でんか」


 お花畑で私達は永久の愛を誓う。

 幼かった私は焦ってしまいカミカミでしたが、ティトス様は優しく微笑んで下さいました。


 テイトス第二王子七歳と私マエラ・ラケシュ伯爵令嬢五歳の時のことでございます。

 王族の皆様と貴族の子弟でピクニックに行った時。

 周りに宵待草が群生していて、黄色い蕾がございました。

 宵待草は女神テミス様の花と言われております。

 女神様テミス様は愛と出産の神です。

 愛を誓えば昼でも咲き乱れるそうです。

 王子様はその時、私に宵待草の花を渡してくださり女神様に誓って下さいました。

 女神様に承認されて花々が咲き乱れ、私達を祝福してくださいました。




 なのに!!

 どうしてですか!!

 ティトス様!!





「私ティトス・ダエグはマエラ・ラケシュ伯爵令嬢との婚約を破棄する事をここに宣言する」


 その言葉に私は悲鳴を上げる。


「なぜですか‼ 殿下‼ ダメダメ‼ そんなことダメです!!」


 嘆願なのか絶望なのか言葉が意味をなさない。

 今日はパリス学園卒業パーティー。

 各国の貴族の子弟も集まり多くの人達が踊りに会話に興じていた。

 ダンスの音楽が止み、人々の視線が私と王子ティトス王様と隣のシャノン男爵令嬢に集まる。

 蒼ざめた私は両手を祈るように握りしめて涙が溢れて止まらない。


「そして私はシャノン・ファルコ男爵令嬢と新たに婚約を結ぶ!!」


 テイトス様の横でシャノンが勝ち誇った笑みを浮かべた。


「ああ……そんなこと!! 王様もお后様もお許しにならないわ!!」


「父上にも母上にも許しを得ている。私は真の愛を見つけたのだ」


「嬉しいです。私も真実の愛をティトス様に捧げます」


 シャノン男爵令嬢は頬を染める。


 私は王様とお后様のほうに目を向けると、お二人はその顔をくしゃりと崩して頷かれました。


「嘘……嘘……嘘……そんなことってあり得ない」


『その言葉。誠であろうな。ティトスよ』


 私達の間に眩いばかりの光が踊り。

 女神テミス様が降臨なされました。

 女神様の美しさに人々は固まる。

 息をするのも忘れるほどに。

 女神様は美しい。


「テミス様……あ…ダメ……」


『良かろう。では二人の【愛の誓い】を解消しょう』


 テミス様は私とティスト様とに手を向けると、光の蔦が現れ私達に纏わりついて消えた。

 そして今度はティスト様とシャノン様との間に光の宵待草が現れ、黄色い宵待草の花が赤くなって消えた。


『これで七年前に行われた【黄泉がえりの儀式】は解かれた』


 その言葉と共に女神様は消え失せ。

 後には何が起きたのか理解できない人々が残される。


『あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!』


 私は悲鳴を上げる。

 王子様は私を見つめて。儚く笑った。


 ばたり


 ティスト様は倒れて。

 そして……王子様は身罷られました。


「えっ?なに?なんで?起きて!! 起きて!! 噓!!」


 今度はシャノンが泣き叫びます。


「七年前ティトスは殺されてしまったの」


 ポツリ


 とお后様は言葉を零す。

 王妃様はティスト様の亡骸の側で座り込むと、そっと金色の髪をなでた。

 はらはらと零す涙は美しく。

 震える肩にそっと王様の手が置かれます。


 ティスト様が亡くなられたのは七年前でした。

 隣国との小競り合いでそこの領主を倒した恨みを買い。

 暗殺者を送り込まれ、殺されたのです。


 直ぐに私はティスト様のご遺体が安置されている神殿に向かい。

 女神様に聖女の力を使い【願い】ました。

 ティトス様を生き返らせて下さいと。

 女神様は願いを叶えて下さいました。

【死人帰り】の秘術でティトス様は生き返りましたが、一つだけ問題がありました。

【愛の誓い】をどちらかが破れば、ティトス様はたちまち死人となってしまいます。

 その事を知るのは私と王様とお后様だけです。


 誰にも言ってはならぬと三人は誓いを立てさせられた。

 だからティトス様は大怪我をしただけだと思っていたようです。


「この子気が付いてしまったの。自分が死んでるって……」


「あなたを愛していたから。死人に囚われるべきじゃないと。死人とじゃ子供はできないって……貴女には子供や孫に囲まれて、笑って生きて欲しいって……」


「ティトス様……」




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 私は聖女として女神テミス様にお仕えする事になった。

 世界各地に浄化の旅に出なければならない。

 それが【愛の誓い】が破れた時の代償です。

 私はふと馬車の窓から外を見る。

 宵待草が風に揺れている。

 ああ……

 ティトス様が殺された時着ていた服も黄色だった。

 それがしぼんだ花の様に赤くなって……

 宵待草の花言葉は何だったかしら?

『ほのかな恋』 『移り気』 『打ち明けられない恋』


 馬車はガラガラと走って行った。



          ~ Fin ~



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 【 シャノンside 】



「何よ!! 何よ!! 何なのよ!! 死んでた?王子が?私死体とキスしてたの?気持ち悪い!! 気持ち悪い!! あいつらみんな可笑しいんじゃない!!」


「何処に行くんだい?」


 第二王子の取り巻きのグエムルが裏の通路から逃げ出そうとしたシャノンの腕を掴んだ。


「真実の愛は何処に行ったんだい?」


 いつの間にか護衛騎士のアドニスもいた。


「そう言えば宵待草の花ことばに『移り気り』もあったね~」


 侯爵のイーサンも笑いながら彼女の手を掴む。


「王子の葬儀が終われば君には修道院に入ってもらう。真実の愛だからね」


 アドニスがウインクする。


「ティトス様の近づいたのは王太子狙いだろ。君を排除する為に女神テミス様の【愛の誓い】を利用した。もう君は誰とも結婚できない。女神テミス様は君の結婚を認めないからね。身罷られたティトス様としか結婚できないんだよ」


 憐れむようにグエルムは言う。


「なんで!! そんなことってないわ!!」


「神を侮りすぎだよ。神は都合のいい道具じゃない」


 頭悪すぎとイーサンが呟く。


「いやあああぁぁぁぁー!!」


 シャノン男爵令嬢を三人は引きずって行った。


       



          ~ Fin ~



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 【 女神テミス様side 】


「あ~今回はぼろ儲けだわ~」


 女神テミス様が高らかに笑う。


「なんせ聖女の血筋が手に入ったんだからwwwwww」


「ご機嫌ですね」


上級天使は残念な子を見るように生暖かい視線を向ける。


「当たり前じゃん♪」


「愛と出産の神としてはあの血筋は欲しかったのよね~男じゃあの能力は出ないから。女のみ使える能力なんだわ~」


 女神テミス様はぎゃひゃひゃと笑う。


「王子が馬鹿で良かったわ」


「馬鹿でしたか?」


「馬鹿よ。あのまま気づかないふりしていれば良いものを。くそ真面目と言うか。ふん。でも嫌いじゃないわ」


「あの男爵令嬢も聖女の血筋じゃなかったんですか?」


「ああ……性女の方はパチモンよ。一代限りだし。処女を失うと力を失うし。要らないわ」


「取り敢えずマエラのつがいは天使をあてがうわ~」


「天使ですか」


「そうよ。頑張れ。種馬君」


 先ほどから馬鹿とかくそ真面目とか言いたい放題言われている、天使見習いがジト目をして女神テミスを見る。


「女神テミス様がこんなに下品なんて聞いてないよ!!」


「天使は諦めが肝心だ」


 先輩天使に肩を叩かれて、がっくりと跪く見習い天使。


「彼女が浄化の旅を終えたら会いに行けるよ。種馬君」


「種馬言うな!!」


 女神と天使がギャーギャー喧嘩している様を天使長は生ぬるく見守っていた。



            


             ~ Fin ~



***********************

2018/4/13 『小説家になろう』 どんC

***********************


★マエラ・ラケシュ

伯爵令嬢。ティトス王子の婚約者。16歳


★ティトス・ダエグ

第二王子・マエラの婚約者。18歳


★シャノン・ファルコ

男爵令嬢。性女。17歳


★女神テミス

愛と出産の神。


お読みいただきありがとうござい。

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