エスワールド
2018年、3月4日。
朝の6時ごろ、雨の音で目を覚ました俺は、
外に少し違和感を覚えた。
今まで見たこともない程、霧がかかっていて
四軒先の一軒家が見えないくらいだった。
朝方というのに、50手前の母は満面の笑みで
横になっている俺を揺らして
「敬!! 外やばいって!」
、、、、、「ほんとだー、、、」
と感情を無にして答え、再び布団に潜った。
ふとおもったのだが、ここまで白くなった霧は
現実で初めて見た。
最近見た霧の中をさまよう中、
悪魔と出会い契約して世界を滅ぼすという
どこにでもあるようなアニメ以来だった。
まぁ、20年間生きた中で今が一番最悪な状況で、
金もなければ、親に仕事を辞めたことも言わず、
わかりやすく言えば仕事に行っているふりをして
山学校をしているのだ。
こういう生活をしているんだから、最近はやりの
引きこもりが異世界に吹き飛ばされるような感じで、
目覚めたら違う世界にいたとかなんとかあれば良いのに。もしくはタイムリープとか!
なーんて考えていると、再び睡魔が襲ってきた。
ニートの日常では王道の二度寝というやつだ。
ようやく母の興奮が収まって来たので、落ち着いて眠りにつくことが出来た。