夏が来る 七月 (2篇)
掲載日:2017/06/09
夏が来る
青緑の列車が一気に
透明な風を切って
走り抜ける朝
目覚めたばかりの朝露が
忘れな草色の空を
いびつに映す
散って 逝ったうす桃色の桜を思い出す
今は若葉に覆われて
膨らむ思いが息をする
夏が来る
両腕に抱きしめていた春を
手ばなすときが来た
*** *** ***
七月
笹の葉がゆれる。夏
私があんなに待っていた春がまるで何事もなく過ぎて、 逝った
あなたに会おうと町に出る
春が暖かく私の心と肩を温めてくれたのに・・・
空っぽの電車が行く
空っぽのバスが行く
七月、空っぽの空には雲さえも浮かんでいない
たんざくには唯一つの願いがつづられている
紫陽花色の色紙に
空色の色紙に
夕焼け色の色紙に
ひまわり色の色紙に
あなたの好きだったすべての色を集めて
この色紙を結んだ笹を今夜川に流します
あなたの元へ届くように
そうしたら、この川を遡り
あなたは私を見つけることができますか




