襖を開けたら草原
天正10年6月2日拙者は夜間の見張りをしていた。うちの殿はほぼ天下を手中に収めつつあるので今さら敵など攻めて来ないと思っていた。
仲間と酒を飲んでいた時、火矢が飛んできた一体何事だ、冷静にならなければ先ずは敵襲を知らせる。
敵襲と思いっきり叫ぶ、それに合わせて仲間が鐘をたたく大きな音でカン、カンと響き渡り本能寺から味方が出てくる。
足軽大将が大声で聞く。
何事だ。
状況は分かりませんが敵襲にございます。
このやり取りの間にも火は燃え広がる。
火を消せ、応戦だと命令が飛ぶ。
その時信じられない言葉が叫ばれる。
桔梗の紋です。明智光秀様謀反です。
同時に敵がなだれ込み乱戦になる。明智様が謀反など嘘だ敵の計略に違いないそう思ったとき、足軽大将から命令が下る。
殿に知らせて来い。
なぜ私が?私も戦います。
わしはここで指揮をせねばならぬ、お前はまだ若いゆえ殿に知らせて一緒に逃げろ。
嫌でございます。
命令だ、命令に逆らうやつは本来であれば切るが今は時間がない、早く行け。
分りました、しかし知らせたら戻ってきて戦います。
頑固者め、それで良いから知らせに行け。
分りました。急いで知らせに行ってまいります。
そこから走り殿の寝所まで走った。
殿、敵でございます。
返事がない、殿失礼します。
襖を開ける。
草原が広がっていた、なぜ外にいるんだ?さらに日の光がある、さっきまで夜であったはず。不思議に思い後ろを振り返る、先ほどまであった襖がない、狸か狐か夢か取りあえず痛みで正気に戻そうとほほをつねる、正気に戻らないので小刀で足を刺そうとした瞬間止められる。
何をしている、危ないではないか?
侍が立っている。
事情を話せと言って来たので今まで自分は本能寺におり、敵襲を受け殿に報告をしに行ったのだがこのような所にいると話した所、話が長くなるので、場所を変えようと馬を付けた荷車に箱を乗せたの物に乗せられた。