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1、5回目の結婚式

タイトルは(仮)です。変えるかも。

「おめでとう。」

梅雨時期というのに、空は晴天で窓から零れる日の暖かな光が花嫁の白いウエディングドレスを煌めかせる。

「綺麗ね。世界で一番綺麗。」

嬉しそうな周囲の顔。

今人生で一番幸せな瞬間。

祝福の言葉がシャワーのように降り注いで今この場の一瞬一瞬が輝いている。


だから、私の笑顔とパーティードレスの仮面の下に隠しているこの気持ちはこの場に不釣り合い。

今年、2回目の結婚式。

今日は、親友の晴れの日。


「次は、朝子ね。」

そんなことを言われ続けて早5回目。

高校の時の仲良しグループで結婚してないのは私だけになった。

その仲良しグループだって今じゃ話すら合わなくなってきて居心地の悪さを感じた。

今日結婚した春名は、その唯一の理解者だったのに早々とそっちに梶を切ったのだった。

ブーケトスだって他の若い子たちと混じって一人じゃ恥ずかしすぎる。

そっとその場を抜けた。


2次会には少し顔を出してすぐ帰って来た。

賃貸のマンションに着くと部屋には明かりがついてる。

「ただいま。」

玄関を開けるとカレ―の匂いがした。

「おかえり。」

付き合って4年。同棲して2年の彼氏、猿橋良太がカレ―を作っていた。

「今日カレ―?」

「おう、食うか?」

「あー、うん。ちょっとだけ。」

「わかった。」

良太の屈託のないこの笑顔が好きだと思う。

この人なら結婚してもいいと思ってる。

彼となら明るい家庭を築けそうな気がするし、結婚生活も想像できる。

寝室で着替えてからリビングに戻るとカレ―とサラダが並んでいた。

「結婚式どうだった?春名ちゃん綺麗だった?」

「うん、春名幸せそうだったよ。旦那さんもいい人っぽかったし。写真後で見せるね。」

「見たい、見たい。」

良太は、普通のサラリーマンで取引先の商談で出会い、そこから普通のごくごく一般的な付き合いの末、同棲まで至った。

良太は、結婚のことどう思ってるのかな。そろそろ私たちも結婚考えてもいいんじゃないかな?

カレ―を食べながら、向かいに座ってテレビを見てる良太を盗み見る。

「ん?カレ―まずい?」

「え、あ、いや。まずくないよ。おいしい。」

「よかった。今日は隠し味にインスタントコーヒー入れたんだ。」

「へ・・へぇー。」

盗み見たのがバレてドキッとした。

「あ、のさ・・・」

「んー?」

結婚のことは重いとか思われたり、嫌な雰囲気になったら怖い。でも、このままというのは私も辛い。もうアラサ―だし。

「良太はさ・・・結婚とか」

「まだよくね?」

即答で帰ってきた答えに絶句する。

「・・・・・・・・あたしたちもう30だよ?」

「早いっしょ。」

「早いって・・・あたしの友達みんな結婚してるじゃん。あたしたちだってもう同棲2年目だし。」

「まだ30だろ。そんな焦ることないって。それに今重要なプロジェクトの最中じゃないっけ?」

「そうだ・・・けど。」

「また、落ち着いたら話そうよ。皿洗っといて。俺風呂入って寝るわ。明日早いし。」

うまくかわされてしまった。

アラサ―。29歳。

私、これでいいの?


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