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無色無心
何も見えなかった。
何も聞こえなかった。
何も言いたくなかった。
何も感じなかった。
ただ無になりたかった。
ただ無に帰してしまいたかった。
自分を壊したかった。
汚い自分を壊したかった。
嫌いな自分を壊したかった。
死んでしまいたかった。
自分を殺してしまいたかった。
そして自分を殺そうとした。
自分を壊そうとした。
死んでしまおうとした。
皆は言う「死にたい時ってどんな気持ち?」
答えは明確単純だ。
無心。
無色。
ただ、ただ、壊そうとするだけ。
ただ、ただ、壊れようとするだけ。
ただ、ただ、自分が嫌いになっているだけ。
僕は生きている。
僕は存在している。
もう自分を壊したいとは思わない。
もう自分を殺したいとは思わない。
もう死にたいとは思わない。
何故なら…。
何故と言われたら…。
そんな僕に涙を流してくれる人がいるから…。
こんな僕の為に涙を流してくれる人がいるから…。
そんな人達の心を壊したくないから…。
そんな人達の心を殺したくないから…。
僕は、生きて行く。
生きて行く時にも、無色無心で。
無色無心の精神で。