15. セヴァの見た夢
セヴァは研究所の中庭の大木の前に立っていた。
木の周りを小さな星のような光がいくつもキラキラふわふわと漂っている。
なんとなく木の幹に触れてみる。
ほんのりと暖かい。
そういえば、何度も見ているのに今までこの木に触れたことはなかったなとふと思う。
幹に触れて、耳をそっとくっつけてみた。
すると漂っていた光達がくるくると踊りだし、中庭から外へ向かって一本の道筋を作るかのように点々と輝き出した。
出入り口付近の光は少し強めに瞬いている。
光のところまで歩いていくと廊下に新しい道筋ができる。
なんだかRPGゲームのようだな、と面白くなってきた。
漂う光に導かれるままついて行く。
図書館へたどり着き、光はホール中央付近でひときわ強く輝いていた。
……図書館の中央には巨大な天体儀が置かれていたはずだが、見当たらない。
無数の星々がかがやく宇宙空間のようなホログラムが、天体儀の代わりに巨大な空間に映し出されていた。
案内してくれた光達は、はしゃぐように行ったり来たりと浮遊している。
近寄ってみると、とても精巧で美しく、飲み込まれてしまいそうな迫力であった。
天体儀の行方など考える余裕もなく見入ってしまう。
星を触ろうと手を伸ばすと、先程まで案内してくれていた小さな光が腕の周りを漂い始めた。
はめていたバングルの石が柔らかな光を放っており、腕を伸ばそうとしていた方向とは逆に、勝手に腕が動く。
急な方向転換にバランスを崩し、倒れそうになった瞬間。
森羅万象、すべてのものたちが目の前で瞬く間にうねり始めた。
今まで見たこともないような様々な光景が次から次へと入れ替わり立ち替わり場面を変え、目の前に現れる。
セヴァもまた、その一部として混ざり合い、一つになっては離れを永遠に繰り返した。
どれほどの時間が経ったかは分からない。
ただ身を委ね、感じるしかなかった。
その中には、すでに他界している祖父母や、いろはの祖母、いろはの父も見えたような気がした。
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自宅のベッドで目を覚ます。
先程までの体験は夢かと思ったが、セヴァはすべてを覚えていた。
すべてを見て、夢ではないと、思った。
涙を流すセヴァを、隣のベッドから起き上がったいろはが静かに見つめていた。
短めです。




