第五話
「──ん……」
「──み、月見。おーい。月見~? 月見勇吹輝クン〜? 何寝てんだよ。授業中だぞ?」
「えっ。えっ? え、えっ。えっ。な、ナナナ、ナニコレ何これ」
「お、おぉう一旦落ち着け?」
「ナ、ナナナナナニ」
「一旦落ち着け」
まず、知らない男子に声をかけられ驚き、声を上げた。
そして自分が上げた声にびっくりしてさらに声を上げる。──それは、自分から発せられた声が男のものだったため。
そして、先程呼ばれた、名前に戦慄し声を上げた。──それは、私がやっていたギャルゲ一の──『A.S.C.T. GIRLS トキメキ☆ダイアリー』の、主人公キャラクターである、月見勇吹輝の名だったからだ──!
え、えぇぇ〜〜〜~〜〜っ!?!!??
ど、どどどどど、どういうこと〜〜〜〜っ!?
えっ、えっ?
ここ、が、どこ?
で、私は、誰?
ちょっと待ってちょっと待って、何、これ、何?
私死んだ? よね? くるみんイベが来る前に私死んだんだよね?
え? え? え、え⁇ んぇーっと⁇⁇
やばい、もしかしてこれは、所謂転生というやつで……、ここは……『A.S.C.T. GIRLS トキメキ☆ダイアリー』の世界なのでは? 主人公に転生したのでは? ならばこの世界でくるみんを攻略できるのでは?
え、まじで?
やった。やったあ! え? あの神擬き様が未練を晴らせるようにしてくれたわけだ?
え、まじかよ。よっしゃ。あざまーっす!
じゃあ私はこの世界で生きていくか。
……待てよ? 男として生きるってことだよな。
つまりは、着替えも、トイレも、風呂も、そういうプライベートなとこもやるってことだよな……?
えーなんかやだ。それは何というか倫理的に大丈夫なのか?
なんかこう……なんかあるだろ! まあいいや。一旦そこは置いといて。
くるみんは設定的に同級生で隣のクラス……。
ん、待てよ。
ギャルゲーの世界ってことは、他のヒロインもいるよな。
「月見ー? ちょっとー? 聞いてるー?」
「ごめん今考え事してるから!」
「は?」
えっとまず、同じクラスには、三人ヒロインがいるよな。私の場合は、“負け”がつくけど。
まず、主人公の幼馴染である春原桜。
そいで、朝陽有栖。
そして、星空修羅。
……ふむ。何の問題もナッシングだな!
えーと、今何月だ?
制服を見るに夏服なので、5月から9月くらいのどっかだろ。
「あの、つかぬことをお聞きしますが、今日って何月何日?」
「は? 何だよ急に。頭でも打ってバカになったか? てかさっき無視すんなよ」
「いーからいーから。何日?」
「よくねーだろ。……15日。6月15日!」
「ありがとう」
ニコリと笑って礼を言う。
……いや、私が死んだ日やないかーい! 私が死んだ当日やないかーい! まさかの連動しとったやないかーい!! てか約一日時間戻っとるやないかーい!!
……ん?
ってことは、ここの世界でジュンブライベが……味わえるのでは……!?
いや、ないない。あるわけない。
だってこの世界だったら、いや、あっちの世界でもなんだけど、くるみんまだ高校一年生だし、結婚できないもん。
なんかのイベントっていうか行事的な何かがあるんかな。
いや、だとしたら早くくるみんと関係を築いておかないと……。
待てよ。まずスマホの連絡先を確認しよう。
……1、2、1、6。
…………はい。
スマホ開けなぁーい! 開けませぇ〜ん!
私がスマホのロックに使っていたパスワードを一応打ってみたが違ったみたいだ。
ふむ。
では、私の誕生日を打ってみよう。
0、5、1、3……。
はい。
開きました。開いちゃいましたぁ!
ちなみに12月16日は胡桃ちゃんの誕生日です。
ん? ちょっと待って、何で私の誕生日でスマホ開けるんだ?
まさか、私のゲーム履歴と連動してる?
だとしたら、くるみんとの関係値結構高いはずなんだけど……。




