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Prologue
この世界は美しい。
生き生きとした新緑に、華やかな花々、ささやく風にざわめく木々。そのすべてが私をやさしく包み込む。やがて日が暮れ、夜の静けさが大地を満たす。空を見上げると、慎ましく、でも確かに輝く星々が私を照らす。
この世界には誰もいない。
人間は疎か、あらゆる生き物は遥か昔に姿を消した。あまり覚えてないけど、多分戦争かなんかで滅びてしまったんだろう。それでも世界は回っている。循環している。生きてるのだ。この植物たちなんか、何でできてるのか、どうやって育っているのか、まったく分からない。世界は壊れてしまった。
起きて、ちょっとウロウロして、寝る。これを繰り返すだけの、変わり映えのない日々が過ぎていく。私は孤独だ。
それでも私は、永遠と続くこの日々を、心から愛している。
「おはよう!」
目を覚ますと、人間がいた。