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はじまりの日

 夏休み三日前の櫻木(さくらぎ)高校の一年二組の教室で、静かに本を読む青髪ショートカットの女子は見た目がとても聡明そうだった


元気よく髪を揺らしながら、沙月に問いかけてくるクラスメイトは、

クラスいちの美少女


沙月(さつき)ちゃんは夏休みの予定どうするの?」と聞かれて、クラスメイトだけど


名前なんだったけと思い出そうと、本を、さわる


「図書館に行こうと思うの まだ、読んでないのがあるから」


それを聞いた女の子がビックリした顔で


「紙の本を読むなんて、めんどくさいことするの?


 やっぱり変なの~ VRで見ればいいのに 三〇分くらいで一冊読めるのに」と

無邪気に言い、興味を無くしたように違うクラスメイトのところに行く


その後ろ姿を見ながら、明るい性格を表したようなピンクの色をしている髪だと思うと、自分とはまるで違う生き物みたいに見えた


「変な子」と言われ慣れているので、眼鏡をふきながら、いつもの事ねと思いながら紙をめくる


何かを考えていたことさえ忘れてしまった。そして、すぐに違和感を感じなくなった




あと、なにかと、先生があと三日で夏休みに入るが気を抜かない事、荷物は早めに持ち帰ることとか、あと、なんか言っていたけど、


私は、夏休みで、本がどれくらい読めるかしら、と考えてたらいつの間にか、誰も教室からいなくなっていた。




また、やっちゃったと小声でつぶやくと、鞄の中の宿題が入っているタブレットがいつもより重く感じる。

返す本を引きずりながら、いつもと同じで軽いはずのカバンなのに、宿題の事を考えるとものすごく重い鉛を持っているようだった


教科書もデジタル化が進み軽いため、みんな楽々と帰るが、沙月は違う


本の重さは全く気にならないのに、あの、膨大な量の宿題を思い出すと、具合が悪くなる。 


いつもより 重い塊を引きずりながら 、足は上半身と違う生き物のかのように、

いつもの道のりを、足早に急いでいるので、体がちぐはぐになったみたいだ。


そんなことはさておきと、あともう少しで楽園につくのだと、宿題の事はとりあえず、忘れることにした




図書館についたころには、汗がうっすらと額に出るのを拭きながら、


入るといつものおじいちゃんが私を見て、


「今日も貸し切りだよ」とニコニコしながら言う


私はこの見慣れたおじいちゃんを見るととっても安心するのだ 。

いつもの場所に鞄を置くと、


指をドミノ倒しをするかのように優しく触れながら、タイトルをなぞっていく


みんなみたいに、VRを楽しめればいいのだけれど……


二〇XX年から、「森林を大切に、資源を守ろう」という事で紙の本は廃止になった


反対運動もあったが、VRが登場し、小説の中の体験を五感で感じられる装置が


発表されると、またたくまに人気が出て紙の本について気に留める人がいなくなった


すくなくとも、気にしているのは、この県に一か所しかない図書館のおじいちゃんと私くらいだろう


私の好きな本、何度もワクワクして、寝るのを忘れるくらいよ読みふけってしまった


「鼓動」の本を手に取ると、VRになっているのを思い出した私は


これなら、はまれるかもしれないと思い立ち、その本を持ち、貸出口に行くと


「今日は、早いね。 もっと借りなくて大丈夫かい」と驚いた顔をしながら言う


おじいちゃんに手を振ると、小走りで出口に向かう。


図書館の外に出ると、いつのまにか勢いよく走り出していた


                 *

                 *

                 *


 まず、大事な本を部屋に置くと、リビングにいき、そっと、箱から取り出すと


「何してるんだ、うん?? 珍しいなー VR を沙月が借りるなんて、

 あぁ、もしかして初めてか??」と

 リモートワークをしていたけど、

 様子を見に来たお父さんが、なにやら驚いた顔で、ごにょごにょと言っているが


「借りる」と私は、足踏みをしながら話していると


「普通の事に興味が出て嬉しいよ VR本買っていいぞ」と嬉しそうな顔をした


お父さんを見ながら、なんでこんなに嬉しそうなのだろうかと疑問に思いながら 、

自分の部屋に戻り、 さっそくダウンロードを始める、ダウンロード時間が三〇分かかった。



完という文字とともにテロップが流れる。




『沙月は思わず悲鳴を上げながら、叫んだ』




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