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VRの中で——夢を見る

——さつき、沙月と声が、聞こえた気がした。


さつきは夢から覚めないまま、天使かくいう○○○○と健と一緒に行動している

時間のはざまを、時を止めながら歩く

それは退屈な時間ではなく、健のひまわりのような明るさに照らされているかのようだった

健は天使の名前があまり聞こえないらしく頭を傾けている


「なぁ、なんでさつきだけは、天使の名前が聞こえるんだろうな」とおもむろに話しかけてくる

「わからない……、みんなに見えないものが聞こえて、見える私はおかしいのかな?」と気持ちが緩み心が開きかけている私が言うと

「変ではないけど、不思議だな……でも個性があることは、いいことだよ。まるでプレゼントみたいだ」と健らしいでも確実に自分を認めてくれようとする健らしい優しさだった


感情の波が希薄だった私が、VRの中で樹たちに会ったことで感情があふれ出てくるのではないかと思うくらい波がある自分に驚いている


——平等な世界では、個性が許されず……宝だと思っている健は人として尊敬できるともう物語の登場人物であるのを忘れてしまうくらい素敵な人だった

天使は静かに歩き、時折ちゃんとついてきているか確認をする姿は、まるで修学旅行で引率している先生みたいだった

VRの中で夢を見る私は、それが普通なのかもわからない

でも刻刻と近づく破滅の音が鳴り響ているのに気づかないでいる。私はその桁他Ⅿしくなり非ぶく音とは違い、緩やかにただ、たしかにそこに存在する自分の感覚を……逃げ出そうとする私の体は、一体どこに向かっているのだろうか

分からないことだけの私は、苦いチョコミルクに使っているかのようだった

誰も傷つけたくない思いは、果たして贅沢なものだろうか


                        *

                        *

                        *

沙月の体がある現実世界の、病院に……樹はまた潜り込む

衰弱しないように、うたれている点滴を見ながら落ちる音が静かに病室に響いているようだった

白く美しく胸から咲くバラを見て

「沙月、必ず助けるから——」と静かにつぶやくと、暗い廊下を歩く

樹は、沙月に会うためにVRの世界に、戻るために家に帰る

外からがだめなら、内側から治すしかないと考え、行動する

ありもしない、でもこのまま……と頭をよぎるのをねじ伏せるかのように音をなす感情それはやがて一筋の涙となって溢れてくる

沙月の、手を離したくないと心が固まるかのように悲しい……ただただ悲しいのだ

止まってしまうかと思うくらいに——



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