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思い出さなければいけない記憶

 

 「あの人に会ってきましたか?」と黒い長い髪をした少女が言う16歳くらいのおとなしそうな顔と、白い肌に奇麗なまつげ、まるで日本人形のような作られたかと思うような美しさをまとっている

足袋をすりながら、白い髪の男が近づく


「えぇ、渡すものと、あとおまじないもしとおきました」マスクを外しながら微笑む

「いよいよ、計画が始動する……始まりのときが——」というと子守唄を口づさむ少女、「いい子は、ねんねしな」と奇麗な声で歌う



                  *

                  *

                  *

「沙月……大丈夫?」と藤がクマのリュックをいじいじしながら言う


「うん、大丈夫だよ、何とかなるというか何とかしなきゃだよね」と

元気そうに、藤には見せているけど、本当は怖い。

これからどうなるのかがわからないことが……涙が出そうになるのを耐えながら、隠しきれてない声で言う


「藤、頑張るから。沙月が帰れるように」とこたつに入りながら言う


ぎゅうぎゅうずめの長方形のこたつにみんなと入っているだけでこんなに暖かく安心できるんだ

「ボス、これからどうすればいいのか……」と私と同じくらいもしかしたらそれ以上に落ち込んでいるルリに


「とにかく、一人行動しないこと。紅に近づかないこと、下手したら本当に死んでしまうよ」と恐ろしいことを平然と言うところが神だからなのだろうか


「ボス、あまり怖がらせたら大変ですよ」とアリアさんが入れてくれたハーブティの香りが鼻をくすぐる


私がVRから戻れないうちに……現実世界で起こっていることにまだ気づいていなかったのだ——沙月と呼ぶ声が聞こえてきた気がした

                 *

                 *

                 *

「沙月、俺はどうしたらいいんだ」と手を握る俺は、頭が割れるように痛かったのを思い出しながら、思い出して……なんだ、俺が忘れていることに何の意味があるのか?


白いバラのつぼみが開いたり閉じたり呼吸をするかのように踊る


思い出さなけばいけない、効力はないかもしれないけど俺が沙月を巻き込んだんだ。もう、俺一人の問題じゃないのかもしれない

リンリン


痛い、イダイと沙月から手を離し、頭を搔きむしるかのように前に倒れる

病院のどくどくの薬っぽい香りがするのを感じていると


「探して、探して私を……約束」


それとともに、時計を見ると一時間はそこにいたみたいだ

巡回がくるかもしれない


「また、くるからな」と小声で伝えると、自分の家に向かう。


何か思い出す手掛かりを探しに——




                  





                  


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