謎の男とラビット
ルリが危ないと、私を、押した
ルリの方に火の粉が移るがすぐパタパタと消す
「ラビット、君がどうしてここに……」
「お前と同じ理由だよ、ただ側にいたいからいるだけだよ!!」と魔方陣を展開する準備をしているようだった
当たり前だが、火の粉まで暑さを感じることに、死んだと思ったら死んでしまうんではないかと思いカタカタ体が震える
「俺は、ここを守るもの……このままひかないなら殺す」と鋭い目で見てくる男がそこにいた
ルリはラビットと言われていた子供の姿をした男の子と、知り合いみたいだった……。
沙月はどうしたらいいか、ただの高校生である私に、考えをまとめる力はなかったようだ
「おい、女、聞いているのか。引くか戦うかお前が選べ。次は本気で行く」という男に
私は逃げるという選択肢しかないのに粘ってしまうのは、私の負けん気が強いからだろう
私を救ってくれた本すなわち、鴉をあのままにしておくのは嫌だったのだ
「ラビットも強いんだからね」と続けていってくる子供に、似つかわしくない歪んだ笑顔をしながら言う
「でも……鴉に、どうしてこんなことをするの?なんで?」と震える手を落ち着かせながら、片方の手で自分の手を上から握る
「青の魔法使いよ、それを知ってどうする?結局俺達にはかなわないのに」という男に反抗する言葉が出てこないほど強さをありありと見せられたことに、怖気つく自分に悲しくなる
なぜか、涙を流しそうになりながら、目にためている
何やら変な顔をしながらこちらを見てくる男
「おい、早く決めろ」
「もういいよ、早く殺しちゃおうよ」と、不気味で残酷なことを言う
「なんで?」とルリがもう一度ラビットに聞いていると
「使い魔なんだから、ご主人様といるのは、当たり前でしょ」
「だって君はこちら側だったじゃないか」とルリの悲痛そうな顔がゆがんで見える
涙をぬぐいながら、ルリを見たら、
「お前は使い魔じゃない、ラビットはラビットだ」と小声で言う男に
「ハイ」ときらきらとしたまなざしを浮かべている間に
「もう待てないよ」っとラビットが
「魔法展開……」と言い始めようとしたとき
「藤は逃げた方がいいと思う!!本ちゃん、お願い。否定は力なり——安全ん場所にワープして」というと私に抱っこされている藤が、ルリを引っ張る
「あ、逃げるよ」というラビットと
「あぁ、」というだけで悠長に手を振ってくる謎の男
「いったい、何が何だかわからないよ……本当に」と沙月は味わったこともない、不安に押しつぶされそうになるのだった——




