漆黒の男——紅の組織
「ラビット、魔法展開……」といい真っ黒な髪に、夜よりも深い黒の目をした男がそこにいた
「うん、魔法展開します——呪縛」という男の子は九歳くらいの見た目で、黒いウサギに耳の頭巾をかぶっているゴシック調の服を着ている
黒い蜘蛛の巣があちこっち出てきて、私を捕まえようとするの藤を抱きながら、地面を思い切りけりながら、逃げる私は、この男は、どうやら敵で……物語、いや鴉に近づこうとしたら襲い掛かってきた
軍人ような服を着ており、樹の服と大違いでシックな装いだ
そんなことを考えている余裕はないはずなのになんだか樹が不憫だなと思っていると、黒いステッキから炎がこちらに向かってくる
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さかのぼることにVR内での二時間前に、
さっきのことは気にしていないかのようだった
「こんにちは、沙月さん」とアリアはにこやかにほほ笑む
それだけで、じんわりと心が温かくなるようだった
「それで、最近どう?もうなれた?」と上司らしいことを聞いてくるが見た目は子供でしかないから、何とかわいいギャップだろうと思っていると
「ボスは子供じゃないんだよ、沙月」と言われてしまい困ってしまった
私は、黒い蝶のことを思い出す
私にしか見えない存在、それは一体……
「紅……紅がどうやら動き出している気がするよ。ボスである僕も守るつもりでいるけど気を付けて……」と言われて無言でうなづく
アリアさんもどこか不安そうに揺らいでいる眼をしている
「大丈夫……きっと、ううん大丈夫にして見せます」と力強くこぶしを握る
「藤も頑張る~」とニコニコと満面の笑みで見てくるほっぺがかわいい
「ボス、お昼寝の時間だから帰るね、あとルリ特訓してあげて……強くならないと危ないかもだから……」とアリアの手を引きながら歩く
「わかりました」と今日はやけに素直なルリを見る限り、紅は相当危険なことがわかるかのようだった
いつも人をからかうような姿から、真剣な顔をしていルリは初めて見る顔かもしれない
そう話していたのに、黒い蝶がボスと別れてからゆらゆらと飛んでいて、追っかけたら、もしかしたら鴉のいる場所に行けるかも、何か手掛かりがあるかもと一人追いかけようとしたところに、
「藤を、置いてかないで!!」と大声で言われてハッとしてとりあえず抱っこして追いかける
「もしかしたら、危ない目に合うかも……」と聞くと
「藤は、一人は嫌」といい、「どこに行くんですか?」と追いかけてくるルリの声が聞こえたが、答えている暇なんて私にはなかった。とにかく逃がさないようにと走る
ゆらゆらと飛ぶ蝶、消えたり現れたりしながら進む蝶を、見失わないように進むと、そこには今まで見たことのない大きさのキューブすなわちタランチュラーがいた
園、蜘蛛の目の中に、男の姿が映る繭のように巻かれているが顔だけは出ており、それは見たことのある顔だった——探していた鴉だった
ルリが追いついたようで、「樹がいない時に危険すぎます。まだ、気づかれてないようなので撤退しましょう」と言われ、素直にうかつだった自分に後悔する
静かに、去ろうとしたとき蜘蛛の糸に触れてしまい、タランチュラーの目がこちらを見た
もう引くに引けないことが分かった私は、肩が震えうまく呼吸ができない
いつもなら樹がいる、それだけで安心で、安全なことが当たり前だと思っていた
うーんうーんという音ともに周りが景色の色が赤く染まる、夕焼けよりももっと赤かった
そこの音に引き寄せられるかのように、男が出てきた、どうやら人間??なのかそれ以上に美しく漆黒をまとったかのような男がそこにいた




