——記憶の隠し方
「おはよう沙月」とログインすると画面いっぱいにいつも通り出てくる小鬼に頬を緩ませながら、「おはよう」というとえへへと笑う小鬼を思いっきり抱きしめるといい香りがした。しばらく、風邪で眠くて起き上がれなかったから会えていなかったのを思い出す
藤の顔に、チョコが口いっぱいについていた
いつも通りに樹を探すが、今日はどうやら来ていないようだった。
なんでだろう?と首をかしげていると、
「大学の補習みたいですよ」とルリが優雅にお茶をしながら言う
「そうなんだ。大学生なの知らなかった……」と謎に落ち込んでしまう
「フッフ、たんに言うタイミングがなかっただけだと思いますよ」と頭をやさしくなでてくる人口精霊はまるで人間のような優しい温かみを感じた。
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二日前に樹に会ったとき、「これはボスに知られてもいいことなの?」と聞いたところ、今はまだ、混乱を避けるために言わないで置いた方がいいだろうと、首から帰るネックレスを置く樹を見上げると、「タランチュラーの影だ」と言われ
持つと、「ログインいたします」と機械音とともに文字が浮かび上がる
真っ暗な部屋の中で……「データ保護をしますか?」と問われ、樹の声がして
「YESだ」というと
「データ保護アクセスします。個人アカウントセキュリティモードにつなげます」といい部屋が明るくなるとそこには見たこともないような本棚がいっぱい出現していた。
「データ保護する内容を、録音します……」
樹が、「今回の鴉のデータによるものをロックする」というと
「了解いたしました。保護・ロックをしました」というと霧が晴れて元の樹の部屋だった……。
これは俺が開発したもので、蜘蛛・タランチュラーのものを応用できないかと思って作ったんだ家のパソコンで——これ以上は言えないけどなという声に
「すごいけど、どうしてこんなことができるの?」
「首に下げとけば、問題ない。あとあんまりボスの前ではこのことを考えないこと、これが難しいんだ。考えるなと言われると人間考えてしまうからな
ボスがかわいいということで頭をいっぱいにしとけば、沙月の場合ばれないと思う」となかなか無理ないんだいなことを言われてしまっている
でも、沙月は物事を忘れることは得意な方だった
自分の中で、消えると思うと、いつの間にかその記憶を思い出すことが少なくなるからだみんなできていることだと思っていたがそうではないことを人を観察してて分かったことだった
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ここには神様、今ボスやアリアがいなかったことに、ホッとしていると
「僕がどうしたの?」とジャージ姿のボスがめずらしく、秘密基地に来ている
アリアさんと一緒に、その姿は優雅な光景そのものだった




