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例の男


 じりじりと頭が痛くなるの感じながら、喫茶店に向かうと、人が少なく大人の雰囲気が漂う


「待たせたな……」と言いながら一人で椅子に座る


「後ろを振り向くな、顔見たら、もう二度会わない、契約が切れるぞ」


「何度も言わなくったてわかるよ、もう何年の付き合いだと思ってるんだ」と俺は不安症な相手を落ち着かせるように言う


「それで、本物だったろう」と男は口を開く


「あれは、どこで手に入れたんだ……聞かない約束だったな」と首を振る俺に、


「あぁ、」と短く答えてくる


以前に、会ったときに残っていた、髪の毛を見たところ、白髪だったのを思い出す


なんだか、何もかも謎に包まれてる男に、今では、安心感を覚える


「お前の席に、新しい本を置いといた……どうするかはお前の勝手だ」といい喫茶店を出ていくベルの音がする


カバンの中に、本を入れると、なれたようにマスターに声をかけて紅茶を注文する


のどを通る、冷たさを感じながら考える


頭が、ぐらぐらと煮えるように痛い


アイスティーの氷の音が響くようだった


                        *

                        *

                        *

樹は、毎度思う、その男は金に執着がないらしく、金を求めることはなかった


いつのときか、「ただ、お前がどうするか見てみたい」とだけ言われたことがある


そんな恐怖じみたことを言うので、最初は警戒していたが徐々に人は慣れてくるものだと思った


かれこれ、三年くらいの付き合いになるだろうか。

神に頭の中をのぞかれない術も、協力者から教わった


ボスのことを話していないのに、すごく当然だという感のように話す男に、敵に回してはいけない存在だとわかる


見張りも込めて、協力者と会っているはずだったが、しばらく連絡が取れないとなると心配するくらいには、なっている

いつも連絡は一方的に送られてくるだけで、日時と場所、たいがいはこの喫茶だが、外で会うこともある

荷物を置かれているだけで、どこかで監視しているときもあるようだ


これは、俺だけの秘密だ……

ある日突然に俺のうちに届いたスマホから、連絡がきたときはなんかのテロだと思った


沙月にも教えないほうがいいだろう


どんな危険がそこに待っているかわからないからだ


俺は外に出ると、どこからか金木製の香りがした——


季節外れの香りに頭を、ひねっていると香りは消える


気のせいかと思い、歩き出すと、バイクに乗る準備をする


「俺は、何のために……修繕をしているんだっけ」と普段疑問にも思わないことを自分に投げかけてみるが、頭痛がひどくなった気がしたので考えるのをやめた。












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