健の行方
目を開ける……。なれない目で周りを見ると、見慣れない部屋を認識すると
隣には、名前を知らない正義中毒の男はいなかった……。
涙は出さないように震える口を手で押さえると、今までの事を思い出す
ここは、完璧な世界らしい……みんな美形で左右対称だが、そもそも顔が違うのにまだ慣れることはできなさそうだ……
侑斗はあの後、どうなったのか……?侑斗と最後にあったとき、とっても傷ついてるような顔をしていた。侑斗のせいではないと俺は思っているのに……
侑斗はそうは思ってない顔をしていた
と、足から伸びる鎖を触りながら、思い出す 体温で温まったぬるい鎖は俺を自由にはしてくれないのを証明しているかのようだ……
……俺は絶対、戻るんだ……侑斗のそばに帰るんだ。
抜け出そうと足をガチャガチャしていると半ばパニックになりそうだった……
周りが赤くなると、少し落ち着きを取り戻す
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~執務室~
「なかなか坊やカワイイかったわよね……もっと見せてくれればいいのに……
独り占めするなんて」と今日もバラの香水がする
「ちょっと、また、香水つけすぎですよ!!くさいです」黒髪、黒ぶち眼鏡だが、気にならなくらいの美人だ
「大人の魅力が分からないなんておこちゃまね」とセクシーな女性が赤い口紅を塗りながら言う
男は「触りたい……触りたい……早く見たい」とブツブツ唱えている
「それにしても、生き残りがいるなんて……ありえないことが起こるものですね」と眼鏡をくいっとさせながら言う少女
「だからこそ、触りたい……中身みたい。隊長はケチだ……私だって早く触りたいのに……」
「ケチで悪かったな……お前に渡すとすぐ壊してしまうだろう……」
「そんなことないですよ……ちょっと、頭を開いて直接脳を見たらすぐ閉じますから……」
「それですまないだろ、中をかき混ぜようとするだろうが!!だからダメだと言っている」とため息をつきながらしゃべる隊長はその中でも一番に美しい男だった
ため息さえも名画になると言われてもおかしくない存在だ
隊長の頭の中では毎日個性が強い部下をまとめるのと、新たに加わった捕虜の少年・健をどうするかについてしばらく頭をっ抱えそうだと思っていると、
眼鏡の少女が、コーヒーを差し出す
「隊長、彼を一体どうする気ですか?」という彼女は無表情に近いが、長く一緒にいることでワクワクしているのが分かる
「健は、とりあえず我らの生活になれてもらうことが先だ……それから、
これからの事を、教え、なぜ耐性があったのか?キューブがなぜ健を守ったのか?を調べるつもりだ……」
そういうとさっきまでの雰囲気と打って変わって真剣なものになった
そんなことになっているとは、知るよしもなく……
ガチャガチャという鎖の音だけが響いていた……。




