正義中毒の男
「あがが、がが」と歯を食いしばりながら、脳が焼けるような痛みで意識を失なうが、また、痛みで起こさる装置の中で
悲鳴を上げる俺を見って喜ぶ、美しい者たちが、まるで荷崩れしたかのように醜く映るのを感じながら、熱を持った涙が出る
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沙月は、ここまで読みながら思ったのは、これは鴉の作品だと
確信を持ったのだ。「これは鴉の作品だよ。絶対に」と言いながら体が震えるのが分かる沙月は、読み進める手を止めることなくページをめくる
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それから、どれくらいの時間がたったのか分からない健は意識を失いそうになる
そして、キューブの管から麻薬が流され、涙を流すほど喜び赤ワインを、飲みながら笑う
ドッカンというけたたましい音ともに目が覚めると、急いでいるかのように自分の体を持ち出そうとするあの男がいた
「自由自警団だ、お前たちの好きにはさせない……ここは包囲した」という音声がスピーカから流れる
「我々の、完璧な世界に何の文句があるんだ……。お前も我々と同じだろう!!」とあいつが言う
ズルズルと体を引きづろうとするが、装置が外せないようだ
急いでいたあの男は、装置のロックで俺を連れ出すことを諦めたように、
銃を取り出す、玉ではなく光のレザーが飛び出す
銃撃戦だ
「緊急ロックをかけます。アラームが鳴るまでお待ちください」と文字が浮き出す
どうやら獲物を、逃がさないようにするロックがかかっているようだ
音がしなくなり、シーンと人の気配がしなくなる
しばらくすると、「キュイーン」という音ともにロックが解除される
「驚いたな、生きているのか?もう安全だ我らが、自由自警団が来たから……」といい俺の、拘束具を外す
健は、まだ何が起きたのかわからない
「我らの情報では、二人いるという情報だったはずだが……」といぶかしげに見る黒髪の短髪の男が言う。その姿は、やはり整っており左右対称の男だった
黒い目をしている男は、なにかおかしく見えるのは、俺がおかしいのだろうか?何か恍惚とした顔をしている。あいつらと、変わらない気がした
だが、健には選ぶ、選択肢がなかった……
手を差し出してくるこの男を信用していいのかと思うが、
力が出ない俺を、あろうことか、お姫様抱っこをしたのだ
「自由自警団の勝利の証明として、喜んで……迎え入れよう」と言ってくる男に
確信を持つ、あいつと変わらない中毒者だと……そう、正義中毒者だと……。
俺は、この男についていくしかない。また、侑斗に会うために……。




