ノック
学校の教室の充電ベッドにロボットが並ぶ
「監視カメラのことは、こっちで何とかする。安心しろ 辞書は職場のロッカーに入れて
おいてくれ、取りに行く。こっちで保存しておく」と目で打つ
充電ようのベッドで寝ていると、緊急用のアプリが脳内で開かれる
侑斗の兄の海から連絡が来て驚き、目を開ける
侑斗が、辞書を持っていたことを聞き腑に落ちた
健が奇病に見舞われた……。
そのことにも、驚いたが親友としていつも一緒にいた、感情の起伏が薄くなってきている
人間たちの中では珍しい関係だったから、そんな健と引き離されたら侑斗は……。
確かに、侑斗はどんどん以前より性格が活発になっていた。
健も、侑斗といることが多くなって嬉しそうにしていた。
健と侑斗をどうにかしないと
海の信頼に答えなくては……。
「海、電源を付けって、スマホの緊急用のアプリを開いといてくれ。
それで、解決できるから……」
「わかりました」と返事が返ってくる
海の家のパソコンに、スマホの電波を使い、アクセスする。そして、別日の映像をカットし編集して
映像を作って、偽装をする。ログを書き換えると脳がオバーヒートを起こしたらしい……。
いつの間にか、次の日になっていったからだ
翌日、教師ロボットが休眠ベッドに眠るのを確認して、
海の職場に、人間のネームプレートを付けて入る
教師用のスーツを着ていないから特定するものはない 誰も気にしない
同じなのは、不用心で安全な世界を作るのか……。
スムーズに更衣室に行くと椅子の裏に隠された鍵を使って、開ける
海が言っていた辞書を取り出して、鞄に入れる
重さを感じながら、疑われないように動く
「どうした、帰るのか?」と声をかけられる
「忘れ物をしたんだ……。一度家に帰ってからまた来るよ」という
「そうか。また」と、去っていくのを背に感じながら、心なしか早く歩こうとするのを我慢する
見た目が同じロボットと人間の唯一の違いは、名前がないことだ。
仕事をするうえで名前が不要だからだ ネームプレートを触りながら思い出す
俺が偽装するのが得意なのは、旧型のロボットだが見た目は他のロボット同じだが、中身のソフトが
少し違う。
歴史を学ぶため、昔の美術や作品などを学習していくうちに、顔が違う人類がいたことを知っている
様々な歴史を学び、個が個を認めるには違いも必要なことなのだと……。
誰かに何かを言い傷つけることはないけれど、個性の芽を持っているものを、平等の中で優しくぬるく根腐れを起こすかのようになるのを見てきたからだ。
個性の芽がある子供たちのそばにいられる教師のロボットとして、生まれられたのはとても幸せだ
海から連絡があったのも、初めてのことで……。
工場から出て、簡単に着替えられる白衣を着る。ネームプレートを外してポケットに入れる
旧校舎でスーツに着替えると、自分も休眠ボックスに、何食わぬ顔をして戻ると、
平等警察……初めて聞くその言葉に脳内で検索をしようとしたとき、
エラーが出て赤い文字で埋め尽くされる。 脳の回路でせわしなくこれからの事を考える。
明日は、侑斗と健を救わなくては……。脳がキュルキュルと音を出す。
*
*
侑斗は平等警察に連れられて、隔離病棟にいる。白い壁が永遠と続く壁を眺めていると、
コンコンっと音がする。
「どうぞ」と返事をすると、いつもは、最低二人で回ってってくるのにおかしいなと思っていると
飲み物を、自分の手に直接握らせて来る。コップの下に紙みたいな手触りがあり、
その、看護ロボットは、すぐに部屋を出ていく。
付箋を開くと、そこには、
侑斗消灯時間後、迎えに来る。準備して待って と書かれていた
誰だか分らなかったけど、僕をあきらめないでくれているロボットがいる
その時に思い出したのは、僕の担任の先生だ
ずっとこのまま、病院から出られないかもしれないと、絶望していたから、少しでもチャンスがあるなら逃してはいけないと、心に決める
もし、考えた通りに担任の先生なら、健も救ってくれるだろう……。
その日の昼間僕は初めて安心して眠ることができたんだ。
逃げるためには、冷静な判断をしなければいけない。 疲れを取っておかなければ……。
翌日、いつもよりすっきりとした頭で、起きる
違和感を悟られないように、過ごす。薬も飲んだふりをし、トイレに流す
ひたすら、天井をボーっとみているふりをしているが今日は、今までと違って健を助けに行ける
家族と 会えるかもしれない。そのあとの事を考えると……。
いや、今できることだけを考えよう。そう決めたんだ。
このままでいいはずがないのだから……と静かに爪痕を残すくらいに手を握っていた
形だけのノック音が響く




