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魔法使いの条件2 私の選択は?

「少し時間が欲しい……」というと沙月(さつき)の手を握ってくる(ふじ)を見て、


藤ともう会えなくなるんだなと思うと、沙月は藤を突き放すことは出来なかった。


「私、やります。本が好きだから、それに藤の事も忘れたくない。」


藤の手を握り返すと、安心したような顔をしているところ見て自分の選択が間違っていなかったのだと確信した。


(いつき)を見ると「そうか。よかった」と小さくガツポーズをしていた。


「とりあえず、それが、聞けただけでよかった」と言う樹は、気を使ったように




 「今日はここまで。あとで送っていくから、部屋から出たら、声をかけてくれよな」といい先にVRを出て行った樹を見送る


「沙月、ありがとう」という声を聞いてうれしくてたまらなかった沙月は思わず


藤の事を抱っこした。思ったより軽いなと思っていると、


「藤は、子供じゃないんだから」といいながら頬を摺り寄せてギュッとしてきた。


抱きしめ返すと、名残り惜しそうに「沙月、もう行かないと樹待ってるよ」と言われ


「もっと待たせても怒らなそうだけど」というと、


「これから会議があるの、早く帰らないと」藤が私の顔をぐぃーと押しながら言う


「そっか、仕方ない……帰るか」といいながら、藤を落とさないように下した。


VRの世界から戻り部屋を出ると、「遅い」と頭にチョップを受けるけど、樹の顔はまぶしいくらいの笑顔。ずっと、この笑顔を見ていたいと思わせるくらいの素敵な笑顔だった。


そのあと、家の手前の公園におろしてもらい、学校の時の二の舞にならないように私が言うと、樹は苦笑いをした。


部屋に戻ると、樹を思い出しながらお兄ちゃんがいたらこんな感じだろうか?


理想のお兄ちゃん像を上げなさいと言われたら真っ先に樹が出てくるだろうと思った


一人っ子の私にとっては、珍しいけど、とても安心する存在だと思う。


私はVRをすると疲れるけど他の人は、疲れないのだろうか?


友達にでも聞こうと、スマホの電話帳を探るが、そんなたわいもない話を出来る人がいないことに気づいてそっと、スマホを持ちながらベッドに寝転ぶ。


何とも言えない気持ちに、体が沈んでいくどこまでも空虚だ。


入れても入れても穴が開いたコップのように流れ続けて満たされない。


本はそんな私に唯一寄り添ってくれる存在だ。


はじめて藤たちと会う事で満たされている気持ちの中で沁みわたるように広がった感覚に戸惑いと期待を感じている


うとうとしているとスマホに樹からメールが来ていた。


以前、書き込んだ内容は消去されていた。でも、訓練をしてないうちは、ネットにVRの本の事について書き込むの禁止!


という文字が簡素に並んでいる


(消されたんだ。そもそも、メールアドレスを教えていないのに……)


Ps.メールアドレスは、辿れるからなと、これまた簡潔に打たれている


文章だと、無駄がなくツンケンしている感じがするが、本人の性格を思い出すと


おなかの中からふんわりと出る吐く息が出るのと同時に優しい笑いが出てくる


久しぶりに来たメールを逃がさないようにスマホを抱きしめる


消えないように、保存を忘れない。登録する先を間違えないように気を付けながら打った。


了解です。沙月は、それだけ打つと笑みをかみしめる


スマホを持ちながらうつらうつらと、日向にいる草の上の温かさとともに眠りに落ちた。


手のしびれと、しっかりとつかんでいるスマホを見て、長い時間寝ていかったんだろうなと思う時計を見ると2時間くらいしか経ってなかった。


ピロンという音でスマホを見ると、明日、vr朝10時集合 向かいに行くと


書かれていた。


樹から忘れていたと、白い魔法使い用のアプリが勝手にインストールされていた


本のアイコンでレースのピンク色をしているラブリーなアイコンだ。


「これからは、こっちで連絡すること。情報を隠匿できる」


そこには、樹、藤、ルリ、と私のグループチームのトークルームがあった


樹が魔法使いになりたての時、使いたくなくて抵抗していたという話はあったのをルリから聞いて目に浮かんだ。沙月は宝物をもらったようで嬉しいと気に入って何度も無意味にスマホをつける。


明日が楽しみで、遠足の前の日みたいな気分はこういうことを言うのだろうか


実際、沙月は遠足の日は、本は読めないし、みんなと話したり協力して何かをしなければいけないので苦手でワクワクした楽しみを感じたことが無かったが、


それは、まるで新しい本を買ったときのような高揚感だった。


ご飯も、いまならおいしく食べれそうだ


実際、少しめんどくさいと感じず、いつもより早く食べきれた。


おかあさんは少し驚いた顔をして


「沙月、今日は食べるのが早いわね、他にも食べる」というとおかずを2品くらい多く出されたが、いつもより味に奥行きを感じる


食べ終わると、とても満足そうな顔をしたお母さんがいた。


充実した一日だったと思いながら眠りにつく

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