表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/244

再生される前の世界

甲城(こうじょう)トキヤは、**「(えだ)神子(みこ)」**として地球の大樹を守っていた。しかし、かつての仲間たちを裏切ったのは彼自身だった。


目の前には、そびえ立つ地球の大樹。彼はその前で剣を構える。


クリアライン・ブレイド。

葵瑠衣(あおいるい)が創り出した異能の剣。素材は、命懸けで切り落とした地球樹の枝。

彼女の力は、物理法則の範囲内で自由に物を創造するものだった。


「トキヤ、本当に瑠衣はもういないのか?」


仲間の一人、カナイが不機嫌そうに尋ねる。この剣を創る際、瑠衣の肉体を解放したことが気に入らないのだろう。


「今は集中しろ。敵が迫っている。」


トキヤの視線の先には、神子の頂点に立つノアがいた。

地球樹を守るため――そう言いながら、ノアは彼らを追ってきた。


「このままアイツらの思惑通りに進めば、世界は終わる。選択肢はない。」


トキヤの隣にはベルティーナ・ファラ・ラナイがいた。

ラナイの国最強の姉の強大な力で、このステッラの地球に飛ばされた少女。


ベルティーナの姉の力に憧れた葵瑠衣は、ついに姉のもとへ行ってしまった。

そのせいか、ベルティーナは幼い姿のまま、トキヤのためにできることをしようとしていた。


「ファラ」


トキヤはベルティーナを見つめる。

セカンドネームで呼ぶのは、彼女がそれしか名乗っていないからだった。


「トキヤ、ここまで来れば、後は私の差時間操作で食い止められます。今のうちに……」


姉の意思がこの空間を包み込む中、ベルティーナは自分の地球、ラナイの国へ帰る時が近づいているのを感じていた。


「大丈夫だ。俺たちはここで消えるが、お前だけは守る。だから、後のことは頼む。」


それが、ベルティーナが聞いたトキヤの最期の言葉だった。


トキヤは地球の大樹に向けてクリアライン・ブレイドを振るう。


――世界の終わりを告げるような地響きが鳴り響く。


巨大な木は、わずかな幹と根を残して倒れ、消えていった。


そして、世界は一度崩壊し――

再び再生を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ