未来からのプロローグ-永遠の始まり〜
国際線へと続く広い列車の車窓から、真っ直ぐにシリウスの光が差し込んでくる。太陽を除けば、全天で最も明るい恒星。その輝きは街明かりにも室内灯にも負けず、力強く放たれていた。
しかし、私にはその光がいつも刺すような寒さを伴うものに感じられる。
——あれから1週間。彼は日本に戻ったのだろうか。
二人が別れ、そして再び一つになろうと決意したあの瞬間。私の心には、不安が潜んでいた。
告白したとき、涙を流した彼の顔が忘れられない。私の言葉を受け入れようとして、でも何かに怯えていた。
「もう俺に触れないでくれ! あんたは俺を放り出したんだ」
その言葉が、私の心を凍らせた。違う、放り出したのはあなたのほうだ。そう思いながら、私も泣いていた。
——それでも私は、準備を進めていた。
この宇宙のどこかに、私たちの物語がもう一度紡がれる場所があるのではないか。その可能性に心を奪われていた。
列車が揺れ、視界がかすかに揺らぐ。車窓の外に広がる風景の中で、運命が一度交わった地球たちを見ることができるだろうか。
「行かなきゃ……戻るべき場所へ」
私は決意を新たにし、次の戦いへと向かう。
私たちの記憶と愛が映る場所を探し求めて。
その瞬間、シリウスが私を指し示す。あの日、二人の心が一つだった瞬間を、もう一度味わいたい。
それでも——見えない伴星の向こうから、微かにシニスの気配が忍び寄る。