表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青いガーネットの奇跡  作者: 村松希美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/36

side story ドキドキサマーデート 1

「次は、桜ヶ丘1丁目~」

 乗内アナウンスに、真司の胸がドキドキワクワクするように、妙に騒ぎ出す。

 今日これから、真司は、デートらしいデートをしようと決めてきた。考えてみると、麻子と一緒にいる時は、図書室や桜広場で、ホームズさんや推理小説の話をする以外、何もしていなかった。


 あの時、麻子に告白してから、両想いになったと分かって、真司は柄にもなく、世間一般の中高生がしているデートというものも良いんじゃないかなと、夏休みに向けて、心の中で、いろいろとプランをこっそり立てたのだった。


 夏といえば、真っ先にプールと浮かんだが、麻子の水着姿が浮かんできて、七味唐辛子を食べた時のように、身体が熱くなって赤面してしまい、まだ早いかなと思って、真司は映画館に行くことにした。


 ちょうど、今年の夏休みに公開される「名探偵ドイル」が上映されていたので、真司が麻子に話してみると、1つ返事でOKされた。


 ピポン!

 誰かが降車ベルを鳴らした。乗内一斉に、赤ランプが(とも)る。


 いつもと一緒、麻子に会うだけじゃないか。


 真司は自分の胸にいい聞かす。真司が窓の外を見ると、バスはあと100mくらいのところまで着ているのに、バス停で待っている人は誰もいなかった。


 俺、乗るバス間違えたっけ?


 真司は腕時計に目を()った。


「12:20のバスね」


 あの時交わした麻子の声が脳裏に浮かぶ。


 12:20 間違っていない!


 さっきまでの真司の弾んだ心が、風船の空気がしぼんでいくように、きゅうに()えていった。


 どうしよう? でも、待てよ。先に行っているのかも知れない。


 真司はバスを降りずにそのまま、シーサイドタウンの映画館まで行ってみることにした。



 髪良し!、ポシェット良し!、スカート良し!


 玄関の脇にかかった姿見を見て、麻子は今までにない最上の弾んだ声でいった。姿見の中のTシャツのひまわりとオレンジ色の三段切り替えスカートも、麻子の今の心を表しているようだ。


 上機嫌で扉を開け、麻子がバス停に向かおうとすると、びっくり。そこには、キカン坊のリョウと遠野のおばさんが立っていた。


「あら、麻子ちゃん、もしかして、おでかけなの?」

 おばさんは気落ちしたように、リョウの手を握り立ちすくんだ。

「困ったわ。お母さんはいないの?」

 麻子の母親は、昨日から、サークル仲間と旅行に行っていた。麻子は、そのことを遠野のおばさんに伝えると、

「麻子ちゃん、おでかけのところ悪いんだけど、うちのおばあちゃんが倒れて病院に運ばれたんだけど、いろいろあるから、この子を連れて行く訳にもいかないし……。しばらくの間、リョウをあずかってくれない?」


 麻子は、今日という日を真司と同じように楽しみにしていたが、そういう事情とあっては断る訳にもいかず、快く引き受けた。


 真司のことなら、電話があるかも知れない。


 麻子は自分にそういい聞かせながら、リョウの手を握り、大急ぎで帰っていく遠野のおばさんを見送った。

読んでいただき、ありがとうございます。


「青いガーネットの奇跡」で両想いになった麻子と真司の初めての本格的なデートのはずでしたが……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ