15 青いガーネットの奇跡?
翌朝、麻子がバスに乗り込むと、
「オーッス!」
と声がかかる。
真司が元気そうに立っている。
「どうしたの? 真司がこのバスに乗ってくるなんて……槍でも降るかしら」
「何だよ、そのいいぐさは……。今日は、麻子と一緒に登校したいと思ったから、早起きしたというのに……」
麻子の顔がみるみる火照っていく。
2人はそのまま、登校までのひとときを幸せな気分で過ごす。
港町中学校前でバスを降り、2人並んで歩いていると、
「麻子~、待って~!」
遠くの方から声がする。
麻子が後ろを振り向くと、はるかが明るい笑顔で走ってくる。
「はるか……」
「はぁっ、追いついたー。おはよう」
はるかはタオルハンカチで汗をふきながらいう。
「おはよう……」
麻子は、前のようにはるかが声をかけてきてくれて、うれしい反面、昨日のことを思い出して、複雑な気分になった。
はるかは、どうして……
「わたし……麻子と仲直りしようと思って……麻子を見かけたら、つい……。でも、ごめん。2人の邪魔しちゃったね」
はるかは、もう完全に吹っ切れていた。麻子は、目を白黒させる。
「じゃあ、俺、先に行ってる。しっかり仲直りしてこいよ」
真司は、向かいの道からやってきた公平に声をかけ、一緒に校門に入って行った。
「わたし、昨日、失恋したんだ。でも、立ち直り早すぎるかな……?」
「はるか……」
「何、心配そうな顔しているのよ。わたしなら大丈夫。まあ、初めっから、麻子と仁川君の関係、分かっていたのに、謎の少年が仁川君って分かった途端に、自分の気持ちがどうしようもなくなっちゃって……。
その上、こんな状況じゃあ、麻子に疑われても仕方がないのに……わたしって、バカだよね。
それに、自分もあんな経験して、人を誰も信じられない時期があったのに。わたし、麻子に腹立てたりして……今までごめんね」
「そんなこと、もういいわよ。それより、また、はるかと仲良くなれてうれしい。今度、ベリーベリーパフェ食べに行こうね」
「うん」
「お~い、コラッ! 二宮、江波、そんなところで立ち話していないで、早く来ないかー! 始業のチャイムは、もうとっくに鳴っているぞ~」
上田先生の怒鳴り声がする。
「はい、すみません」
麻子とはるかは、急いで駆けて行く。
真司……
校門をくぐると、玄関前に、真司が立っていた。
麻子はVサインをに送る。真司からもVサインが返ってきた。
「あー、いいんだ~」
はるかが横目で、麻子をチラッと見る。
「ごめん。うれしくって、つい……」
「いいのよ。あやまらなくっても。わたし、本当に吹っ切れたんだから。だって、その気のない人をいつまでも追いかける主義じゃないし。仁川君より、もっと素敵な彼氏を見つけてやるわ~」
「おい、江波、聞こえているぞ~。俺が素敵じゃないだって……どういうことだよ~」
「あら、聞こえちゃった……」
はるかが麻子を見て、ペロッと舌を出す。
みんな、真司がくれたこの青いガーネットのおかげかしら……
麻子は、胸ポケットの定期入れに結びつけている青いガーネットを握りしめ、空を見上げる。
今日も暑くなりそうだ。
空は、雲1つ出ていない。
この青いガーネットのように、どこまでも快晴だった。
ー完ー
読んでいただき、ありがとうございました。
「青いガーネットの奇跡」の本編はこれでおしまいです。
次回からは、この枠で、続編短編の「ドキドキサマーデート」を書いて行きます。
ようやく両想いになった、麻子と真司の中学2年生夏休み短編です。
こちらも、よろしくお願いいたします。
なお、この「青いガーネットの奇跡」には、麻子と真司の関連小説があります。時系列で挙げておきます。
①「シャーロック・ホームズ未来からの依頼人ー麻子と真司の時空旅行ー」長編
麻子と真司が仲良くなって、19世紀のロンドンのホームズに会いに行きます。
②「青いガーネット」クリスマス短編
①の物語の後、麻子と真司のクリスマスイブです。真司が麻子に贈った青いガーネットのことも書いています。
③「悪魔の足」バレンタイン短編
麻子と真司が両想いになる前の、2人が中学1年生の時のバレンタインデーの物語です。
④「青いガーネットの奇跡」長編。
本編です。
⑤「ドキドキサマーデート」夏休み短編
順次投稿
⑥「麻子と真司の物語」
ショートショート集で投稿済みです。まだ
、連載が終わっていないです。不定期投稿です。
麻子と真司の七夕やハロウィンやお花見などの物語集です。




