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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第五章 ガインの町

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第70話 初ひ孫と成人したメイ

 エストの結婚式から、二年ほどが経過した頃。

 つい最近、ローズさんは待望の第一子を出産していた。生まれた子供は女の子で、ネリアと命名された。現在0歳の玉のような赤ちゃんだ。

 私にとっては、初めてのひ孫になる。

 エルクとルースは初孫をとても喜び、現在では、二人で競い合うようにして熱心にネリアの世話を焼いている。

 エストは、いつか再び私の里まで旅行し、自分の新しい家族をひいおばあ様に紹介したいのだそうだ。

 ただ、さすがに魔物の領域を突破する街道で、幼い子供を抱えて旅行を行うのは不可能だと考えているらしく、奥さんだけでも紹介したいのだそうだ。

 ネリアのおかげで少し(にぎ)やかになったガイン家は幸福に包まれており、温かい笑い声が絶えない家になっていた。

 ネリアの誕生と時期を前後して、メイは十六歳になっており、成人していた。

 私にとっては少し残念な事に、メイは年齢を重ねていくと、あまり魔道具に興味を示さなくなっていた。

 不治(ふじ)(やまい)と大変失礼な事を考えていたが、ブラコンも完治したのか、メイは恋人候補をようやく私に紹介した。

 一人の男性を(ともな)って私の部屋を(たず)ね、すぐに用件を切り出した。

「おじい様、この殿方(とのがた)を教育してください。できるだけ厳しくお願いします」

 その後、改めてメイが紹介してくれたこの男性は、ゴランさんという名前だそうだ。

 現在十七歳のかなりがっしりとしたイケメンである。茶髪を短く刈り込んでいて、少し日に焼けた肌色をした、健康的な体つきをしている。

 メイによれば、あくまでもまだ恋人候補であり、恋人ではないらしい。そこにメイのこだわりが感じられたので、特にツッコミは入れていない。

 成人したメイはとても美しく成長していて、かなり男性にモテるのだとか。

 エルクは、メイが結婚して独立した時点で、自分の貴族権限を使ってメイを一代限りの名誉(めいよ)貴族(きぞく)にするつもりのようだ。

 ただ、この(うわさ)が広まってしまった結果、少し困った問題も発生していた。

 次期領主のエストが平民を平然(へいぜん)として奥方(おくがた)(むか)え、領主もその家族も、誰もそれに反対しない様子(ようす)を見た一部の領民は、逆玉の輿(こし)(ねら)ってメイに近づくものが(あらわ)れ始めていた。

殿方(とのがた)のほとんどは、私の貴族の地位が欲しいだけです。下心が簡単に()けて見えますわ。その中では、このゴランがかなりマシな部類だったのです」

 メイによる、ゴランさんへのかなり失礼な評価である。

 ただ、このゴランさん。メイにぞっこんな様子(ようす)で、メイの自宅に(まね)かれただけでも、デレデレしっぱなしである。

 私はメイが席を外したタイミングを見計(みはか)らい、ゴランさんに発破(はっぱ)をかける。

「ゴランさん。メイはツンツンした態度(たいど)をとっていますけれども、私は十分に(みゃく)があると考えていますよ?」

 ゴランさんはウンウンと大きく(うなず)き、その体格に見合った大きな声で返答する。

「先代様もそう思いますよね!」

 ゴランさんは、(すで)にその気になっているようだ。

「ただ、メイの理想の殿方(とのがた)はお兄様です。頭が良くて強い人が理想だと、周囲には常々言っているでしょう? エストほど頭が良くなるためには、かなりの努力が必要になってきます」

 ゴランさんは迷うそぶりも見せず、ややかぶせ気味になって即答した。

「全力で努力します!」

 私は微笑(ほほえ)みながら、努力させる方向に誘導(ゆうどう)していく。

「あのエストでさえ数年がかりで覚えた内容を、私は二年で、あなたに教えるつもりです。かなり厳しく教えるつもりですが、覚悟はいいですか?」

 私は少し、(おど)しをかける。その後にバラ色の未来を提示し、努力を(うなが)していく。

「あなたが、もし、二年で私の教育を完了する事ができれば、メイもあなたを見直して、もっと()れてくれるはずです。そうなれば、メイと所帯(しょたい)を持つ事も可能でしょう。かなり(けわ)しい道になりますが、やる気はありますか?」

 ゴランさんは大きく(うなず)き、今日一番の大声で返答していた。

「もちろんです! 未来のおじい様!!」

 (すで)におじい様呼ばわりはちょっと行き過ぎのような気もするが、あえて無視する。

 こうして、私とメイによる理想の殿方(とのがた)育成計画は発動した。

 メイが婚期(こんき)(のが)してしまわないように、私は本気で、二年で教育するつもりだ。


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