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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十三章 革命

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第224話 発火前夜

 それから、またしばらくの時が経過(けいか)した(ころ)

 五十四歳になっていたヨシツネは引退(いんたい)決意(けつい)し、三十一歳になっていたユキムラへと、領主の()を引き()いでいた。

 この時のヨシツネは、以下の(よう)に言ってユキムラを激励(げきれい)していた。

近頃(ちかごろ)、この国には不穏(ふおん)な空気が(ただよ)っている。大変な時期に差し()かっているであろうこの状況(じょうきょう)で、まだ(わか)いお前に領主を引き()ぐのは、少し不安(ふあん)でもある。しかし、これから先の難局(なんきょく)には体力も必要(ひつよう)になってくると判断(はんだん)し、私は引退(いんたい)決意(けつい)した。私も大おじい様も全力でサポートするので、(こま)ったらいつでも(たよ)って()しい」

 事実(じじつ)、この(ころ)になると、平民たちの不満(ふまん)がかなり増大(ぞうだい)していた。

 というのも、平民の傭兵(ようへい)たちに取り()まりを(まか)せていたのではらちが()かないとようやく気付(きづ)いたようで、貴族(きぞく)軍隊(ぐんたい)である騎士団(きしだん)動員(どういん)を始める領主が()えてきていたのだ。

 そのため、領地への出入りや焚書(ふんしょ)のチェックがかなり(きび)しく(おこな)われるようになり、それに比例(ひれい)して平民たちの不満(ふまん)(げき)(ぞう)している状況(じょうきょう)になっている

 領主に就任(しゅうにん)したばかりのユキムラは、この難題(なんだい)対処(たいしょ)すべく、私とヨシツネを(ともな)った状態(じょうたい)で会議を始めた。

 その(せき)で、官僚(かんりょう)の一人が以下の(よう)報告(ほうこく)を開始していた。

「このように、平民の不満(ふまん)が各地で増大(ぞうだい)を続けており、最早(もはや)、いつ反乱(はんらん)勃発(ぼっぱつ)してもおかしくない状態(じょうたい)(おちい)っています」

 ユキムラは、ここで私の方へと(かお)()け、意見(いけん)(もと)め始める。

「大おじい様、何か具体的(ぐたいてき)対策(たいさく)はありますか?」

 私は(あご)に手を当てて少し考えを(めぐ)らせてから、(しず)かに返答(へんとう)する。

「そうですね……。(さいわ)いにして、第三街壁(だいさんがいへき)建設(けんせつ)も間に合いましたので、防御(ぼうぎょ)(かん)してはほぼ完璧(かんぺき)と言えるでしょう。後は各種の備蓄(びちく)を今まで以上に進めることですかね。それと、私の方で何か新しい攻撃(こうげき)準備(じゅんび)ができないか、持ち帰って考えておきましょう」

 ここで、官僚(かんりょう)の一人が手を上げて発言(はつげん)(もと)め、それをユキムラが許可(きょか)すると、思い切った提案(ていあん)を始めてきた。

「あの……。今は、もう、貴族(きぞく)権威(けんい)はかなり低下してしまっています。ここで私たちが防御(ぼうぎょ)(かた)めるのではなく、積極的(せっきょくてき)に打って出てはいかがでしょうか? 少なくとも、平民たちの支持(しじ)は、間違(まちが)いなく()られると思われます」

 その意見(いけん)に対し、ユキムラとヨシツネは(かお)を私の方に()け、目をじっと見つめてきている。

 あの計画(けいかく)を、ここで話してしまってもいいのかという確認(かくにん)意味(いみ)だとすぐに分かったので、私は(だま)って(うなず)きを返し、許可(きょか)を出す。

 ユキムラは(あご)の下で手を組み、正面(しょうめん)()き直ってから、ゆっくりと私の野望(やぼう)(かた)り始める。

「これは、この場だけの話にして、他言(たごん)無用(むよう)でお(ねが)いします。実は、ガイン家の領主にだけ(かた)()がれている、大おじい様の壮大(そうだい)計画(けいかく)があるのです」

 そう言って、しばらく(あた)りを見渡(みわた)すユキムラ。

 そして、一人一人、全員の表情(ひょうじょう)確認(かくにん)し、不用意(ふようい)秘密(ひみつ)()らすものがいないであろうことを十分に確認(かくにん)してから、(あご)の下で組んでいた手をほどき、ゆっくりと説明(せつめい)を始める。

「大おじい様は、この国から王侯(おうこう)貴族(きぞく)たちを駆逐(くちく)し、平民だけの国、キョウワ国を作ろうと、ずっと努力(どりょく)を続けてこられたのです」

 会議場から大きなどよめきが起こった。

 領主のすぐ(そば)陣取(じんど)っている高級(こうきゅう)官僚(かんりょう)の一人が、みんなを代表してそれについての質問(しつもん)を始める。

「そのようなことが、実際(じっさい)可能(かのう)なのですか?」

 ユキムラが(うなず)き、肯定(こうてい)する。

「なにせ、百六十年以上かけて計画(けいかく)されていたそうですからね。準備(じゅんび)万端(ばんたん)でしょう」

 私は、ここでユキムラの話を引き()ぎ、その内容(ないよう)を初めて白日(はくじつ)(もと)にさらす。

貴族(きぞく)たちを打倒(だとう)しようとすると、まずはその強力な権力(けんりょく)基盤(きばん)(くず)必要(ひつよう)がありました。そのために、貴族(きぞく)たちの力の源泉(げんせん)となっていた彼らが独占(どくせん)する知識(ちしき)を、平民たちに分け(あた)えることから始めたのです。そのための学校(がっこう)制度(せいど)だったのですよ。そして、(いま)現在(げんざい)、平民たちの知識(ちしき)レベルは、貴族(きぞく)たちをはるかに凌駕(りょうが)しています。そろそろ、(ころ)()いでしょう」

 そこまで考えて学校を作っていたのか、とか、そんなにも以前から準備(じゅんび)を進めていたのかなど、いろいろな(おどろ)きの(こえ)周囲(しゅうい)から上がっている。

 ここで、また別の官僚(かんりょう)の一人が、私に確認(かくにん)を始めた。

「では、初代様が私たちの王様になっていただけるのですか?」

 期待(きたい)眼差(まなざ)しで質問(しつもん)をしている彼には悪いのだが、それには同意(どうい)できない。

「いえ。それでは王様が交代(こうたい)するだけで、駆逐(くちく)することにはなりません。一応(いちおう)、私もこの国の貴族(きぞく)(はし)くれですからね。ですから、能力(のうりょく)のある平民の(だれ)かに、この国を(みちび)いてもらいます。そのためには、平民(へいみん)自身(じしん)の手で革命(かくめい)を起こしてもらう必要(ひつよう)があるのです。ですから、こちらからは行動(こうどう)しません。もちろん、革命(かくめい)のための援助(えんじょ)()しみませんが」

 私のこれらの発言(はつげん)により、ガイン自由都市のこれからの大まかな行動(こうどう)方向性(ほうこうせい)決定(けってい)された。

 その後の会議では、情報(じょうほう)収集(しゅうしゅう)を強化するなどのより(こま)かい部分の議題(ぎだい)協議(きょうぎ)されていき、いよいよ、私の野望(やぼう)(かん)(すい)()けての大勝負(おおしょうぶ)の時が始まったのであった。


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