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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十二章 進む近代化

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第223話 ギンコウ

 それから、また、年を二つほど(かさ)ねた(ころ)

 ニーナは第一子となる男の子を出産(しゅっさん)していた。銀髪(ぎんぱつ)に青い(ひとみ)のおとなしそうな赤ちゃんだ。

 この子は後に、ロランと名付(なづ)けられた。

 (おい)っ子のヨシヒロを見ていたら自分の子供が()しくなったらしく、以下の(よう)に言って(おっと)のロレインの(しり)(たた)いている様子(ようす)が、度々(たびたび)、見られるようになっていた。

「あなた、もっと頑張(がんば)ってください」

 その結果(けっか)、ロレインが少しやつれたように見えたのは、今となってはいい(わら)い話になっている。

 また、この(ころ)になると、ヒデオジドウシャも無事(ぶじ)営業(えいぎょう)を開始していた。

 工房(こうぼう)長兼(ちょうけん)開発(かいはつ)主任(しゅにん)(しゅう)(にん)した、かつての研究室の担当(たんとう)キョウジュに、私はガソリンエンジンの原理(げんり)などを説明(せつめい)し、開発を(まか)せた。

 偉大(いだい)発見(はっけん)をしたオットーに敬意(けいい)(はら)い、「オットーえんじん」として説明(せつめい)しているため、やがては「オットージドウシャ」が開発されることだろう。

 ただ、これから先も、私に投資話(とうしばなし)()()んできたらどうしようかと、雑談(ざつだん)()じりにヨシツネに相談(そうだん)してみたところ、意外な回答を()ることになった。

「大おじい様、このままでは肩書(かたがき)()え続けることになりますよ? ですから、そのギンコウとやらを作ればいいのです」

「ですが、私にはギンコウ業務(ぎょうむ)知識(ちしき)がないのです」

「そこは、ほら、大おじい様お得意(とくい)の研究をすればいいのですよ。いつものように、ダイガクを活用(かつよう)してみてはいかがですか?」

 なるほどなと思った私は、早速(さっそく)、ダイガクで人材を(つの)り、ギンコウの立ち上げのための研究室を用意(ようい)した。

 名乗(なの)りを上げたのは、リタさんという女性キョウジュだった。彼女の実家(じっか)は大きな商会で、お金の運用(うんよう)(かん)しての基礎(きそ)知識(ちしき)があったのが理由(りゆう)のようだ。

「お金を()やすための研究だなんて、まさに私のためにあるようなものです」

 そのように言ってくれていて、積極的(せっきょくてき)研究(けんきゅう)活動(かつどう)を開始してくれていた。

 とりあえずの研究テーマとして、企業(きぎょう)に対する大型の(とう)融資(ゆうし)原油(げんゆ)穀物(こくもつ)などの先物(さきもの)相場(そうば)取引(とりひき)などを考えているらしい。

 これらは、小規模(しょうきぼ)なものであれば、(すで)金貸(かねか)しや(ぎょう)商人(しょうにん)の間で(おこな)われており、それを大規模化(だいきぼか)させることを考えているらしい。

「ただ、運用(うんよう)するための元手(もとで)をどうするかなんですよね……」

 そのように、リタさんから相談(そうだん)を受けていた。

「それは、お金を(あず)かる預金(よきん)制度(せいど)を作ればいいのですよ」

 私は素人(しろうと)知識(ちしき)なりに、簡潔(かんけつ)説明(せつめい)(こころ)みる。

一般(いっぱん)のお(きゃく)さんからお金を(あず)かり、運用(うんよう)するのです。そして、利益(りえき)の一部を利子(りし)という形で還元(かんげん)すれば、お金を(あず)ける人も()えるかと思います」

「なるほど、なるほど。お金を(あず)けておけば勝手(かって)()えるわけですから、(たし)かに需要(じゅよう)はありそうですね」

単純(たんじゅん)預金(よきん)(ほか)に、元金(がんきん)()(しょう)しない()わりに高利率(こうりりつ)を売りにしてお金を(あず)かり、プロが少しリスキーなものを運用(うんよう)して、還元(かんげん)する商品もあっていいでしょう」

 こうして、私が(あた)えた単純(たんじゅん)なヒントだけを(たよ)りに、どんどんと彼女は研究を(すす)めていった。

 そんなある日。

 リタさんから、一部(いちぶ)商品(しょうひん)元金(がんきん)()(しょう)されないなどの説明(せつめい)責任(せきにん)明確化(めいかくか)した方がいいとの指摘(してき)を受けた。

 そこで、私は領主のヨシツネに相談(そうだん)し、官僚(かんりょう)(まじ)えてギンコウの関連(かんれん)条例(じょうれい)協議(きょうぎ)も開始したのであった。

 これは余談(よだん)になってくるのだが、そう言えば、紙幣(しへい)発端(ほったん)金貨(きんか)交換(こうかん)できる銀行(ぎんこう)引換券(ひきかえけん)であったと聞いたことがある。

 大口(おおぐち)取引(とりひき)(さい)、じゃらじゃらと大量の金貨(きんか)をやり取りするのではなく、引換券(ひきかえけん)代用(だいよう)したのが始まりなのだとか。

 なので、このままギンコウには発展(はってん)してもらって、そのまま紙幣(しへい)経済(けいざい)へと移行(いこう)して()しいものだと考えている。

 ちなみに、今のお金は信用(しんよう)()り立っている。信用(しんよう)だけで、と言い()えてもいい。

 つまり、一万円札は一万円分の商品と交換(こうかん)できるとみんなが信用(しんよう)しているから()り立っているのである。

 ここに(いた)るまでには、いろいろと(れき)史上(しじょう)()(がさ)ねが必要(ひつよう)だった。

 最初の金貨(きんか)との引換券(ひきかえけん)は、この信用(しんよう)(たん)()するためのものとして利用されている。

 やがて経済(けいざい)規模(きぼ)が大きくなり、流通(りゅうつう)する紙幣(しへい)の量が増大(ぞうだい)すると、金本位制(きんほんいせい)()ばれる形態(けいたい)移行(いこう)した。

 これは、国家が金を保有(ほゆう)し、その引換券(ひきかえけん)として信用(しんよう)(たん)()して紙幣(しへい)発行(はっこう)する仕組(しく)みになる。

 私が無理(むり)にこの世界での紙幣(しへい)にそれらの段階(だんかい)()るように提案(ていあん)していかなくても、時間さえかければ、同じような発展(はってん)の道をたどるだろうと考えている。

 そういう意味(いみ)でも、リタさんには先駆者(せんくしゃ)として研究を頑張(がんば)ってもらい、ギンコウを発展(はってん)させていって()しいと思う。


 これは少し先の話になる。

 リタさんは、後に自分のギンコウを立ち上げ、そこの頭取(とうどり)(しゅう)(にん)した。彼女のギンコウは、やがてこの国で最大の規模(きぼ)(ほこ)るようになっていく。

 リタさんの辣腕(らつわん)ぶりは次第(しだい)に広く知られるようになり、彼女は「金融(きんゆう)業界(ぎょうかい)巨人(きょじん)」という異名(いみょう)()ばれるようになるのであった。


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